フラッシュ2022年8月4日
- 生命の再定義
新型コロナ抗体量を8分で自動測定、理研など新システム
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所、千葉大学、アール・ナノバイオの共同研究チームは、ヒトの指先から採取した血液1滴(5マイクロリットル)を使って、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の各種変異株に対する抗体量を8分で自動測定するシステムを開発した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種の効果を、変異株に関してもその場で精密検査できるほか、今後新たに生じる変異株に関する検査も容易に実施できるようになるという。
研究チームは、新型コロナウイルスの内部にあるヌクレオカプシド・タンパク質と、表面にあるスパイク・タンパク質、さらにデルタ株やオミクロン株由来を含む変異株6種のスパイク・タンパク質を一つのマイクロアレイチップ上に固定化。血液を入れたカートリッジと同チップを装置にセットするだけで、それら複数のタンパク質に対する抗体量を、完全自動により8分間で定量測定できることを示した。このシステムによる検査結果は、従来の酵素結合抗体吸着法(ELISA法)による結果と高い相関性で一致した。
スパイク・タンパク質に結合する抗体の量は、抗体がウイルスの体内細胞への感染をどれくらい防御できるかの目安になる。新型コロナウイルス抗体の検査に現在使われている手法には、医療現場で実施する免疫クロマトグラフィ―法と、分析センターで実施する酵素結合抗体吸着法がある。前者の検査は10~15分で済むが定性的にしか評価できず低感度であり、後者は定量的に評価でき高感度であるが検査に数日から1週間かかる。
研究成果は、アナリティカル・サイエンシズ(Analytical Sciences)オンライン版に8月2日付けで掲載された。
(中條)
- 人気の記事ランキング
- Deepfakes of Chinese influencers are livestreaming 24/7 AI生成インフルエンサーが 24時間稼ぎ続ける 中国ライブコマース新事情
- AI just beat a human test for creativity. What does that even mean? AIが創造性テストで人間に勝利、その衝撃結果が意味すること
- What to know about this autumn’s covid vaccines 新型コロナに秋の流行の兆し、ワクチンの現状は?
- Why we should all be rooting for boring AI 生成AIの「キラキラしない」未来に期待する理由
- Who benefits most from the new covid vaccines? 秋接種が始まった新型コロナ・ワクチン、誰が接種すべきか?