KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
新型コロナ「軽症」のトランプ大統領に重症患者向けステロイド薬
AP
Trump is being given a steroid that is usually used for severe cases of covid-19

新型コロナ「軽症」のトランプ大統領に重症患者向けステロイド薬

新型コロナ重症患者の死亡率を大幅に下げる可能性があるデキサメタゾンが投与された。 by Charlotte Jee2020.10.06

米国のドナルド・トランプ大統領が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者に投与されることが多いステロイド薬デキサメタゾンの使用を始めた。6月の研究では、デキサメタゾンが新型コロナ重症患者の死亡率を大幅に下げる可能性が示されている。世界保健機関(WHO)は、「新型コロナの重症・重篤」患者にのみデキサメタゾンを使用するよう推奨している。

主治医らは10月4日の記者会見で、トランプ大統領の血中酸素濃度が低下したため酸素吸入したことも発表した。新型コロナ患者の入院期間を短縮し、命を救えることが証拠により示されている「レムデシビル」も5日間投与されているという。一方、主治医らは4日の会見で、トランプ大統領は病院のベッドから出て歩くことができると説明し、5日にも退院する可能性があると述べた(日本版注:トランプ大統領は5日夜に退院)。トランプはその後同日、病院を一時外出してシボレー・サバーバンの専用車の中から支持者たちに手を振った。その決断について、大統領の治療にあたっているウォルター・リード軍医療センターのある医師は、病院職員やシークレットサービスを危険に晒した可能性がある「狂気」だと述べた。

74歳という高齢で肥満体であることを考慮すれば、トランプ大統領は重症化リスクが高いといえる。だが、医師らが自らの医学的評価に基づいてこの治療薬カクテルを投与しているのか、大統領に指示されたのかは不明だ。2日には他の米国人は利用できない実験的かつ最先端の未承認の抗体治療薬が投与された。リジェネロンが開発する治療薬で、体内の強力な免疫反応を再現して、新型コロナの重症化を防ぐよう設計されている。これらの治療薬を同時に使用することが治療効果に与える影響については、まだ研究されていない。

トランプ大統領はそもそもどのように新型コロナに感染したのか? 新型コロナウイルスに曝されて検査で陽性と分かるまで2日~14日かかるため、感染経路を確実に把握することは不可能だ。側近のホープ・ヒックスから新型コロナに感染したというのが有力な説になっているが、9月26日に開かれたホワイトハウスでの式典が「感染拡大」イベントとなった可能性を示す証拠が出てきている。同式典に参加した少なくとも7人に陽性となった。トランプ大統領が第三者に感染させたかどうかは不明だが、選挙運動や討論会、資金調達イベントの多忙なスケジュールを考慮すれば、その可能性は十分にありそうだ。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

 

人気の記事ランキング
  1. This company claims a battery breakthrough. Now they need to prove it. すべてのパラメーターが矛盾——「出来すぎ」全固体電池は本物か?
  2. OpenAI’s “compromise” with the Pentagon is what Anthropic feared アンソロピック排除の裏で進んだオープンAIの軍事契約、その代償は
シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る