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もっと深く掘れ——採算割れの地熱発電所を米新興企業が再生
Zanskar
How an overlooked geothermal plant got a second chance

もっと深く掘れ——採算割れの地熱発電所を米新興企業が再生

地熱発電所は、地下から汲み上げる水の温度が下がると発電効率が落ちる。米ニューメキシコ州のライトニング・ドックでは5年で28℃も下がり、採算が取れなくなっていた。発電所を買収した新興企業ザンスカーが井戸を掘り直したところ、発電所はフル稼働に戻った。従来型の地熱資源には、まだ見直される余地がある。 by Casey Crownhart2026.07.31

この記事の3つのポイント
  1. ザンスカーが衰退した地熱発電所を買収し、深掘り技術で旧来比2倍超の発電を実現した
  2. 既存井戸が浅く最適位置になかったことが判明し、2400m深の新井戸で流量・温度が改善した
  3. 深掘りによる流量増加の発見は米国内の熱水資源全体の再評価を促す可能性を持つ
summarized by Claude 3

2024年6月、ザンスカー(Zanskar)という小さな企業が、急速に経営が悪化していた米ニューメキシコ州の地熱発電所を買収した。地下貯留層から汲み上げられる水は日に日に温度が下がっており、発電所の運営は採算が取れない状態になっていた。

それから2年後の現在、その発電所は新たな井戸のおかげで再びフル稼働している。高度なモデリングと最新の掘削技術を活用することで、ザンスカーはより有望な井戸の候補地を特定し、数千メートルの深さまで掘り進め、発電所全体の操業を復活させることに成功した。

世界が24時間365日利用可能な排出ゼロの電力源を求める中、Lightning Dock(ライトニング・ドック)と呼ばれる同社の地熱発電所は、私たちの足元の深部にまだ眠る可能性があることを示している。

従来の地熱発電所は、適切な地下条件が整っていることを前提としている。割れ目のある高温の岩盤を通じて水が流れることで熱を回収し、その水が発電所を通過することで電力が生み出される。水温が十分でなかったり、流量が不足していたりすると、発電所は効率的に稼働できない。

Lightning Dockは2013年に稼働を開始し、以降ずっと発電所への供給に使われてきた生産井戸が2本あった。井戸の水温が時間とともに低下するのは珍しいことではなく、通常は年間0.5〜1℃のペースで下がる。しかしザンスカーが施設を引き継ぐ前の期間、Lightning Dockでは5年間で28℃もの温度低下が見られ、年間5℃というペースに達していた。同社が施設を買収した時点では、少なくとも150℃以上での運転を想定して設計されていた発電所に送り込まれる水の温度はわずか120℃であった。

ザンスカーが高度なモデリング技術を用いてLightning Dockの地下条件を調査したところ、既存の井戸は貯留層のごく上部にしか到達していないことが判明した。同社の共同創業者兼CEOのジョエル・エドワーズによれば、それらの生産井戸は、深さわずか760メートルと非常に浅く、最適な位置にも掘られていなかった。

同社はモデリングによって、新たな地点により深い井戸を掘削すれば、発電所を効率的に稼働できると予測した。チームは深さ2400メートルに達する新たな井戸を掘削し、2025年5月に操業を開始した。

1年が経過した現在も、同社の井戸は毎分15立方メートルを超える流量を維持している。発電所は「完全に立て直されました」とエドワーズCEOは言う。「本当に素晴らしい結果です」。

これまでのデータは、この発電所が今後も長年にわたって成功を収め続けることを示している。「最終的には、長期的な性能に確信を持つために、長い時間をかけて運転を続ける必要があります」とエドワーズCEOは言う。

Lightning Dockでの進展は、他の地熱発電所にとっても朗報となりうる。地熱エネルギーの世界では、深く掘るほど温度が高くなるというのが通説だ。しかし通常はトレードオフが伴う。深くなるほど岩盤の密度が高くなるため、深く掘ることで高温の水の流れが悪くなり、それを使って発電所で電力を生み出そうとするのが困難になる。

しかしチームが発見したのは、新たな井戸を掘削した地域では実際に流量が増加したという事実だった。「これはLightning Dockだけでなく、米国内のすべての熱水資源についての考え方を根本的に変えるものであり、それらすべての潜在的な可能性を問い直すものです」と、ザンスカーの連邦政府担当部長、ベン・ブレナーは言う。

過去1年間の操業では、Lightning Dockは旧来の井戸を使用していた場合の2倍以上の電力を発電した。Lightning Dockは比較的小規模な発電所であり、地域の送電網に供給される発電容量は15メガワット(米国の約1万1000世帯に電力を供給できる規模)にとどまる。

石油・ガス開発業者は過去数十年にわたり、より深い地下の資源を追い求めてきた。操業は比較的地表に近い場所から始まったが、今日では石油・ガスの生産は深さ6000メートル以上に及ぶこともある。「地熱においても同じような軌跡をたどると思います」とエドワーズCEOは言う。典型的な地熱井戸の深さは900〜1500メートルの範囲だが、今後はより深く掘ることが一般的になる可能性があると同CEOは付け加える。

同社はLightning Dockでさらなる開発を計画している。数年間の開発と発電所の改良をすれば、この地域でさらに多くの電力を生産できるようになるとエドワーズCEOは言う。

地熱資源を利用できる地域の拡大を目指す強化地熱システムには、多くの注目と投資が集まっている。例えばファーボ・エナジー(Fervo Energy)は、従来の地熱エネルギーでは利用が難しいほど閉じた岩盤を開放するために、フラッキング技術を活用している。

地熱の世界には、まだ「すぐに手が届く果実」が豊富に残っているとエドワーズCEOは言う。従来型の地熱資源の多くには十分な潜在力があり、ただ改めて見直されるのを待っているだけだ。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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