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攻めすぎたトランプ「AI行動計画」が抱える3つの問題点
Chip Somodevilla/Getty Images
What you may have missed about Trump’s AI Action Plan

攻めすぎたトランプ「AI行動計画」が抱える3つの問題点

トランプ政権が発表したAI行動計画は非常に楽観的なものだ。大幅な規制緩和によって文化戦争から地政学的紛争まであらゆることで勝利を収められるとしている。だがその一方で、AIの安全性に関連する内容がほとんど欠けている。 by James O'Donnell2025.08.03

この記事の3つのポイント
  1. トランプ政権がAI行動計画を発表し、中国との競争に勝利する野心的なビジョンを提示
  2. 政権はFTCの規制を見直し、AI監視機関を弱体化させる方針を打ち出している
  3. 科学分野でのAI活用に楽観的だが、ディープフェイク対策では混乱も
summarized by Claude 3

ドナルド・トランプ大統領が政権に復帰して以来、ホワイトハウスから発表された数々の大統領令と発表は、米国の人工知能(AI)の未来に対する野心的なビジョンを描いている。中国との競争を撃破し、保守的な言論を抑圧する「ウォーク(意識高い系)」AIモデルを廃止し、電力を大量消費するAIデータセンターを急速に立ち上げるというものである。しかし、具体的な内容には乏しかった。

7月23日に発表されたホワイトハウスのAI行動計画は、この問題を解決することを目的としている。計画の多くの項目は驚くべきものではなく、聞いたことがあるような内容も多いかもしれない。トランプ大統領は環境規制を大幅に削減することでデータセンターの建設を促進し、「負担の大きいAI規制」を制定する州への資金提供を停止し、「トップダウンのイデオロギー的偏見から自由な」モデルを持つAI企業とのみ契約することを望んでいる。

しかし、より詳しく調べてみると、これまであまり報じられてこなかった計画の一部が、政権のAI計画がどこに向かっているのか、より多くのことを明らかにしている。注目すべき重要な3つの問題を以下に示す。

1. トランプ政権は連邦取引委員会との闘いを激化させている

米国人が詐欺に遭った場合、連邦取引委員会(FTC)による支援を受けることになる。先日の記事に書いたように、バイデン政権下でのFTCは、システムの正確さを過度に宣伝したAI企業や、消費者に害をもたらしたと判断されるAIの展開を厳しく監視する方針だった。

トランプ政権の計画では、AIの発展を妨げていると主張する「負担の大きい」規制を取り除く取り組みの一環として、前政権下でのFTCのすべての措置を新たな視点で見直すことを謳っている。政権はFTCの措置の一部を完全に撤回することさえ試みる可能性がある。主要なAI監視機関が弱体化することになるが、これはトランプ政権によるFTCへの段階的な攻撃の最新の動きに過ぎない。詳しくはこの記事をお読みいただきたい。

2. ホワイトハウスは科学のためのAIについて非常に楽観的である

AI行動計画の冒頭では、AIが新しい材料や薬の発見から「かつて読めないと思われていた古代の巻物を解読する」こと、そして科学と数学における画期的発見まで、あらゆることを実行する未来が描かれている。

科学的発見におけるAIについてのそのような無制限の楽観主義は、テック企業が約束していることと呼応している。その楽観主義の一部は現実に根ざしている。タンパク質構造の予測におけるAIの役割は実際に物質科学における勝利をもたらしている。そして先日、グーグル・ディープマインド(Google DeepMind)は古代ラテン語の碑文解読を支援する新しいAIを発表した。しかし、本質的には非常に優秀なテキスト予測機械である大規模言語モデルが、それ自体で科学者として機能するという考えは、これまでのところ根拠に乏しいものだ。

それでも、AI行動計画に基づいてトランプ政権は、こうした実現を目指す研究機関に資金を提供したい考えだ。一方で同政権は、米国立科学財団(NSF)の予算削減に取り組んでおり、その結果、一部の科学者は現在研究を完成させるのに苦労している状況だ。

一方、AIシステムの透明性・解釈性向上の取り組みに対する資金提供など、研究者から歓迎されそうな措置も計画には含まれている。

3. ホワイトハウスのディープフェイクに関するメッセージは混乱している

バイデン大統領のAIに関する大統領令と比較すると、新たな行動計画はAIの安全性向上に関連する内容がほとんど欠けている。

しかし、注目すべき例外がある。それは、ディープフェイクがもたらす害に取り組む計画の一部である。5月、トランプは非同意の性的に露骨なディープフェイクから人々を保護する法案に署名した。こうしたディープフェイクは、生成動画がより高度になり、安価に利用できるようになるにつれ、有名人にとっても一般人にとっても大きな懸念事項となりつつある。この法律は超党派の支持を得ていた。

現在、ホワイトハウスはディープフェイクが法制度に与える可能性のある問題について懸念を表明している。例えば、「偽の証拠が原告と被告の両方に対して正義を否定しようとするために使用される可能性がある」と述べ、ディープフェイク検出の新しい基準を求め、司法省に関連する規則の策定を要請している。私が話を聞いた法律専門家たちは、別の問題を懸念している。弁護士たちが存在しない判例を引用するなどの誤りを犯すAIモデルを採用しており、裁判官がそれを見抜けない可能性があるということである。この問題はAI行動計画では取り扱われていない。

「悪意のあるディープフェイク」を標的とする計画を発表するわずか数日前に、トランプ大統領がバラク・オバマ元大統領が大統領執務室で逮捕される偽のAI生成動画を共有していたことも注目すべきだろう。

全体として、AI行動計画は、トランプ大統領とその周辺の人々が長らく示してきたことを確認している。AIは私たちの時代を決定づける社会的・政治的武器であるということだ。彼らは、AIを正しく活用すれば、文化戦争から地政学的紛争まで、あらゆることで勝利できると信じており、正しいAIは中国を打ち負かすのに役立つと主張している。主要企業への政府の圧力により、企業は自社のモデルから「Woke」なイデオロギーを排除することを余儀なくされる可能性がある。

今回のAI行動計画にはディープフェイクの取り締まりなど人気を集める施策が含まれているが、全体的には巨大テック企業がトランプ政権に取り入ってきた様子を反映している。巨大テック企業の権力に異を唱える条項がほとんど含まれていないという事実は、政権との関係構築への投資が実を結んでいることを示している。

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ジェームス・オドネル [James O'Donnell]米国版 AI/ハードウェア担当記者
自律自動車や外科用ロボット、チャットボットなどのテクノロジーがもたらす可能性とリスクについて主に取材。MITテクノロジーレビュー入社以前は、PBSの報道番組『フロントライン(FRONTLINE)』の調査報道担当記者。ワシントンポスト、プロパブリカ(ProPublica)、WNYCなどのメディアにも寄稿・出演している。
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