米国が電池材料でも脱中国へ、産業育成に28億ドル投資
米政府は、電気自動車向けバッテリーの材料の生産に携わる企業を支援するため、28億ドルの助成金を拠出する。現在、電池製造のサプライチェーンの上流の多くが中国にあるため、電池の材料を国内で製造・調達できるようにする。 by Casey Crownhart2022.10.26
米国政府は、電気自動車(EV)とバッテリーに多額の資金を投じている。その一環として、ジョー・バイデン大統領と米国エネルギー省は10月19日、電気自動車向けバッテリーに使用する鉱物などの材料の生産に携わる企業に28億ドルの助成金を交付することを発表した。
この資金は、リチウムの選鉱工程、電極製造、電池リサイクルなど、20のプロジェクトに使われる。
米国では、電気自動車に対する優遇措置を定めた「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)」が今年に入って成立したことに後押しされ、電池製造に対する官民両方からの資金の流入が大幅に増加した。新しい電気自動車税額控除の要件として、電池部品は米国または米国の自由貿易協定国で調達・製造されなければならない。だが、米国のこれまでの電池製造への投資の多くは、サプライチェーンの下流、特に電気自動車の車載用電池セルを製造する工場に集中している。
今回の投資は、サプライチェーンの上流部分を構築し、電池の材料も米国内で製造・調達できるようにするのが狙いだ。電池の材料を米国内で製造すれば、新技術のコストが下がり、電池の安定供給が実現するとともに、新しい企業の設立や雇用の創出につながるかもしれない。
ジョンズ・ホプキンス大学エネルギー・資源・環境学部のジョナス・ナーム助教授は、今回の資金提供を、「国内の電池産業の基盤を構築する」ための一歩であると電子メールでコメントした。
数十億円規模の電池セルと電気自動車の製造工場が全国にできている。しかし、サプライチェーンの上流の多くは依然としてアジア、特に中国にあり、世界の …
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