KADOKAWA Technology Review
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Nissan ProPilot Joins a Bumpy Road for Autonomous Driving Aids

自動運転搭載の新型セレナ
規制当局も納得の独自機能

日産が発表した新型セレナの自動運転は多く点でテスラと似ているが、規制当局を納得させる独自機能を搭載し、死傷事故で目下調査中の「自動運転」と一線を画そうとしている。 by Jamie Condliffe2016.07.13

テスラ車の自動運転中の死亡事故が厳く調査されている現在、自動運転の発表には時機が悪い。しかし、日産自動車は、テスラ車で自動運転初の死亡事故が発表されて2週間も経たないうちに「プロパイロット」システムを発表した。

日産のシステムは、来月にも日本で発売される新型セレナのミニバンに搭載され、加速とプレーキ、ハンドル操作を制御できる。日産の発表では、高速道路の運転操作はもちろん、片側1車線での発進停車もできる。

テスラの自動運転と同様、プロパイロットは内蔵カメラと画像処理ソフトで他の車や道路標識を認識できるという。システムは前方の車を認識し、車間距離を制御し、時速約30~100kmで自動車を走行させる。

日産の坂本秀行取締役副社長は、このテクノロジーについて「この機能はドライバーを補助するのであって、自動運転機能ではない」と限界をはっきりと説明した。日産によると、ハンドルから手を離して運転(できるかもしれないが)できるわけではない、という意味だ。

テスラ車ではドライバーがハンドルから手を離すとダッシュボードに警告が表示されるが、プロパイロットの自動運転では、ドライバーが数秒以内にハンドルを握らないと、自動運転機能は停止する。プロパイロットのこの機能は規制当局対策として強みがある。

テスラ車が起こした3件の自動運転中の事故は、現在、米国国家道路交通安全局が調査中だ。死亡事故は1件だけだが、自動運転中のテスラ車がトラックの側面に衝突し、ドライバーは亡くなった。自動運転システムがトラックを検出できなかったのが原因とはいえ、車両の記録からは、事故直前にドライバーが車を操作していなかった可能性がわかっている。

テスラ車が自動運転で事故を起こしたことで、自動運転関連の発表はしにくくなっている。数週間以内に、米国国家道路交通安全局と国家運輸安全委員会は、事故原因を特定する見込みだ。また、あわせて自動運転の今後を左右するガイドラインを発表すると見られている。

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クレジット Photograph by Toru Yamanaka | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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