KADOKAWA Technology Review
×
発表!MITテクノロジーレビューが選ぶ
2022年のイノベーター14人。
【12/15 Summit開催】
日本の理研チーム、有袋類の遺伝子改変に成功 世界初
Riken
生命の再定義 無料会員限定
An albino opossum proves CRISPR works for marsupials, too

日本の理研チーム、有袋類の遺伝子改変に成功 世界初

クリスパー(CRISPR)は幅広い生物の遺伝子改変に使われてきたが、有袋類への適用は困難だった。7月22日、理化学研究所の研究チームが世界で初めてこの困難を打ち破った。 by Casey Crownhart2021.07.28

マウスには有効、トカゲには有効、イカには有効、有袋類には——有効。

クリスパー(CRISPR)は、トマトから人間に至るまでほぼすべての生物の遺伝子改変に使われてきた。しかし、有袋類は、生物学的に独特な生殖方法と研究室での使用が稀であることが理由で、これまで急速に進むCRISPR導入の波に乗ることはなかった。

日本の国立研究機関である理化学研究所で、オポッサムの南米種に対してCRISPRを使った遺伝子編集が実施された。日本時間7月22日、この新しい研究結果はカレントバイオロジー誌で発表された。有袋類のゲノムに手を加えることができるようになれば、生物学者は有袋類について理解を深めることができ、免疫応答や発生生物学の研究、さらにはメラノーマ(悪性黒色腫)などの病気の研究に利用できるようになるかもしれない。

「この論文を見てとても興奮しています。私が生きている間には実現しないかもしれないと思っていたような快挙です」と語るのは、テキサス大学リオグランデバリー校の遺伝学者であるジョン・ヴァンデバーグ教授だ(今回の研究には参加していない)。

有袋類の遺伝子改変の難しさは、CRISPRというよりは、有袋類が生物学的に複雑な生殖をすることに関係があると、今回発表された研究論文の筆頭著者である清成 寛博士は説明する。

有袋類としてはカンガルーやコアラのほうが知名度が高いが、有袋類を専門とする研究者が実験でよく使うのはオポッサムである。小さくて世話がしやすいためだ。今回の研究で使用されたハイイロジネズミオポッサムは、顔が白いキタオポッサムの近縁種であるが、体が小さく、有袋類に特徴的な「育児嚢(いくじのう)」という袋を持っていない。

理化学研究所の研究チームは、CRISPRを使って色素生成に関わる遺伝子を破壊した。この色素生成遺伝子をターゲットに選んだのは、実験が上手くいけば結果が一目瞭然となるためである。2つある染色体上の両方の遺伝子が破壊されていれば、オポッサムはアルビノ(白色)になり、1つだけが破壊さ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.8
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.8脱炭素イノベーション

2050年のカーボンニュートラル(炭素中立)の実現に向けて、世界各国で研究開発が加速する脱炭素技術、社会実装が進む気候変動の緩和・適応策などGX(グリーン・トランスフォーメーション)の最新動向を丸ごと1冊取り上げる。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る