気候テック15:強化地熱発電でクリーン電力拡大を目指すファーボ
安定して電力を供給できる地熱発電は、変動が大きい太陽光発電や風力発電のギャップを埋める重要なクリーンエネルギー源となる。MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」の1社であるファーボは、地熱発電に利用できる地域を従来より大幅に拡大できるという。 by James Temple2023.11.06
ファーボ・エナジー(Fervo Energy)は、地熱発電所の建設可能な場所と、その能力の範囲を拡大しつつある。
地熱発電所は、地下深くの高温の岩盤に水を循環させ、その熱エネルギーを地表で電気に変換することで機能する。しかしこれまで、経済性のある施設を建設できるのは、多孔質で浸透性の高い高温の岩盤が、掘削可能な比較的浅い深度にある地域に限られていた。
テキサス州ヒューストンで創業6年目を迎えるファーボ・エナジーは、「フラッキング」として知られる水圧破砕法を使うことで、この状況を変えようとしている。地下に亀裂を作ったり広げたりして、地下に水が流れやすくなるような浸透性を人工的に作り出すのだ。2023年7月にファーボは、ネバダ州北部にあるパイロット・プラントでの検証に成功したと発表し、同社のテクノロジーの商業的可能性を実証したと述べている。
基本データ
潜在的なインパクト
ファーボの強化地熱アプローチは、二酸化炭素の排出なしに、私たちの足元にあるほぼ無限のエネルギー源を利用できる地域を大幅に拡大できる可能性がある。地熱には24時間365日いつでも発電できる利点もあり、太陽光や風力のような変動する再生可能エネルギーに送電網がますます依存するようになる中で、そのギャップを埋める理想的なクリーンエネルギー源となる。
地熱は、送電網のクリーン化という根本的な課題を解決する方法として、巨大な電池プラントを建設したり、原子力発電所を増設したり …
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