フラッシュ2023年12月4日
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コンピューティング
放熱性能を2倍以上に高めた窒化ガリウム・トランジスタ
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪公立大学、東北大学、北京大学、エア・ウォーターの研究グループは、放熱性能を従来品の2倍以上に高めた窒化ガリウム・トランジスタを開発した。窒化ガリウム・トランジスタは、動作時の発熱が性能低下や寿命短縮の原因になるが、従来品が基板として使っている炭化ケイ素では放熱性能が不十分と考えられている。そこで基板材料として、最も高い熱伝導率を持つダイヤモンドが注目されているが、素子とダイヤモンドとの接合が困難なことから、期待通りの放熱性能は得られず、実用化に至っていない。
研究グループはまず、シリコン基板上に厚さ3μm(マイクロメートル)の窒化ガリウム層と、厚さ1μmの炭化ケイ素層を形成。シリコン基板から上層2層を剥離し、表面活性化接合法を利用してダイヤモンド基盤上に接合した。接合界面は、1100℃の熱処理をした後でも剥離が起こらず、高品質なヘテロ接合界面となった。新たに開発した窒化ガリウムトランジスタを従来品と比較したところ、放熱性能が2.3倍向上していることが明らかになった。先行研究でダイヤモンド基板上に作成した他のトランジスタよりも放熱性能が優れていることも分かった。
研究成果は11月14日、スモール(Small)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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