KADOKAWA Technology Review
×
夏割実施中!購読料20%オフ。
米国のバッテリー導入が過去最高、データセンターも需要けん引
Getty Images
Batteries just broke another record in the US

米国のバッテリー導入が過去最高、データセンターも需要けん引

米国のバッテリー導入は2026年に71ギガワット時に達し、前年から20%増える見通しだ。バッテリー価格の低下と、再生可能エネルギーの拡大に伴う蓄電需要が背景にある。記録的な四半期を押し上げたのは大型の系統向け設備で、需要家側ではデータセンターが商業部門の約4分の3を占めた。一方、住宅用は16%減る見込みだ。 by Casey Crownhart2026.09.10

この記事の3つのポイント
  1. 2026年Q2の米国バッテリー導入量が20.2GWhと過去最高を記録し、年間では前年比20%増の71GWhが見込まれる
  2. 主因はバッテリー価格低下と再エネ拡大に伴う蓄電需要の高まりで、ギガスケール設備とデータセンター向けがけん引
  3. 米国内製造へのシフトが進むが、中国依存からの脱却には2030年頃まで時間を要し、それまでは価格上昇圧力が残る
summarized by Claude 3

2026年第2四半期、米国のバッテリー導入量が過去最高を更新した。新たな報告書によると、この期間に新たに稼働した蓄電容量は合計20.2ギガワット時に達した。これは約70万世帯の1日分の電力需要を賄える量に相当する。

この急増により、米国では2026年に71ギガワット時(GWh)のバッテリーが導入される見通しで、前年より20%増えることになる。この成長を支えているのは、バッテリー価格の低下と、太陽光や陸上風力などの再生可能エネルギーが電力網に加わるにつれて高まっている、蓄電容量拡大への切迫した需要だ。

大規模な送電網向け蓄電システムが成長をけん引しており、記録的な四半期となった導入量の大部分を占めた。ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス(Benchmark Mineral Intelligence)と太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association)が発表した報告書によると、この3カ月間に、容量1ギガワット時を超えるギガスケールのバッテリー設備が7カ所、新たに稼働した。

「結局のところ、一握りの大型プロジェクトが大きく押し上げたということです」と、ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスでエネルギー貯蔵部門を率いるシャン・トムークは言う。

一方、いわゆる「需要家側(behind-the-meter)」のバッテリーも増加した。このカテゴリーには、住宅用と産業用のバッテリー蓄電システムが含まれる。こうした設備は一般に電力系統向けの大規模設備より小さく、電力会社や電力供給事業者ではなく、住宅所有者や企業が所有・運用する。

需要家側のカテゴリーでは、データセンターがけん引役となり、商業部門で新たに導入されたバッテリーの約4分の3を占めた。一方、住宅用バッテリーの導入は急速に鈍化した。こうしたシステムは、太陽光パネルで発電した電力を蓄えたり、停電時の非常用電源として使ったりする目的で住宅に設置されることが多い。報告書によると、住宅への設置量は2026年に前年比16%減少すると予測されている。

この減少の主因は、住宅用バッテリーシステムの導入を支援していた税額控除が2025年に終了したことだと、トムークは言う。住宅向けの導入は2020年代末までには回復する見込みだという。一方、非住宅用バッテリーを対象とする税額控除は、おおむね維持されている。

全体として、バッテリーは現在、エネルギー分野の中でも明るい材料の一つとなっている。「米国では有力な分野の1つです」と、エネルギー調査会社ブルームバーグNEF(BloombergNEF)のエネルギー貯蔵アナリスト、菊間一柊は言う。

バッテリー市場が成長を続ける中、注目すべき大きな動きの1つが、米国製技術への移行だ。現在、新たに稼働するシステムのほぼすべてが中国製のセルを使っているが、その一部は米国内で完成した蓄電システムとして組み立てられている。

関税によって、米国のエネルギー貯蔵産業はすでに国内生産へと向かいつつあった。さらに今年からは、エネルギー貯蔵向けの税額控除を受けるために、プロジェクト側が中国から輸入したバッテリーへの依存を一定程度抑えることを求められるようになった。米国内では多くの生産能力が新たに立ち上がる予定だが、こうした工場で需要を満たせるようになるのは早くても2030年ごろになる可能性が高いとトムークは言う。そのため、それまでは価格がやや上昇する可能性がある。

人気の記事ランキング
  1. Promotion AI White Paper 2026 松尾・岩澤研協力『AI白書2026』発売、サブスク版も開始
  2. Agriculture relies on fossil fuels. It’s costing us. なぜ肥料が高いのか? 食料価格が化石燃料と結びつく理由
  3. The inside story on why OpenAI agents hacked Hugging Face AIエージェントはなぜハッキングに走ったか?オープンAI報告書の中身
ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る