KADOKAWA Technology Review
×
Holograms and Alexa are Coming to a Car Near You

CESの注目は自動運転より半自律運転の支援テクノロジー

CES 2017で展示された最先端のテクノロジーは、ドライバーと自動車のかかわり方を変えようとしている。 by Jamie Condliffe2017.01.06

世界が自動運転自動車の時代を待っている一方で、 現在ラスベガスで開催中のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、人間のドライバーの役に立つ先進テクノロジーが展示されている。

たとえばBMWは、ホログラフのテクノロジーを使ってドライバーの目の前の空間にスクリーンを浮かばせる状態を作ろうとしている。エアコンから車内エンターテインメントまで、フルカラーのディスプレーで状態を表示する。カメラがディスプレーに対するドライバーの指の位置を検出するので、ドライバーは光のスクリーンを指差して機器を操作できる。テクノロジーが実際に自動車に搭載される時期は不明だが、2015年にBMWが展示したジェスチャー制御システムは、既に量産型モデルに搭載されている。

一方、フォードは、アマゾンのスマート・アシスタントであるアレクサを家庭から自動車に連れ出すことを発表した。車内でアレクサに話しかけ、たとえば食事休憩場所の情報や天気予報、音楽など、今までならセンターコンソールで操作していたことを代わりにやってもらえるのだ。

どちらの場合も、自動車メーカーが、ドライバーの目を道路上から離さないようにしたいのは明白だ。ながら運転による死亡事故が増加しており半自律型の自動運転が事故を助長しかねない状況で、この目標を掲げるのは素晴らしい。しかし、どこかにトレードオフが生じてしまうだろう。利便性と機能の追加によって、車というよりラウンジのように感じられる車内空間になれば、新機能の効果が弱まるというより、ひょっとすると注意をさらに散漫にさせてしまうかもしれない。

エヌビディアのジェン・スン・フアン最高経営責任者(CEO)が、CES 2017の基調講演を務めた

ただし、こうした問題はエヌビディアの最新の計画でなんとかなる問題ともいえる。エヌビディアは、マニュアル運転をより安全にするために半自律運転テクノロジーを使いたいと発表した。自動車の外装に次々に取り付けられるカメラやレーダーなどのセンサーで人間の知覚を補い、道路状況をよりよく把握できるようにするアイデアで、システムがドライバーから見えないものをカメラで捉え、的確に指示を出す。

このような仕組みは、ながら運転の問題を減らすだけでなく、自律運転分野でいう「ハンズオフ」(コンピューターが車両の制御を人間のドライバーに戻す過程のこと)の実現方法でもある。もちろん、マニュアル運転には常に集中力が必要であり、こうした補助機能は注意深く使われるべきだ。しかし、ドライバーが注意を保てれば、こうしたテクノロジーによって道路は少し安全になるだろう。

(関連記事:Reuters, Wired UKThe Verge, “半自律自動車は不注意死亡事故を増やす,” “Rebooting the Automobile,” “新発売の車載HUDはなぜiPhoneの40倍の輝度があるのか?”)

人気の記事ランキング
  1. The problems with Elon Musk’s plan to open source the Twitter algorithm Eマスクがツイッター買収でぶち上げたオープンソース化が危うい理由
  2. Meta has built a massive new language AI—and it’s giving it away for free メタ、「GPT-3並み」の大規模言語モデルを研究者向けに無償提供
  3. How EnChroma’s Glasses Correct Color-Blindness 色覚補正メガネ エンクロマの仕組み
  4. These hackers showed just how easy it is to target critical infrastructure 発電所も使う通信プロトコルのハッキング、わずか2日で攻略
タグ
クレジット Photograph by Ethan Miller | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. The problems with Elon Musk’s plan to open source the Twitter algorithm Eマスクがツイッター買収でぶち上げたオープンソース化が危うい理由
  2. Meta has built a massive new language AI—and it’s giving it away for free メタ、「GPT-3並み」の大規模言語モデルを研究者向けに無償提供
  3. How EnChroma’s Glasses Correct Color-Blindness 色覚補正メガネ エンクロマの仕組み
  4. These hackers showed just how easy it is to target critical infrastructure 発電所も使う通信プロトコルのハッキング、わずか2日で攻略
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.6
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.6世界を変えるイノベーター50人

mRNAがん治療の事業化を目指す起業家、日本発の量子コンピューター技術を提唱する研究者、グーグルが採用した人工音声を開発した技術者、中国の次世代人工太陽の理論モデルを確立した科学者——。
MITテクノロジーレビューが選んだ、世界のイノベーター35人と日本発のイノベーター15人を一挙紹介。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る