KADOKAWA Technology Review
×
AIのブラックボックス問題、MITメディアラボが新学問領域を提唱
Tsjisse Talsma
人工知能(AI) Insider Online限定
AI researchers want to study AI the same way social scientists study humans

AIのブラックボックス問題、MITメディアラボが新学問領域を提唱

人工知能(AI)の下した判断の理由を説明できない「ブラックボックス化」が問題視されている。だが、MITメディアラボの研究者らは、これまで生き物に対して適用してきた行動主義の手法をAIシステムに適用し、学際的な研究を進めれば、AIに説明能力を持たせる必要はないという。 by Karen Hao2019.05.03

人工知能(AI)システムのブラックボックス的な性質は、これまで盛んに論じられてきた。人々はしばしば、AIがなぜそんな決断をしたのか分からず、不快な思いをさせられているというのだ。数々のアルゴリズムが、人間の社会的、文化的、経済的、政治的なあらゆる人間の活動の仲立ちをするようになるにつれ、コンピュータ科学者はAIの振る舞いを理解する技術的方法を開発し、アルゴリズムの説明能力を求める声に応えようとしてきた。

しかし、学術界や産業界のあるグループはいま、生活へのAIの影響を理解したり制御したりするために、ブラックボックスの中身を知る必要はないと主張している。結局のところ、AIは私たちが出会った最初の不可解なブラックボックスではないというのだ。

「人々は何百年もブラックボックスを研究する科学的方法を発展させてきましたが、これらの方法はこれまで主に『生き物』に適用されてきました」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの研究者であるニック・オブラドヴィッチ博士は述べる。オブラドヴィッチ博士は、4月24日付でネイチャー誌に発表された新しい論文の共同執筆者だ。「新たなブラックボックスであるAIシステムを研究するために、同様の多くのツールを活用できます」。

産業界と学術界の多様な研究者で構成する同論文の著者グループは、「マシン・ビヘイビア(機械行動:machine behavior)」と呼ばれる新しい学問領域をつくるべきだと提案している。動物や人間をこれまで研究してきたのと同じ方法、つまり、経験的観察と実験によってAIシステムを研究しようするアプローチだ。

こ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A long-abandoned US nuclear technology is making a comeback in China 中国でトリウム原子炉が稼働、見直される過去のアイデア
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
  3. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る