人工知能(AI)研究分野の主要学会の1つ「ICLR2019(International Conference on Learning Representations:表現学習に関する国際会議=アイクリア)」が米ルイジアナ州ニューオーリンズで5月6~9日に開催された。3000人以上のAI研究者らが参加し、1500本以上の論文が提出されたICLRは、AI研究分野における新しいアイデアを交換できる重要なフォーラムの1つと言えるだろう。
今年の議論と採択論文は、深層学習における4大課題、すなわち公平性、セキュリティ、汎化可能性、そして因果性への取り組みに集中している。MITテクノロジーレビューの読者なら、最初の3つの課題はすでにご存知だろう。本誌はこれまで、多数のアプリケーションにおいて、現在の機械学習アルゴリズムがバイアスを持ち、敵対的機械学習に弱く、訓練用データセットで見つけたパターンを汎化する能力が極めて限られていることを説明してきた。AIの研究コミュニティは現在、これらの弱点を克服できるような高度なテクノロジーの開発に追われている。
4つ目の課題「因果性」については、本誌ではあまり触れてこなかった。これはしばらく前から研究者を悩ませてきた課題だ。機械学習はデータの中から相関関係を見つけるのは得意だが、因果性を見い出すことはできるのだろうか? 因果性を見い出すことができれば画期的な成果となるだろう。複雑なシステムにおけるさまざまな現象の原因と結果を解明するのにアルゴリズムが役立つのなら、世界に対する私たちの理解は深まり、世界に影響を与える強力なツールへの扉が開くはずだ。
フェイスブックAI研究所およびニューヨーク大学に所属する著名な研究者であるレオン・ボトゥ博士はICLR 2019で、AIが因果性を発見するための新しいフレームワークを提案した。ボトゥ博士の説明を記者なりにまとめてみた(以下の動画の12:00頃から、ボトゥ博士の説明をすべて視聴できる)。
https://www.facebook.com/iclr.cc/videos/534780673594799/
アイデア その1
まずは、因果性に対するボトゥ博士の新たなアイデアから紹介する。手書きの数字を認識するコンピュータービジョン・システムを構築するとしよう。機械学習に広く使われている画像データセット「MNIST」(上の画像)を使用する古典的な導入問題である。システムを構築する際には、手書きの数字が表示された大量の画像を使って、ニューラル・ネットワークを訓練する。各画像には画像が表す数字のラベルが付いている。 …
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