KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
チャットGPTに最初の試練、GDPRの高いハードル
Stephanie Arnett/MITTR
人工知能(AI) 無料会員限定
OpenAI’s hunger for data is coming back to bite it

チャットGPTに最初の試練、GDPRの高いハードル

オープンAIのチャットGPT(ChatGPT)が扱うデータをめぐって、欧州のデータ保護当局が動き出した。現状ではGDPRに準拠することは困難との見方もある。 by Melissa Heikkilä2023.04.21

チャットGPT(ChatGPT)がイタリアで一時的に遮断され、他の欧州連合(EU)諸国でも多くの調査を受けたことで、オープンAI(OpenAI)は1週間余りで欧州のデータ保護法を遵守する体制を整える必要がある。できなければ、多額の罰金を科されたり、データの削除を余儀なくされたり、あるいは遮断されたりする可能性もある。

しかし専門家は、MITテクノロジーレビューに対し、オープンAIがこの規則を遵守することは不可能に近いだろうと述べている。というのも、AIモデルの訓練に使用されるデータは、インターネット上のコンテンツを無差別にスクレイピングするという、ずさんな方法で収集されているからだ。

AI開発においては、訓練データは多ければ多いほど良いというパラダイムが支配的だ。オープンAIの大規模言語モデル「GPT-2」では、40ギガバイトのテキストで構成されるデータセットが使われた。チャットGPTのベースとなったGPT-3の場合は、570ギガバイトだ。オープンAIは、最新モデルGPT-4のデータセットの規模を明らかにしていない。

しかし、オープンAIのそうしたより規模の大きなモデルを求める貪欲さが、今では仇となっている。ここ数週間で欧米のデータ保護当局は、オープンAIがチャットGPTの訓練のために使うデータの収集・処理方法について調査を開始した。当局は、オープンAIがユーザーの名前やメールアドレスといった個人データをスクレイピングし、同意なしに使用していると見ている。

イタリアのデータ保護当局は予防措置としてチャットGPTの使用を禁じ、フランス、ドイツ、アイルランド、カナダの当局も、オープンAIのシステムがどのようにデータを収集し、使用しているかを調査している。また、欧州各地のデータ保護当局を統括する組織、欧州データ保護会議(EDPB)は、チャットGPTに関する調査や法の執行を調整するために、EU全体でタスクフォースを立ち上げている。

イタリアはオープンAIに対し、4月30日までに法律を遵守するよう求めている。つまりオープンAIは、データを収集するためにユーザーの同意を求めるようにするか、データ収集に「正当な利益(legitimate interest)」があることを証明しなければならない。また、オープンAIはチャットGPTがユーザーのデータをどのように使っているのかを説明する必要がある。さらに、チャットGPTが出力したユーザーに関する情報の誤りを訂正し、ユーザーが希望する場合は自身に関するデータを消去し、コンピューター・プログラムによるそのデータの利用を拒否する権限をユーザーに与えなければならない。

もしオープンAIが、データの使用慣行が合法であることを当局に納得させられなければ、特定の国、あるいはEU全体で(チャットGPTが)遮断される可能性がある。フランスのデータ保護機関CNILのアレク …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る