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A meteor that came from another solar system may have hit Earth in 2014太陽系外から恒星間天体が5年前にも飛来、大気圏で焼失か?

米国航空宇宙局(NASA)の地球近傍天体データベースを調査していた研究者は、5年前に南太平洋上空の大気圏で燃え尽きた隕石を発見した。

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米国航空宇宙局(NASA)の地球近傍天体データベースを調査していた研究者は、5年前に南太平洋上空の大気圏で燃え尽きた隕石を発見した。

太陽系外から地球に接近した初の天体として知られている「オウムアムア(Oumuamua)」に、2018年は相当な興奮が起こった。研究者のいくつかのコメントから、異星人ではないかの憶測まで流れた(異星人ではないので、落ち着いて)。 この発見がきっかけとなり、ハーバード大学のアビ・ローブ教授らのチームは、地球近傍の最速の隕石の研究を始め、奇妙な軌道を持つ天体をもっと探そうとした。

より速い動きは、地球を回る軌道に縛られていない隕石だというサインになる。研究者が見つけた幅90メートルの隕石は、2014年1月に地球の大気圏で燃え尽きたとき、秒速約60キロメートルで飛んでいた。これが、発見した隕石が惑星間に起源を持つのではないかという最初の手掛かりだった。

アーカイヴ(arXiv)で発表された最初の論文で、ローブ教授のチームは隕石の軌道を時間的にさかのぼると、その隕石は別の惑星系内、あるいは銀河系の星から飛来したかもしれないことが分かると述べた。これは、太陽系外から地球に飛来した初の隕石となるだろう。

もちろん、他にも過去に太陽系の外から隕石が飛んで来ているかもしれないが、ただ、その時点で探知する能力はなかった。実際、おそらく10年に一度だとチームは予測している。

大気圏で燃え尽きる前に、このような隕石をもっと上手く追跡し探知できれば、隕石が完全に消え去ってから何年も経った後にただその軌道を調べるのではなく、隕石の残骸の研究もできるようになるだろう。

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  • 画像クレジット: Photo by Daniel Olah on Unsplash
エリン・ウィニック [Erin Winick] 2019.04.21, 10:55
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West Virginia will allow “blockchain voting” in the 2020 election. That’s a risky idea.大統領選で「ブロックチェーン投票」一部導入へ、ウェストバージニア州

海外駐留中の米軍人は2020年の大統領選から、プライベート・ブロックチェーンを利用したモバイル・アプリでの投票ができるようになる。選挙セキュリティの専門家の声は届かなかったようだ。

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海外駐留中の米軍人は2020年の大統領選から、プライベート・ブロックチェーンを利用したモバイル・アプリでの投票ができるようになる。選挙セキュリティの専門家らの声は届かなかったようだ。

ウェストバージニア州のドナルド ・カーシー選挙管理人は、 暗号通貨関連のニュースサイト「ロングハッシュ(LongHash )」に対し、スタートアップ企業「ヴォーツ(Voatz)」が作ったアプリによって、在外有権者の投票率を向上できるとの考えを述べた。在外有権者が投票用紙を受け取って確実に期限内に返送するのは簡単ではない場合が多く、投票率が非常に低い理由の1となっている。

そこで、多くの州が海外に駐留している軍人に対して、電子メールでの投票を許可している。ウェストバージニア州はどうやら、ヴォーツのプライベート・ブロックチェーンでこの種のオンライン投票がより安全に実施できるとの考えに同意しているようだ。同州は2018年の中間選挙でこのプログラムを試験導入した。

だが、選挙セキュリティ専門家の多くは、ブロックチェーンかどうかによらず、あらゆる種類のオンライン投票に異議を唱え、ウェストバージニア州の2018年の試験導入を厳しく批判している。

著名な暗号専門家、コンピューター科学者、そして政治学者が、有権者が民主的選挙に期待する機密性やアクセシビリティなどを備えたインターネット投票システムを開発することは技術的に不可能だと結論づけている。 その上、ブロックチェーンは特有の新たな脆弱性をもたらす(「米国初のスマホ投票、ブロックチェーン活用でも残る根本的問題」参照)。

アプリが危険にさらされない確証はないとカーシー選挙管理人は認めているが、ウェストバージニア州の方針は揺るがない。特に昨年の中間選挙で、「非常に良好な投票率」が得られたとあってはなおさらだ。「モバイル投票が最良の解決策だとか、ブロックチェーン・テクノロジーが機密データのベストな保存方法だと言うつもりはありません」とカーシー選挙管理人はロングハッシュの取材に答えた。「私たちが言い続けているのは、既存の手法よりこちらのほうがマシだということです」。

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  • 画像クレジット: Element5 Digital | Unsplash
マイク オルカット [Mike Orcutt] 2019.04.21, 9:55
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The scientist who created CRISPR babies is on TIME’s most influential list—but not in a good way遺伝子編集ベビーの科学者、タイム誌の「最も影響力のある100人」に

フー・ジェンクイ(賀建奎)は有名になりたかった。だが、まさかこうなるとは思っていなかっただろう。

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フー・ジェンクイ(賀建奎)は有名になりたかった。だが、まさかこうなるとは思っていなかっただろう。

タイム(TIME)誌は2019年の「世界でもっとも影響力のある100人」に、世界初の遺伝子編集を受けた子どもを作った南方科技大学のフー元准教授を選んだ。 ただし、これにはオチがある。同誌は、CRISPR(クリスパー)の共同発明者であるカリフォルニア大学バークレー校の生化学者ジェニファー・ダウドナ教授に、フー元准教授のプロフィール執筆を依頼したのだ。言うまでもなく、彼女にとっては歓迎できない出来事だ。

フー元准教授は昨年11月、遺伝子編集ツールのCRISPRを使ってゲノム編集を施した双子の女児を誕生させたと発表した。フー元准教授はこれで有名になれると思った。もしかしたらノーベル賞にも手が届くだろう、と。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の遺伝子学者レオニード・クルグリャック教授は、歌手のアリアナ・グランデや俳優のラミ・マレックと並んでフー元准教授がリスト入りしたことについて、「彼の思い通りになってしまったことは大変遺憾です」と話す。

フー元准教授の悪評を否定することは難しい。フー元准教授の実験は何週間にもわたって新聞の第一面を賑わし続けた。しかしタイム誌はここでいい仕事をした。CRISPRを共同発明し、2015年にはその技術を濫用してデザイナー・ベビーを作ることに警告するキャンペーンを始めたダウドナ教授に原稿を依頼したのだ。

ダウドナ教授は手加減しない。フー元准教授の「無謀な女児を使った実験」は、「ヒト胚の編集は比較的容易だが、うまく実現するのは信じられないほど難しい」ことを証明し、またフーの判断は「歴史上もっとも衝撃的な科学的手段の誤用の1つとして記憶されるでしょう」と書いている。

このCRISPRベビー・スキャンダルにおける1つの疑問は、米国の科学者らがフー元准教授の研究にどの程度の奨励や支援をしていたかだ。今週、スタンフォード大学は、フー元准教授の計画を知った同大教授の研究への関与はなかったことを明らかにした。

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  • 画像クレジット: TIME
アントニオ レガラード [Antonio Regalado] 2019.04.21, 8:55
2日前
Activists are suing Canada over plans to build a “smart city” in Torontoグーグルのスマートシティはプライバシー侵害、人権団体が提訴

アルファベット子会社のサイドウォーク・ラボ(Sidewalk Labs)が主導するカナダのスマートシティの計画中止を求めて、カナダ自由人権協会(CCLA)は国、州、市を相手取り、訴訟を起こした。

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グーグル子会社のサイドウォーク・ラボ(Sidewalk Labs)が主導するカナダのスマートシティの計画中止を求めて、カナダ自由人権協会(CCLA)は国、州、市を相手取り、訴訟を起こした

訴訟の目的は、トロント市内にセンサーあふれる未来地区を作ろうとしているウォーターフロント・トロント(トロント市が設立した地域開発会社)とサイドウォーク・ラボの契約打ち切り。両社が提案した計画には、歩行者を追跡する交通信号、地下トンネルを利用してゴミを運ぶロボット、無人シャトルバスなどが含まれている。

だが、この提案は当初から懸念の声が上がっており、CCLAは個人のプライバシーの権利を侵害する計画だと主張している。今回の訴訟は、絶えず監視が続くともいえるスマートシティ計画に対して「有意義なコンセンサス」が本当に得られるのか、疑問を投げかけるものだ。

ウォーターフロント・トロント側は、計画はまだ初期段階であり、CCLAの主張を評価するのは時期尚早だとの声明を発表している。オンタリオ州裁判所の判断が注目されそうだ。

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  • 画像クレジット: Sidewalk Labs
シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2019.04.19, 11:55
2日前
Facebook is working on a voice assistant to embed within its productsフェイスブックが音声アシスタントを開発中、アレクサに対抗

フェイスブックは2018年初めから音声アシスタント・ソフトウェアを開発している。だが、提供時期は未定だという。ニュース専門放送局のCNBCが報じた。

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フェイスブックは2018年初めから音声アシスタント・ソフトウェアを開発している。だが、提供時期は未定だという。ニュース専門放送局のCNBCが報じた。

新しい音声アシスタントは、ワシントン州レドモンドを拠点とする同社の拡張現実(AR)・ 実質現実(VR)グループの内部で開発が進んでいる。プロジェクトを率いるのは、AR/VRおよびフェイスブック・アシスタント(Facebook Assistant)の担当ディレクターであるアイラ・スナイダーだ。

音声アシスタント製品はすでに市場にあふれている。 アマゾンのアレクサ(Alexa)が音声アシスタント分野において大きなシェアを占め、グーグル・アシスタントがそれに続く。さらに、アップルのシリ(Siri)とマイクロソフトのコルタナ(Cortana)がその後を追っている。

勝算はあるのだろうか?フェイスブックは音声アシスタントを自社の製品、具体的にはスマートディスプレイの「ポータル(Portal)」、およびオキュラス VR(Oculus VR)ヘッドセットと統合するつもりだという。

フェイスブックは以前にも、バーチャル・ヘルパーを提供しようとしたことがあった。同社は2015年に、メッセンジャー・アプリ向けに人力の「M」アシスタントの開発を発表したが、昨年、プロジェクトを断念している

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  • 画像クレジット: Niall Carson/PA Wire (Press Association via AP Images)
シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2019.04.19, 6:52
3日前
The UK is going to introduce its controversial porn block on July 15英国政府、アダルトサイトに「成人確認」義務付けへ 7月から

英国で7月に導入される新制度は、ポルノ・コンテンツを提供するWebサイトに対して、利用者が18歳以上であることを確認するよう求めている。だが、この制度は広く批判されており、何度も導入が延期されてきた。

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英国で7月に導入される新制度は、ポルノ・コンテンツを提供するWebサイトに対して、利用者が18歳以上であることを確認するよう求めている。だが、この制度は広く批判されており、何度も導入が延期されてきた。

新制度の導入により、英国内からポルノ・サイトにアクセスしたい人は自身の年齢を証明する必要がある。商業ポルノ・サイトには、英国からのアクセスに対して、パスポートやクレジットカード、運転免許証などの書類を使って年齢を確認することが義務付けられ、未成年の場合にはアクセスの禁止を命じる。デイバス1台につき6.5ドルで購入できる「ポルノ・パス」も店頭販売される予定だ。

新制度は、英国の映像審査機関である全英映像等級審査機構(BBFC)が監督する。現時点では、世界最大級のポルノ・ストリーミング企業であるマインドギーク(MindGeek)だけが新制度の認可を受けており、同社は複数のサイトにシングル・サインオンで利用できる「エイジID(AgeID)」を提供する。つまり、マインドギークに登録した利用者は、年齢を一度だけ証明すればいいわけだ。

2017年に可決されたデジタル経済法(Digital Economy Act)の一部である新制度の導入は、これまでに数回延期されている。当初計画では、2018年4月に始まる予定だった。

ポルノへの関心を持つすべての英国在住者のデータベースの作成を民間企業1社が担うことは、ハッカーや詐欺師のための巨大な「ハニーポット」に繋がる恐れがある。おまけに、新しいスキームが目論見通りにうまくいくかどうかも定かではない。安価かつ手軽に利用できるVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を使えば、国外からのアクセスを装うことも可能だ。さらに英国の調査会社ユーガブ(YouGov)が最近実施した調査によると、多くの英国在住者は新制度について聞いたことがないという。

この種の制度の導入は世界初の試みとなる。英国の政治家に制度の再考を求める声もあるものの、その可能性はなさそうだ。

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  • 画像クレジット: Associated Press
シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2019.04.18, 19:18
企画・研究のアイデアに、
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3日前
CRISPR has been used to treat US cancer patients for the first time米国初のCRISPRによるがん治療、ペンシルベニア大で始まる

遺伝子編集ツール「クリスパー(CRISPR)」を用いて、2人のがん患者の血液細胞を強化する治験が実施されている。

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遺伝子編集ツール「クリスパー(CRISPR)」を用いて、2人のがん患者の血液細胞を強化する治験が実施されている。

ペンシルベニア大学で進行中のこの研究は、ヒトのT細胞の遺伝子を改変してがん細胞を攻撃させ、破壊しようとする試みだ。現在、肉腫患者と多発性骨髄腫患者の合わせて2人をこの方法で治療中であることを大学の広報担当が認めた。

この先駆的な研究の計画が最初に報じられたのは2016年のことだ。だが、研究が始まったのは遅かった。一方、中国の病院では、類似の取り組みが何例も始まっている。米国の高名ながん専門医であるペンシルべニア大学のカール・ジューン教授は、CRISPR利用における中国の先行を、遺伝学におけるスプートニク(史上初の人工衛星)にたとえている。

患者にCRISPRの手法を適用するためには、体内から取り出した細胞を使うのがより安全で簡単だ。今回の新たな研究でもこの方法が採用された。医者が患者から血液を採取し、免疫細胞の遺伝子を編集した後、患者の体内に戻している。

遺伝子編集では、T細胞にがんを攻撃させる遺伝子を1つ加え、免疫システムの防御を止める可能性があるPD-1と呼ばれる別の遺伝子を取り除いた。

PD-1の働きを抑制する医薬品は、免疫療法として知られており、いくつかのがんの治療で画期的な効果を上げている。これと同じ効果を、T細胞のDNAに直接導入しようというアイデアだ。

ペンシルバニア大学のがん研究は、CRISPRを使って現在実施されている多くの医学的治療の1つである。たとえば欧州では今年、ベータサラセミア(地中海性貧血)と呼ばれる遺伝性疾患の患者が初めてCRISPRによる治療を受けた。

今回の研究は、ナップスター共同創業者でフェイスブックの初期投資家でもあるショーン・パーカーが創設したパーカーがん免疫療法研究所と、Tミュニティ(Tmunity)というスタートアップ企業の資金提供を受けている。 パーカーはT細胞を、再プログラミング可能な「小さなコンピューター」になぞらえている。

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  • 画像クレジット: Wikimedia
アントニオ レガラード [Antonio Regalado] 2019.04.18, 18:24
3日前
Stanford has cleared its professors over the CRISPR baby scandal遺伝子編集ベビーへの関与なし、スタンフォード大が調査結果を発表

スタンフォード大学の3人の著名科学者は、初のクリスパー(CRISPR)ベビーを誕生させた中国人科学者のプロジェクトに「直接の関与」はなかったと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

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スタンフォード大学の3人の著名科学者は、初のクリスパー(CRISPR)ベビーを誕生させた中国人科学者のプロジェクトに「直接の関与」はなかったと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

スタンフォード大学は、中国・南方科技大学の賀建奎(フー・ジェンクイ)元准教授が率いた世界初の遺伝子編集ベビーを誕生させたプロジェクトへの同大教授の関与について、調査を実施した。この調査は、MITテクノロジーレビューが初めて明らかにしたものだ(フー元准教授の研究について判明していることはこちらを参照)。

スタンフォード大学の調査により、3人の教授の不正行為の疑いは晴れた。対象となった教授の中で特に注目されたのは、フー元准教授がスタンフォード大学の研究員だった当時の指導教官・生物物理学者のステフェン・クエイク教授だ。スタフォード大学の報告によると、クエイク教授はフー元准教授が後に実施した遺伝子編集の実験を直接的に支援したわけではないという。スタンフォード大学は調査報告の中で、フー元准教授の研究に金銭的あるいは組織的なつながりを持つ教授はいなかったとしている。それどころか、クエイク教授はフー元准教授を説得してプロジェクトを断念させようとし、フー元准教授が研究を続行すると主張した後も適切な手順に従うよう促したという。

フー元准教授が2018年11月、遺伝子を編集したルルとナナという名の双子の誕生を発表して以来、研究について知っていた人物は何をすべきだったのか、科学界において問題が提起されてきた。スタンフォード大学の調査は終了したが、倫理的に問題のある研究を目の前にした時に科学者がすべきことについての疑問は、依然として残っている。

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  • 画像クレジット: Flickr | Philip Odegard
シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2019.04.18, 11:36
3日前
Scientists have restored circulation to severed pig brains in a step that blurs the definition of death揺らぐ死の定義、「死んだブタ」の脳の一部機能が回復

生きている「瓶詰めの脳」。まるで出来の悪いSFで使い古されたイメージだが、イェール大学の科学者はこれを本当にやってみたという。

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生きている「瓶詰めの脳」。まるで出来の悪いSFで使い古されたイメージだが、イェール大学の科学者はこれを本当にやってみたという。

ネナド・セスタン教授率いる研究チームは、胴体から切り離したブタの頭部をニュー・ヘイヴンの食肉処理場から引き取り、死亡数時間後に循環機能の回復を試みた。研究成果は4月17日付けのネイチャー誌で発表された。

実験の結果、脳内の細胞の多くの活動を維持し、1日以上機能させ続けることに成功した。MITテクノロジーレビューは2018年4月にブタの脳を使ったこの実験を初めて報じている。

セスタン教授によると、脳細胞は生きていたものの、 ニューロンからの電気信号は検出されなかった。もし検出されていれば、胴体から切り離された状態で脳だけが意識を取り戻したことを示す結果となったかもしれない。

研究に参加した倫理学者は報道関係者向けの電話会見で、もし意識の回復を示す証拠が見つかっていれば、研究は中止しなければならないと話した。セスタン教授は、脳は「生きてはいない」と断言している。

研究チームが実験に使ったのは、独自に開発した「ブレインエックス(BrainEx)(BrainEx)」と呼ばれる装置だ。ブレインExは、ポンプ、フィルター、外科的連結などを使い、微小血管を含め、脳に酸素を供給する人工血液の循環機能を再生する。

今後大きな問題になりそうなのは、「死の定義」だ。心蔵が停止して数分が経つと、医師は死亡を宣告できる。ときには心臓や腎臓を移植するために速やかに摘出することもある。だが、死の定義はこのテクノロジーによって曖昧になるかもしれない。

ケース・ウェスタン大学の生命倫理学者であるスチュアート・ヤングナー教授とヒョン・インス教授は、「ブレインエックスと同様のテクノロジーが人間用に改良・開発されれば、 脳死判定を受けた患者は(中略)臓器提供よりもむしろ、脳蘇生の対象となる可能性があります」と述べている。

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  • 画像クレジット: Flikr
MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors] 2019.04.18, 11:10
3日前
NASA’s Cassini probe has discovered deep lakes on Saturn’s moon Titan土星の衛星タイタンに深い湖、カッシーニ探査機のデータから判明

米航空宇宙局(NASA)の土星探査機「カッシーニ(Cassini)」の観測データにより、土星の最大の衛星タイタンにメタンで満たされた小さく深い湖がいくつかあることが明らかになった。

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米航空宇宙局(NASA)の土星探査機「カッシーニ(Cassini)」の観測データにより、土星の最大の衛星タイタンにメタンで満たされた小さく深い湖がいくつかあることが明らかになった。

タイタンは太陽系の中で、その表面に液体の存在が確認された、地球以外の唯一の天体である。しかしタイタンの場合は、水循環ではなくメタンやエタンの循環が起こっている。

研究者たちは、カッシーニ探査機が2017年に実施したフライバイ(近傍通過)のうちの1回で収集したレーダー・データを使用した。研究チームは、すでに確認されている北に位置する規模の大きな海に加えて、タイタンのいくつかの小さな湖もまたメタンで満たされており、少なくとも1つの湖は100メートルを超える深さであることを発見した。さらに、周期的に液体が満ちたり、干上がったりする「幻の湖」の存在も研究チームによって明らかになった。

もう1つ驚くべきことは、こうした規模の小さい湖が、丘や台地の高地で見つかっていることだ。「新しい発見をするたびに、タイタンはますます謎めいていきます」。論文の主執筆者であるカリフォルニア工科大学のマルコ・マストロジュゼッペ博士はプレスリリースでそう述べた。「しかしこうした新たな観測が、いくつかの重大な問題を解く助けになります。実際に今私たちは、タイタンの水文学(すいもんがく)を一層理解できています」。この研究の論文は4月15日付けで、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に掲載された。

タイタンの湖の独特な形状と深さは、氷と固体有機物でできた岩盤が化学作用で溶解し崩れた際に形成されたと考える根拠を提供している。

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  • 画像クレジット: This near-infrared, color view from Cassini shows the sun glinting off of Titan’s north polar seas
エリン・ウィニック [Erin Winick] 2019.04.18, 6:46
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