アウディ、おもちゃの自動車で最新のAI研究に着手
知性を宿す機械

Audi’s New AI Rig for Driverless Cars Is … a Toy Car アウディ、おもちゃの自動車で最新のAI研究に着手

アウディは自動運転車に駐車方法を教えず、自分自身でテクニックを編み出すよう、おもちゃの自動車を使うことにした。 by Jamie Condliffe2016.12.08

どうすれば自動車は駐車方法を覚えるだろうか? アウディはまず、おもちゃ箱から自動車を取り出すことにした。

自動車メーカー・アウディの「Q2ディープ・ラーニング・コンセプト」は、3平方メートルのモデル駐車場を走行する8分の1スケールの自動車だ。実際の車同様、自動車は2台のカメラと10個の超音波センサーなどを搭載し、障害物をスキャンして駐車できる場所を見つける。

本格的な自律自動車がすでに未来を先取りしたいくつかの都市で走行中のいま、なぜアウディはおもちゃを使うのだろうか? 実は、おもちゃの自動車は自分自身で駐車方法を学習するのだ。

小さな自動車は、駐車場内をどう走行するか、強化学習で学ぶ。試行錯誤を繰り返し、たとえば駐車線に対して並行に駐車できた場合などに、上手に運転できたと指摘される。繰り返すほど駐車テクニックに磨きがかかり、できるだけうまく駐車するよう学習が進むのだ。学習過程では他の自動車にぶつかることもあり得るから、おもちゃの自動車を使うわけだ。

強化学習によって、アルゴリズムは何も知らない状態から駐車方法を学ぶので、予測不能な道路状況に対して、人間がプログラムしたアルゴリズムが対処できない自律自動車には特に役立つ。もちろん、モデルで構築した駐車技能をそのままで実際の自動車には転用できないだろうが、この手法により、アウディの技術者は、強化学習をどう本物の車に使うかを理解できる。ザ・バージによれば、この駐車機能は新型アウディA8に採用予定だという。

自律自動車による運転の実現を機械学習で実験しているのはアウディだけではない。モービルアイオクスボティカも同様のシステムを開発中で、ウーバーが新設したAIラボも同様の研究をする可能性が高い。どの会社の研究も、実物の自動車になるのが楽しみだ。

(関連記事:Verge, “モービルアイが自動車メーカーに走行データの提供を要求,” “ウーバーはなぜ人工知能のスター研究者を集めてラボを設立するのか?,” “オックスフォード大学が自動運転システムに参入”)