KADOKAWA Technology Review
×
2019年に「大失敗」した宇宙プロジェクト5つ
NASA / Isaac Watson
宇宙 無料会員限定
The five biggest space failures of 2019

2019年に「大失敗」した宇宙プロジェクト5つ

中国の人類初の月裏側への宇宙船着陸から、日本の「はやぶさ2号」の小惑星リュウグウでの快挙まで、2019年には宇宙に関して数々の輝かしい成果があった。しかし一方で、大きな失敗もあった。この記事では、宇宙関連で2019年に起こった大失敗を5つ、紹介しよう。 by Neel V. Patel2019.12.30

宇宙に関して言えば、2019年は成功を祝う出来事がたくさんあった。中国は、人類史上初めて月の裏側に宇宙船を着陸させた。米国航空宇宙局(NASA)の探査機「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」は、人類がつくり出した宇宙船が今まで訪れた中で、最も遠い天体を近接通過した。日本の探査機「はやぶさ2号」は、1度とならず2度も、小惑星リュウグウの表面からサンプルを回収した。さらに、リュウグウに金属弾を打ち込み、人工のクレーターも作った。スペースX(SpaceX)は、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて新たな有人宇宙船を打ち上げた。もちろん、無人であったが、それでも一歩前進だ。同社はまた、宇宙船「スターシップ(Starship)」の初のプロトタイプも披露した。

しかし、こうした大きな成功の影には、大きな失敗もあった。2019年に起こった宇宙に関わる最大の失敗を5つを紹介しよう。心の準備はいいだろうか。

1. マーズワンが破産

マーズワン(Mars One)の失敗をもっとも肯定的に表現するなら、「世間知らずな夢」だったということだ。より現実的な評価をするなら、詐欺だったということになるだろう。オランダの同社は、多くの投資家をうまく説得して、人類を初めて火星に送り集団居住地を作る計画に数千万ドルを注ぎ込ませた。これは、片道の旅になる予定だった。実際は、計画は常識外れなもので、資金も不足しているように見えた。広報・宣伝活動は見事だったが、宇宙船を独自には開発してはおらず、単純にも、必要なものはすべて購入できると想定していた。スケジュールは遅れ続けた。誰にとっても驚きではなかったが、マーズワンは20 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る