KADOKAWA Technology Review
×
Facebook Won’t Let Insurers Probe Your Profile

フェイスブック、保険会社によるユーザーデータの与信利用を規制

「いいね!」や言葉遣いによって価格を決定する取り組みが、フェイスブックに制限された。 by Jamie Condliffe2016.11.03

保険会社にとって、データは用心深い人以上に重要だ。しかし、ある保険会社が、フェイスブックのユーザーの行動から与信情報を得ようとして、データアクセスを制限された。

フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、英国に本社を置く保険会社アドミラルが今週発売予定だった新商品「ファーストカークオート(Firstcarquote)」では、自動車保険を初めて購入する予定の顧客が、自身のフェイスブックの行動からリスクの可能性を判定されるプログラムを選べるようになっていた。保険料は、リスクの度合いによって割引(割増しはない)されるはずだった。

アドミラルの計画では、「いいね!」や投稿内容から、誠実さに関わると実証済みの人の特徴が判断される。たとえば丁寧な文章や言葉遣いの人は、几帳面な性格と結びつけられて割引対象になり、ビックリマークや驚きを表す言葉遣いの人は自信過剰と受け取られ、割引対象にならない。

当然だが、商品のコンセプトはほとんど受け入れられず、プライバシー擁護派は呆れた。ガーディアン紙によれば、アドミラルのアプリは、ユーザーがアプリの使用を希望しても、フェイスブックのデータ収集が規制された状態だ。フェイスブックの広報担当はガーディアン紙に「当社の明確なガイドラインとして、ユーザーの保険契約の適正判断のために、フェイスブックで得られる情報の利用を防ぐべきだと考えています」と語った。

フェイスブックの判断は妥当だ。言語的にユーザーの投稿を分析して、その人の運転がどの程度安全か正確に判定できるとは考えにくい。

しかし、保険会社がデータを収集し、価格の適用方針を微調整する発想は、今後も続きそうだ。最近の記事で取り上げたとおり、保険会社の新たな動向として、スマートホームテクノロジー搭載の家に奨励金を出し、家の中で何が起こるのか調べようとしている。また、自動車保険会社はドライブレコーダーを活用して運転習慣のデータを何年にもわたって収集している

プライバシーが妨げられるとはいえ、こういった取り組みにより、保険会社は少なくとも自らの事業に直接関係のあるデータを収集し始めている。もちろんフェイスブックは、ユーザーのデータを第三者には使ってほしくないはずだ。

(関連記事:Financial Times, Guardian, “Why Insurance Companies Want to Subsidize Your Smart Home”)

人気の記事ランキング
  1. A long-abandoned US nuclear technology is making a comeback in China 中国でトリウム原子炉が稼働、見直される過去のアイデア
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
  3. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る