KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
女性や有色人種の政治家に誹謗中傷が集中、ツイッター分析で判明
Photo by @MORAN on Unsplash
How much more abuse do female politicians face? A lot.

女性や有色人種の政治家に誹謗中傷が集中、ツイッター分析で判明

女性および有色人種の政治家の発言や行動に言及するツイートには他の政治家に比べて多くの誹謗中傷が含まれることが明らかになった。 by Abby Ohlheiser2020.10.12

ツイッターが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるトランプ大統領の死を願うツイートを削除すると発表した。これに対して、ツイッター上でこれまで嫌がらせや脅しを受けてきた女性や有色人種の政治家などのユーザーが、なぜ大統領にだけ例外的な対応を取るのか、疑問を呈している。

こうした中、ロンドンに拠点を置くシンクタンク「戦略対話研究所(Institute for Strategic Dialogue:ISD)」が、ツイッターの怠慢を批判している政治家たちが、実際にネット上で他の政治家よりも多くの攻撃にさらされていることを示すタイムリーなデータを発表した

ISDの研究チームは、少数の政治家に対するツイッターおよびフェイスブック上でタグ付けされた言及を6月と7月の2週間にわたって収集し、手作業およびAIを介して詳しく調べて中傷的な投稿を特定した。

全体的な傾向として、女性と有色人種がツイッターで中傷される可能性が、男性よりはるかに高いことが明らかになった。フェイスブックでは、女性政治家は男性政治家に比べて平均12%多くの中傷を受けていた。ツイッターでは、男性政治家に対する言及は5~10%が中傷的と見なされたが、同じ期間における女性政治家への言及の15~39%に中傷が含まれていた。

全体的に、女性ははるかに個人的な攻撃を受けていた。男性政治家が主に一般的な言葉による中傷を受ける一方、特にアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員やナンシー・ペロシ下院議員などの女性政治家は極めて個人的かつ性差的な言葉を使って攻撃されていた。

ツイッターを使ったことがあれば、女性や有色人種のグループがはるかに多くの嫌がらせを受けているという事実に驚くことはないだろう。一方、今回の研究は非常に少数の政治家を対象としており、個別の事情を反映している可能性がある。

とはいえ、今回の研究報告は、極めて長期にわたるツイッターの重大な問題の1つを数値化するのに役立つ。民主党の副大統領候補カマラ・ハリス上院議員が、共和党のマイク・ペンス副大統領との討論の準備を進める中、活動家らがボーター・サプレッション(投票妨害抑圧行動)に関する注意を呼びかけている重要な時期だからなおさらだ。

今回の研究結果そのものはさほど目新しくはないかもしれないが、女性や有色人種が長年訴えてきたフェイスブックやツイッター、その他の主要なソーシャルメディア企業に対する主張を裏付けている。ソーシャルメディア企業が中傷的な行為の禁止を強化する方針を打ち出す一方で、特定のユーザーへの持続的かつ組織的な嫌がらせはまだ解決していないのだ。

人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
アビー・オルハイザー [Abby Ohlheiser]米国版 デジタル・カルチャー担当上級編集者
インターネット・カルチャーを中心に取材。前職は、ワシントン・ポスト紙でデジタルライフを取材し、アトランティック・ワイヤー紙でスタッフ・ライター務めた。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る