KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
臓器不足解消に挑むハーバード大教授、ブタの臓器をサルで試験中
Nan Lee
生物工学/医療 Insider Online限定
A CRISPR startup is testing pig organs in monkeys to see if they’re safe for us

臓器不足解消に挑むハーバード大教授、ブタの臓器をサルで試験中

ハーバード大学の遺伝学者であるジョージ・チャーチ教授が共同創業したイージェネシスはいま、移植用ヒト臓器の深刻な不足を解決するために、遺伝子を改変したブタの臓器を使った実験をしている。現在、サルで試験をしている段階だが、ブタの臓器を人間で試す前に克服しなければならない重要な問題が依然としていくつかある。 by Karen Weintraub2019.06.20

ハーバード大学の遺伝学者であるジョージ・チャーチ教授は2017年、遺伝子を編集したブタの臓器が2年以内、ひょっとすると1年以内に人間に移植されるだろうと予測した。

チャーチ教授はいま、「私は間違っていました」と認める。

チャーチ教授が共同創業したスタートアップ企業、イージェネシス(eGenesis)は、遺伝子編集技術のクリスパー(CRISPR)で遺伝子を改変したブタの臓器を、安全に、拒絶反応なく人間に移植できるようにするという野心的な計画で話題になった。移植に利用できるヒト臓器の深刻な不足という問題を解決できる可能性があるからだ。

だが、人間での試験はこれまで実施されていない。その代わり、イージェネシスは現在、ボストンのマサチューセッツ総合病院で、ブタから取り出した臓器をサルで試している。実験は、病院の移植手術責任者であるジェイムズ・マークマン医師が主導している。

「私たちがいま手がけているのは、必要な手順です」と、イージェネシスの顧問も務めるマークマン医師は語る。「改変した臓器が大型動物で検証されない限り、ヒトの体内に移植するのは難しいでしょう」。

マークマン医師もイージェネシスも、研究対象の臓器や、実験に使うサルの種類について詳しく説明しようとはしない。両者は、外科史上最高の技術が施されたブタ臓器が実験に使用されているとしている。

医学界では何十年もの間、ブタの腎臓や心臓、それに肺までもヒトの患者に移植して、機能不全の臓器と交換することで、臓器不足を解決したいと考えてきた。現在、10万人以上の米国人が移植リストで待機している。

ここ数年、そのような「異種移植」に向けた大きな進展が科学界でいくつか見られる。米国立衛生研究所(NIH)の研究者らは、ブタの心臓をヒヒの体内で(ヒヒ自身の心臓と同時に)約2年間動かすことに成功した。またドイツの外科医らは昨年の暮れ、ブタと心臓を交換した数匹のヒヒが約6カ月間生きたと報告した。

こうした実験には、ユナイテッド・セラピューティクス(United Therapeutics)の子会社であ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る