KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
2020年に登場した世界の「接触者追跡アプリ」はどう変わったか?
Sean Gallup/Getty Images
Why some countries suspended, replaced, or relaunched their covid apps

2020年に登場した世界の「接触者追跡アプリ」はどう変わったか?

2020年春に多くの国が新型コロナウイルス接触追跡アプリを導入したが、その姿を大きく変えたものもある。MITテクノロジーレビューはその動向を継続的に追いかけている。 by Mia Sato2021.01.15

2020年の春、米国政府が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への対応を巡って時間を浪費する中、世界各国は接触追跡アプリの導入を進めていた。3月中旬のシンガポールを皮切りに、40カ国以上がデジタル曝露通知システムを立ち上げたが、その成果はまちまちといったところだ。

MITテクノロジーレビューのコビッド・トレーシング・トラッカー(Covid Tracing Tracker、以降、接触追跡トラッカー)は世界各国のアプリやアプリに使用されているテクノロジーを記録しつつ、プライバシーに関する懸念事項を指摘し、透明性を評価している。我々はトラッカーを定期的に更新し、状況の変化を記録している。例えば、いくつかの国でプライバシー対策が後退したことが判明したほか、アプリの停止や再導入、他のアプリへの切り替えといった変化だ。

新型コロナウイルスの検出機能をうたいながら、実際にはユーザーの情報を密かに集めていたイランのAC19アプリは、グーグルプレイ(Google Play)ストアで禁止となり、現在は使われていないようだ。他方で日本の追跡アプリは動作不良のために少なくとも2回、使用が中断された。日本は、2021年に開催延期となった東京オリンピックについて、新型コロナウイルス検査で陰性となり、追跡アプリをダウンロードしている外国人に限って入国を許可する予定だ

当初は独自システムを開発していたが、グーグルとアップルが共同開発した通知システムが使えるようになったタイミングで切り替えた国もある。ノルウェーは最近、プライバシー面の懸念に対処してグーグル/アップルのフレームワークに切り替えた後、元のアプリと同じ名前の新しいアプリを再導入した。2020年初頭にフィンランドが開発した試験的なアプリも、グーグル/アップルのテクノロジーを使ったアプリに切り替わった。英国でも同様に、最初の試験的アプリは近くのアイフォーン(iPhone)を検出できない問題があると判明した後、廃止され、9月にグーグル/アップルのシステムに切り替わった(しかし、新しいシステムにも問題が生じた。11月に、ユーザーが感染者と接触した後、自己隔離を促す通知が送られないという問題が報告された)。

米国の各州が導入したアプリのいくつかも、導入時や再導入時につまずいた。例えば、ノースダコタ州とサウスダコタ州のアプリは、州独自のプライバシー・ポリシーに違反していた。そして米国の多くの州で、いまだに曝露通知アプリがまったく導入されていない。

 

この表の見方はこちらの記事を参照してほしい。基になるデータの公開版はこの読み取り専用のスプレッドシートのタブに保存されている。最新の情報やトラッカーに修正・追加すべき点がある場合は、CTT@technologyreview.comまで関連情報をお知らせください。

人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
サトウ・ミア [Mia Sato]米国版 パンデミック・テクノロジー・プロジェクト担当記者
MITテクノロジーレビューのパンデミック・テクノロジー・プロジェクト担当記者として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策や追跡に使われるテクノロジーを取材。以前は非営利のテクノロジー専門ニュースサイト「ザ・マークアップ(The Markup)」でオーディエンス・エンゲージメント編集者を務めた。これまでに執筆した記事はヴァージ(The Verge)、アピール(Appeal)、シカゴ・マガジンなどに掲載されている。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る