KADOKAWA Technology Review
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持続可能エネルギー

Battery recycling: 10 Breakthrough Technologies 2023 バッテリーのリサイクル

リチウムイオン電池の需要が急増し、材料の調達が困難になっている。使用済みバッテリーから貴重な金属を回収するリサイクルは今後、ますます重要になっていくだろう。

by Casey Crownhart 2023.03.06
Redwood Materials
キープレイヤー
CATL、ユミコア、レッドウッド・マテリアルズ、ライサイクル、シルバ
実現時期
実現済み

古いノートPC、腐食した電動ドリル、電気自動車(EV)などから回収された価値の高い金属は、古いバッテリーから新しいバッテリーを作ることを可能にするリサイクル技術の進化により、明日の自動車の動力源となるかもしれない。

電気自動車がより一般的なものになったことで、リチウムイオン電池の需要は急上昇している。電気自動車の利用の増加は、気候にとっては良いニュースだ。しかし、バッテリーセルの製造に必要となる金属の供給は既にひっ迫しており、リチウムの需要は2050年までに 20倍に膨れ上がる可能性がある。

そこでリサイクルが役に立つ。使用済みのバッテリーを処理する従来の方法では、個々の金属を確実に回収し、リサイクルの経済性を高めることは難しかった。しかし、新たな方法によって、金属を融解してバッテリー廃棄物から分離するリサイクルがより効率的にできるようになり、状況は急速に変化しつつある。

リサイクル設備は今や、使用済みバッテリーおよびバッテリー製造時の廃棄物から、コバルトとニッケルのほぼすべてを、そしてリチウムの80%以上を回収することが可能になっている。リサイクル業者はそれらの金属を、採掘した原料に近い価格で販売する計画だ。アルミニウム、銅、グラファイトも同様によく回収されている。

今日のバッテリー・リサイクルは、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)のような大手バッテリー企業の子会社が中心となり、中国が世界をリードしている。欧州連合(EU)は最近、バッテリー製造業者に義務付ける大規模なリサイクル規制を提案したところだ。レッドウッド・マテリアルズ(Redwood Materials)やライ・サイクル(Li-Cycle)などの北米企業は、公共投資および個人投資家から数十億ドルの資金提供を受け、事業を急速に拡大している。

バッテリーの需要は、今後数十年間で指数関数的に増加すると予想されている。リサイクルだけではその需要を満たすには不十分だろう。そして、現在の新しいリサイクル方法も完璧なものではない。しかし、バッテリー・リサイクル工場は、世界が気候変動に関する目標を達成するために必要としている材料を生み出し、供給することになるだろう。

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