MITテクノロジーレビューはあらゆるエマージング・テクノロジー(萌芽技術)を扱っているが、中には「萌芽」の域を超えないまま終わってしまいそうなものもある。MITテクノロジーレビューが2018年に掲載した記事の中から、なかなか意味深で難解な発明をいくつか紹介しよう。その多くが未発表学術論文のデータベース『アーカイブ(arXiv)』で公開されたものだ。
人工シナプス
![](https://www.technologyreview.jp/wp-content/uploads/sites/2/2018/12/t9cag3wt_0.png)
人間の脳内のシナプスの数百万倍という速度で発火する電子シナプスが、人工ニューラル・ネットワークの構築に利用できるようになるかもしれない。
老化防止薬
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分子標的薬(mTOR阻害薬)と呼ばれる医薬品の治験によって、この薬が高齢者の免疫システムを強化して寿命を延ばせる可能性があることがわかった。ほかにも現在、セノリティクス(senolytics)という薬をテストするための別の実験が実施されている。これは老化した肉体の機能を低下させる老化細胞を取り除く医薬品だ。
・「イースター島生まれ 『若返りの秘薬』、効果を一部確認」
・「寿命はどこまで延びるのか?老化研究の第一人者に聞く」
可動部のない電動航空機
この飛行機は、プロペラの代わりに電気空気力学的推進装置を利用する。高電圧の電界がイオンを生成して加速し、「イオン風」を発生させることにより、航空機を飛行させる。
・「MIT教授が開発した『可動部のない』夢の航空機、初飛行に成功」
プログラミング可能なピルを作り出すDNAコンピューティング
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新種のDNA回路は、細胞が「損傷している」「攻撃されている」といった信号を送り出す時に使う複雑な化学的パルスを読み取ることができる。その回路をピルに組み込むことによって、適切な信号を検出した時にのみ、ピル内の医薬品を体内へ放出して、狙った感染症に対処できるようになるかもしれない。
・「分子コンピューティングへの一歩、DNA回路の挙動を実証」
集団内での脳と脳の思考のやり取り
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2015年に脳と脳のコミュニケーションを可能にする装置を構築したチームが、今度はそれを3人の間で可能にした。これによって、さらに多くの人数の間で思考を直接やり取りすることができる可能性が見えてきた。
・「史上初『脳のソーシャルネット』、テトリス風ゲームを協力プレイ」
Wi-Fiを使った壁の透視
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通常のスマホを使って、壁の向こう側にいる人間の動きを知ることができる。人間の動きによってその場のWi-Fi信号が歪められることを利用するものだ。
・「Using Wi-Fi to “see” behind closed doors is easier than anyone thought(米国版)」
衛星を介する安全な量子通信
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解読不可能な量子暗号が、中国とオーストリアの間でのビデオ会議を暗号化するのに使われた。中国が量子通信技術の開発における世界的な競争でトップに立とうとしている一例だ。
・「量子暗号を使った大陸間ビデオ会議、中国『墨子号』で成功」
・「The man turning China into a quantum superpower(米国版)」
スマホで毎秒100万コマ撮影
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スマートフォンのカメラから得られたデータをある賢い方法で処理することにより、1回シャッターを切るだけで複数のコマを撮影し、有効フレームレートを最高1メガヘルツにまで高められる(ただし、白黒写真に限る)。
・「How to mod a smartphone camera so it shoots a million frames per second(米国版)」
食べられる電子回路
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タトゥーシールに着想を得た、溶解性転写紙に印刷した使い捨て電子回路。そのうち食品や医薬品に添加されて、摂取したものの効用を追跡できるようになるかもしれない。
発電するブーツ
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このブーツを履いていると、一歩踏み出すごとに、かかとに組み込まれたデバイス内で水銀の圧縮性流れが前後に起こり、電流が発生する。小型の通信機器の充電くらいはできそうだ。
・「ブーツで発電、静電誘導のマイクロ流体装置を米大学が開発」
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- tr.staff [TR Staff]米国版
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