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遺伝子を選ぶ、選ばない、編集する——精密医療と向き合う4人の当事者の声
Ian Allen
生物工学/医療 無料会員限定
Profiles in precision medicine

遺伝子を選ぶ、選ばない、編集する——精密医療と向き合う4人の当事者の声

遺伝子検査に基づく最先端の適確医療(Precision Medicine=精密医療とも呼ばれる)は、人々にどんな恩恵を与え、どんな問題を内包しているのだろうか。ここでは、着床前遺伝子診断を実施して子どもを授かった夫婦、治療の費用が賄えずに苦しんでいる患者、自分の遺伝子変異を知りながら着床前診断をしない決断をしたバイオテク企業のCEO、CRISPRによるヒト胚の遺伝子編集に取り組む研究者が、それぞれの経験を述べる。 by MIT Technology Review Editors2018.11.24

ジェフ・キャロル

ウェスタン・ワシントン大学准教授

ワシントン州ベリンガム

私がまだ小さい頃、母がハンチントン病で弱り、最終的には死んでしまう様を目にするという恐ろしい体験をしました。私自身がハンチントン病の遺伝子を受け継いだことを知った時、私たち夫婦は当然大きなショックを受けました。

私たち二人には、今後授かる子どものリスクがわかっていたのです。ハンチントン病の親を持つ子どもは、その変異遺伝子を受け継いでいれば、確実に発病します。受け継いでいない場合は、本人も子孫も発病することはありません。ハンチントン病は、突然変異した遺伝子が1個あるだけでこの病気を発病する優性遺伝病なのです。ハンチントン病患者の子どもの半数が、親と同様にこの病気を発病します。

検査結果がわかった時、私たち夫婦は絶対に実子を持たないことに決めました。

その数年後、体外受精させた胚でハンチントン病の遺伝子の有無も診断できる、着床前遺伝子診断という新しい診断法について知りました。問題のない胚のみを着床させることで、私たちの子どもにハンチントン病が遺伝するリスクを、50%からほぼ0%にすることができるのです。私たちは考えを変えました。

私たちの居住している市には当時、着床前診断プログラムを始めたばかりの体外受精クリニックがありました。しかし、そのクリニックでは、遺伝子スクリーニングを経た妊娠にまだ成功しておらず、私たちはモルモットになるところでした。

しかし、幸運にも、変異遺伝子を受け継いでいない元気な双子を妻が2006年に生みました。それから12年以上が経過した今、私に言えるのは、このテクノロジーを使って健康な子どもを授かるのは、診断結果に対抗するための最も強力な方法の1つだったということです。

ハンチントン病については、いまだに病態修飾療法(疾病の発病を抑えたり、進行を遅らせたりする治療法)がありませんが、私に必要となるまでには確立されることを期待しています。しかし、いずれにせよ、着床前遺伝子診断により、遺伝子疾病を持つ親は自分の子どもや将来の子孫の全員が疾病にかからないようにできるのです。

ローラ・モーザー

嚢胞性線維症患者

テキサス州オースティン

私は1977年に生まれ、2歳の時、細胞の塩化物の処理を調整するタンパク質を変質させる欠陥遺伝子が引き起こす病気である嚢胞性線維症と診断されました。この病気の患者の平均寿命は14歳でした。これまでに嚢胞性線維症という病名を聞いたことのなかった両親はパニックに陥りました。彼らは自分たちの人生を嚢胞性繊維症財団の活動に捧げ、薬の研究開発費として75万ドル以上を今日までに調達してきました。

この病気は両親が恐れていたほど早くは私に影響を及ぼしませんでした。私は16歳の時から働き始め、大学在学中も働き続けました。しかし、医療保険のほうが大学の学位より重要だったため、最終的には大学を中退しました。小売店の管理職に就き、36歳になるまでに数百万ドル規模の大企業2社で店長になっていました。

しかし、長い労働時間と不規則なスケジュールにより健康を損なってしまい、呼吸器科医が私の肺機能の大幅な低下を認めた時には、障害者の申請をしなければなりませんでした。私は、「嚢胞性繊維症は私を支配できないが、私は嚢胞性線維症を支配できる」という信念のもとに生活してきましたが、それは間違っていたので …

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MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

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