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ビジネス・インパクト

James Webb Space Telescope: 10 Breakthrough Technologies 2023 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡

2022年に運用を開始したNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、先代の宇宙望遠鏡の100倍の解像度を持つ。宇宙の最初の星や銀河の形成をはじめ、天文学のさまざまな分野で新しい知見をもたらしてくれそうだ。

by Jonathan O'Callaghan 2023.03.06
NASA/ESA/STSCI
キープレイヤー
NASA、欧州宇宙機関(ESA)、カナダ宇宙庁、宇宙望遠鏡科学研究所
実現時期
実現済み

2021年12月に打ち上げられた米国航空宇宙局(NASA)のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)は、完成までに10年の歳月と100億ドルの費用を費やした。米国と欧州、カナダの共同プロジェクトであり、これまでで最大の宇宙望遠鏡である。解像度は、その前に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)の100倍。赤外線放射を検出するための特別な設計が施されており、塵に邪魔されることなく、宇宙の最初の星や銀河が形成された時代まで遡ることができる。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、まさにそうした天文学的な「時間旅行」のために特別に開発された。主鏡の直径はハッブルの3倍の21フィート(約6.4メートル)もあり、はるかに高い解像度を実現している。テニスコートほどの大きさのサンシールド(日除け)を備え、太陽の熱や光からミラーや機器を守る。宇宙空間に送りやすくするため、開発チームは鏡やサンシールドを折りたたみ式とし、流線型のロケットの内部に収まるようにした。これらの部分は、打ち上げの後、地球から150万キロ離れた最終的な軌道にたどり着くまでの間に展開された。

天文学者はこの望遠鏡を使って、ビッグバンの後、宇宙に最初の銀河が誕生した経緯を解明できるのではないかと期待している。だが、この宇宙望遠鏡の目的はそれにとどまらない。天文学の様々な分野で幅広く使用されている。まず、別の恒星系の惑星についてこれまでにない知見をもたらし、その大気の成分を解明できる可能性がある。新しい世界の誕生を目撃したり、星雲の見事な写真を撮影したり、銀河の構造を詳しく調べるなど、たくさんの用途が考えられる。

現在も、毎日のように新たな発見がもたらされている。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の寿命は20年以上と推測されており、退役するまでずっと発見を提供し続けるだろう。

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