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なぜワクチン予約まで手伝うのか? NYC地元メディアの取り組み
AP
How a tiny media company is helping people get vaccinated

なぜワクチン予約まで手伝うのか? NYC地元メディアの取り組み

米国では新型コロナワクチンの接種が進んでいるが、自分で予約を取れないなどの理由によって接種できていない人たちも多く残っている。ワクチン接種の予約を手助けしているニューヨーク市の地元メディアの発行人が、活動を始めたきっかけや取り組みの中身を語った。 by Mia Sato2021.04.23

米国では、1億3200万人以上が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種を少なくとも1回受けた。今週の時点では、16歳以上の米国人全員に接種の資格がある。

しかし、米国がワクチン接種者の数で世界一となった一方、影響を受けやすい人々は依然として見落とされている。英語を話さない人やインターネットの知識を持っていない人、予約のためのコンピューターにアクセスできない、またはその時間のない交代勤務の労働者などだ。多くの場所で、地域のリーダーやボランティア、そしてメディアも援助に乗り出している。

そんなグループのひとつが、パンデミックの間に創業したメディア企業であるエピセンターNYC(Epicenter-NYC)だ。同社は、地域住民が新型コロナウイルス感染症にかからないように援助することを目的として、同感染症が特に猛威を振るったジャクソンハイツのクイーンズ地区を拠点とし、地域の教育やビジネスについてのニュースレターを発行している。

それだけでない。エピセンターNYCは、ニューヨーク内外の人々のために4600件以上のワクチン接種の予約をしてきた。ワクチン接種を受けたい人は、問診票、ホットライン、テキストメッセージ、またはメールでエピセンターNYCに連絡すれば、予約を取る手助けをしてもらえるのだ。

エピセンターNYCはまた、ワクチン接種の展開の間ずっと、手続きに関してわかったことを記録し、大勢のニュースレターの読者と共有してきた。

MITテクノロジーレビューは、エピセンターNYCの発行人であるS・ミトラ・カリタに、こうした取り組みについて話を聞いた。カリタは、CNNデジタルの元上級副社長で、有色人種コミュニティを扱うニュースメディアのネットワークである「URLメディア」の共同創設者兼CEO(最高経営責任者)でもある。

なお、以下のインタビューは、発言の趣旨を明確にするため、要約・編集されている。

◆◆◆

——どのようにしてワクチン接種予約の援助を始めたのですか?

2つのアウトリーチから始まりました。まず、私自身が両親のためにワクチン接種の登録をしなければならなかったときに、手順がかなりわかりにくいと感じ、高齢の住民とその友人たちや隣人たちはどれだけきちんとこのプロセスをこなせるだろうか、と即座に考えました。そこで、単純にそういった人たちにメッセージを送り始めたのです。

もう一つは、私たちが実施しているスモールビジネス・スポットライトのプログラムに参加しているレストランが手を差し伸べて、「あなたがたはレストランの従業員がワクチン接種を受ける方法を知っていますか?」と言ったときでした。高齢者のためにそういったことを少ししていたので、レストランの従業員の手助けを始めました。そこから似たようなネットワーク効果が生まれ始めました。レストランの従業員のひとりにタクシーの運転手をしているボーイフレンドがいたのですが、この従業員を手助けした際、ボーイフレンドを援助してくれないかと頼まれました。そうしたら彼が、自分の友人を頼みたいとテキストメッセージを送ってきました。そうして広がり続けていったのです。

——現在、エピセンターNYCはどのようにしてワクチン配布の隙間を埋めているのですか。どのような手順で、どんな人たちを援助していますか?

「たくさんの仲介をしています。援助が必要だという約7500人から8000人のリストを選り分けて、近くのワクチン接種会場を探しています」——S・ミトラ・カリタ

200人から250人のボランティアにアウトリーチしてもらっています。アウトリーチ活動は、チラシ置きや翻訳、電話から文字通り予約の取得までさまざまです。

クイーンズ地区のバングラデシュ人のタクシー運転手でも、いとこがニュージャージー州にいても構いません。アッパー・イースト・サイドの自宅から動けず訪問を必要としている102才の女性は、間違いなくエピセンターの援助を受けられます。

私たちが現在しているのは、人々を互いに、機会に結びつける経路を延ばすことです。たくさんの仲介をしています。援助が必要だという約7500人から8000人のリストを選り分けて、近くのワクチン接種会場を探しています。分散型のソリューションを含む集中オペレーションという素晴らしい融合を実現できています。

——最も大きな打撃を受けた多くの国々でワクチン接種率が遅れていますが、なぜでしょうか。どんな課題や障壁があるのでしょうか?

直近のジョンソン&ジョンソンのワクチンの接種中止発表の直前、私は「残っている人は全員が特別なケースだという時点に来ている」と発言しました。

人々は、ワクチンにアクセスするための問題を解決することなく、ワクチン忌避へと一足飛びしてしまったのだと思います。忌避している人々はそれほど大勢ではありませんが、多くの懸念すべき問題が現にあります。その筆頭はスケジューリングでしょう。私たちは、職業を2つか3つ掛け持ちしている人たちに対処しており、そういった人たちは「空いているのは日曜日の午後3時からおそらく6時まで、6時から次のシフトが始まります」と言います。本当にそれが空いている唯一の時間帯なのです。

——人々はワクチン接種の資格を得るために、身元、職業、住所の証明を求められてきました。資格がもっと限られていたときには特にそうでした。必要な書類の取得をめぐって障壁に直面する人々を、どのように援助したのでしょうか?

ニューヨーク州は、書類がなくてもワクチンを受けられると明確に言っています。しかし、そのメッセージは現地の実情とあまり合っていません。

ニューヨークは何十年もの間、不法労働者を搾取することでレストラン産業を築き、成功させてきました。雇用主から書類をもらったり、雇用を証明する給与明細を提示したりすることは、不法労働者にとっていつでもできることではありません。私たちは、書類作成の公開リソースを作成し、雇用主に見せて署名してもらえる書類のサンプルを提供しました。

——他に困難なことはありますか?

ニューヨーク市の居住証明です。パンデミックを通じてホームレス人口は爆発しただけでなく、再定義されています。私たちは、場所を変えながら居候していたり、友人やいとこと衝突したりしている人たちからも話を聞きます。ジムでシャワーを浴びていたらそのジムが代わりに書類を書いてくれたという人もいました。

当然ですが、「そうしたことはジャーナリズム組織がすべきことなのですか」と質問されます。私たちが説明していることの最も重要な部分は、このような人々が自分たちは人間なのだと証明する方法なのです。ある意味では、私たちのジャーナリズムの最大の目的です。

——ラマダン(断食月)が近づく中、ムスリムのニューヨーク市民がそのワクチン間の接種について懸念を持っているためスケジュールを調整する必要がある、と最近書いていましたね。政府はこのレベルの精度と配慮を持ってワクチン接種の展開に取り組んでいると思いますか?

これは、政府が人々やコミュニティをちゃんと見ているのか、という問題です。ニューヨークに住むのが大好きなのは、ニューヨークが世界都市だからです。ニューヨークには他の文化や状況に対する意識があります。

「人々は、ワクチンにアクセスするための問題を解決することなく、ワクチン忌避へと一足飛びしてしまったのだと思います」——S・ミトラ・カリタ

ラマダンが存在するということを知ることがひとつです。もうひとつは、「母や叔母って生きるか死ぬかの問題だから、必要なものをこの人たちに提供しなければならない」ということです。

私たちの持つシステムのおかげて、エピセンターは非常に早く動向を掴むことができています。例えば、アトランタでの虐殺事件のずっと前に、私たちの中国語チームが、アジア人の年長者たちが非常に怖がっていて一人で出掛けたがらないと伝えてきていました。通訳のある場所に行きたがっていました。

政府のサービスの提供を、政府から統治される者に対してではなく、共通点を持っている人間から人間に対するものにできたら、単純にその方がはるかに優れています。

——パンデミックを越えて継続していける教訓は何でしょうか?

おそらく、今回のワクチン援助のように一般市民と連動する機会は、私たちには二度とないでしょう。今回の機会により、他のサービスの提供が変わるかもしれません。

ボランティアの中には、9月に通学を開始する準備ができていない子どもたちのために夏の個別指導プログラムをしてはどうか、と尋ねてきた人たちもいます。仕事に応募する際の履歴書に同封する書類を共有したり、多くの人たちが当然に思っている秘訣やコツをカタログ化したりする必要があるかもしれません。どのように時間を取り、学び、それに従って対応するのか、ということです。

読者とコミュニティがいて、続けられる限り、エピセンターは絶対に続けていくつもりです。

この記事は、「パンデミック・テクノロジー・プロジェクト」 の一部であり、ロックフェラー財団の支援を受けています。

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ミア・サトウ [Mia Sato]米国版 パンデミック・テクノロジー・プロジェクト担当記者
MITテクノロジーレビューのパンデミック・テクノロジー・プロジェクト担当記者として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いや追跡に使われるテクノロジーを中心を取材しています。以前は非営利のテクノロジー専門ニュースサイト「ザ・マークアップ(The Markup)」でオーディエンス・エンゲージメント編集者を務めていました。これまで執筆した記事はヴァージ(The Verge)、アピール(Appeal)、シカゴ・マガジンなどに掲載されています。
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