KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
英国のネットスーパー
「オカド」が目指す
究極の効率化
カバーストーリー 無料会員限定
The Robotic Grocery Store of the Future Is Here

英国のネットスーパー
「オカド」が目指す
究極の効率化

オカドは、集団ロボット、自律型配達者、さらに機械学習で顧客のニーズを把握し、食料品を素早く届けようとしている。 by Jamie Condliffe2016.12.30

「レリッシュ」(薬味)の瓶詰めを毎週買う人はまずいないだろう。しかし、オカド(Ocado)で買うと決めれば、店の奥で探し回る必要はなくなる。ロボットに電話すれば人工知能が顧客宅の玄関まで配送を手配してくれるからだ。

オカド(世界最大のオンライン専業食料品店)によれば、ドードン(英国第2番の都市バーミンガムに近くにある)にある約3万3000m2の倉庫は、アマゾンの倉庫設備より、ずっと自動化されている。オカドの業務は、たしかに多くの面でアマゾンより工夫が必要だ。オカドが扱う4万8000点の商品の大半は生鮮食品であり、多くは冷蔵または冷凍する必要がある。一部商品(寿司など)は、倉庫への搬入日に顧客へ届けないといけない、

となると、商品の保管や出庫、発送業務は、複雑で時間制限付きの最適化問題(つまり、スパコンが得意とする処理能力頼みの問題)だ。しかし、オカドが成長して利益を出すには(飽和状態にある英国の食料品市場で実現しているとはいえ)、各工程をできるだけ効率化する必要がある。

現在、顧客がオカドのWebサイトで食料品を注文すると、商品は大きなプラスチック製ケースに即座に詰め込まれる。しかし、ドードン倉庫の長さ30kmのベルト・コンベアが、梱包作業の担当者の前に空き箱を運んでくるので、梱包は手作業でも、歩き回る必要はほとんどない。梱包担当者は商品のある棚(ロボットが補充する)か、クレーンやコンベアで倉庫から運び出された箱から商品を取り出すだけでいい。オカドのアルゴリズムは商品の需要を監視し、人気商品が常に取り出しやすい位置に置かれるように、最適な保管場所を計画してくれる。

梱包し終わった注文品は大きなトラックで配送センターに運ばれ、ワゴン車に積み替えられる。各ワゴン車は、顧客の配送希望時間や道路状況、天候などの要素に基づいて慎重に最適化された配送経路に沿って配達に向かう。

しかし、オカドはもっと高速化したい。オカドのポール・クラーク最高技術責任者(CTO)は「弊社の事業は、1秒未満で動いているのです」という。「今度はどうすれば作業工程からわずから無駄をそぎ落とせるか、が全てなのです」

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る