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トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
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Tariffs are bad news for batteries

トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製

トランプ関税は全世界の経済に甚大な影響を与えている。米国メーカーでさえ、輸入する部品の価格上昇により製品を値上げせざるを得なくなり、材料のほとんどを中国に依存している電池業界では影響は特に深刻となるだろう。 by Casey Crownhart2025.04.11

この記事の3つのポイント
  1. 世界的な関税導入により株式市場は大混乱に陥っている
  2. 電池業界は中国からの輸入品への高関税で深刻な打撃を受ける
  3. 米国の電池メーカーも中国製部品を使用しているため関税の影響は避けられない
summarized by Claude 3

編集部追記:この記事が米国版に掲載された後、ホワイトハウス(大統領府)はほとんどの相互関税を90日間一時停止すると発表した。ただし、この一時停止は中国には適用されず、中国への関税率は125%に引き上げられる。

4月9日、全世界のほぼすべての国から米国が輸入する品目を対象に、新たな関税が発動される。

ドナルド・トランプ大統領が4月2日、全世界に対する関税導入計画を発表して以来、世界はまさに混沌とした状況に陥っている。株式市場はこの100年間で最大レベルの急落を記録している。そして、世界経済秩序が永遠に変わってしまう可能性が広く予想されている。

多くの人は自分の貯蓄や退職金への影響に目を向けないよう努力している。その一方で、専門家らは今回の関税がさまざまな業界にどのような影響を与えるかを把握しようと懸命に努力している。本誌のジェームス・テンプル編集者が4月3日に発表した記事で指摘しているように、特に気候テック分野で懸念が高まっている。

今回の関税は、特に電池(バッテリー)業界に深刻な打撃を与える可能性がある。電池のサプライチェーン全体を支配しているのは中国だ。その中国からの輸入品には驚異的な高率の関税が課せられており、米国の電池メーカーでさえその影響から逃れることはできないだろう。

まず、念のために、ごく簡単におさらいしておこう。関税とは、輸入品(この場合は米国への輸入品)に課される税のことである。例えば、ブレスレットを販売する米国企業が、普段はビーズや糸を他国から購入しているとしよう。今後は、そのような材料の輸入価格の一定割合を追加で米国政府に支払わなければならない。トランプ大統領の計画では、その税率は仕入れる国によって10%、20%、あるいは50%以上になる可能性がある。

理論的には、関税は国内の生産者を助けるはずである。国外の競合他社から仕入れる製品の価格が上昇するからだ。しかし、私たちが使用する多くの製品のサプライチェーンは世界中に広がっているため、米国で作られた製品であっても、関税の対象となる部品が含まれていることが多い。

電池の場合、極めて高い関税率が課される可能性がある。現在、ほとんどの電池およびその部品は中国から輸入されているからだ。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、中国は2023年時点で世界のリチウムイオン電池セルの75%以上を製造している。

トランプ大統領の新たな計画では、すべての中国製品に34%の関税が課される。これが既存の20%の関税に上乗せされるので、関税率は合計で54%になる(4月9日時点で、ホワイトハウスは中国に対する関税をさらに引き上げ、合計104%となっている)。

しかし、電池に関しては、それだけでは済まない。たとえば、すべてのリチウムイオン電池にはすでに3.5%の関税が課されている。また、中国から輸入される電池にはすでに7.5%の関税が課されており、これは2026年には25%に引き上げられる予定だ。

これらをすべて合計すると、中国から輸入されるリチウムイオン電池の関税は2026年には82%になる可能性がある(中国の報復関税に対する追加関税が加われば132%)。いずれにせよ、電気自動車(EV)や送電網用蓄電池、携帯電話、ノートPC、その他の充電式機器の価格が大幅に上昇することになる。

経済への影響は甚大になる可能性がある。米国は現在もリチウムイオン電池の大半を輸入しており、その70%近くは中国から輸入している。米国は2024年の最初の4カ月だけでも、中国から40億ドル相当のリチウムイオン電池を輸入している。

米国の電池メーカーは理論的には恩恵を受ける可能性がある。しかし、米国に拠点を置く工場の数は限られている。電池サプライチェーンでは中国が誇張し難いほど圧倒的な優位性を誇っているため、米国拠点であっても大半の工場は部品を中国から輸入しており、その部品は関税の対象となる。

中国はリチウムイオン電池セルのおよそ4分の3を製造しているが、部品においてはさらに圧倒的な世界シェアを誇っている。すなわち、電池の2大主要部品であるカソード(正極)材料の約80%、アノード(負極)材材の90%以上が中国製である。

代替化学物質を使う電池メーカーでさえ、関税に大喜びしているわけではないようだ。カリフォルニア州に本社を置くライテン(Lyten)は、リチウム硫黄電池の製造に取り組んでおり、その部品のほとんどは米国内で調達できる(同社のアプローチについて詳しくは、2024年のこちらの記事をご覧いただきたい)。それでも、関税は問題をもたらしかねない。ライテンは2027年に新工場を建設する予定だが、そのためには手頃な価格の建設資材を調達する必要がある。果たして実現できるのか? 「まだ結論は出ていません」と、ライテンの最高持続可能性責任者、キース・ノーマンはヒートマップ・ニュース(Heatmap News)に語っている。

米国の電池産業は、すでにかなり厳しい状況にあった。トランプ大統領の就任以来、工場の建設や拡張の計画が次々とキャンセルされてきた。その価値は総額数十億ドルに及ぶ。 総額数億ドル、数十億ドルにもなる投資をする企業は不確実性を好まない。関税が、すでに不確実な環境にさらに拍車をかけているのは間違いない。

関税が気候テック全般に対してどのような影響を与えるのか、今後さらに深く掘り下げていくつもりだ。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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