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ボーイングのスターライナーが初の無人飛行、ISSには到達せず
Bob O'Connor
Boeing’s Starliner won’t make it to the ISS now because its internal clock went wrong

ボーイングのスターライナーが初の無人飛行、ISSには到達せず

12月20日に初めて宇宙に打ち上げられたボーイングの宇宙船「CST-100スターライナー(Starliner)」は、予定していた国際宇宙ステーション(ISS)と接続するための安定軌道に入ることに失敗した。

スターライナーを搭載したアトラスVロケットは、ケープカナベラル空軍基地から打ち上げに成功したものの、宇宙船内部のシステム・タイマーで異常が発生。アトラスVロケットから切り離された後、スターライナーは予定されていた飛行区分と実際とは異なる飛行区分にいると思い込み、目標軌道に入るためにエンジンを噴射する代わりに、軌道修正のために予定されていた別の噴射を実施してしまった。燃料を余分に消費してしまったため、ISSとのドッキングを試みるのは困難となった。

NASAは状況を修正しようと、スターライナーに地上から指令を送ろうとしたが、軌道上の通信衛星に接続すると、スターライナーが信号の届かない場所にいることがわかった。通信が再開すると、地上チームは再突入に向けて宇宙船を安全で最適な条件の軌道へと安定させる方が懸命だと決断した。

NASAのニコール・マン宇宙飛行士は、宇宙飛行士が乗船していれば自動装置を解除し、宇宙船を適切な軌道に乗せる措置が講じられたはずだと述べる。マン宇宙飛行士は、今後の有人テスト飛行でスターライナーに乗船する予定だ。NASAのジム・ ブライデンスティン長官は、スターライナー打ち上げ後の記者会見で同様の意見を繰り返し、これがもし有人飛行だったとしたら「乗組員は安全だっただろう」と述べた。

ボーイングとNASAは、なぜスターライナーのタイマーが正しく作動していなかったのか、まだわかっていない。今後数日間、その理由を詳細に調査するだろう。スターライナーがISSと安全にドッキングできるかは試せないものの、軌道上にある間は必ず適切に機能するよう取り組み、残った推進燃料でどのような任務目標が果たせるかを決断することになる。現在の計画では、2019年12月22日朝にスターライナーは地球に帰還する予定だ。元の計画通り、着陸地点はニューメキシコ州ホワイトサンズの砂漠となる。

ブライデンスティン長官は、スターライナーが再び無人テスト飛行を実施する必要があるか、あるいは今回の結果が商用有人宇宙船開発計画のスケジュールにどう影響するか判断するのは時期尚早だと述べる。ブライデンスティン長官はまた、スターライナーの問題がスペースXのクルー・ドラゴン(Crew Dragon)の開発に影響を与えることはないと強調した。クルー・ドラゴンは、NASAがISSに宇宙飛行士を送るために使用する、もう1つの宇宙船だ。2020年3月に宇宙ステーションに到達するための最終チェック項目として、発射台上の緊急脱出試験(パット・アボート・テスト)の実施を1月に予定している。クルー・ドラゴンは2020年中にも初の有人飛行を実施する予定だ。

ニール・V・パテル [Neel V. Patel] 2019.12.22, 21:35
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