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「AIはすばらしい」のにデータセンターが嫌がられる理由
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Data centers are amazing. Everyone hates them.

「AIはすばらしい」のにデータセンターが嫌がられる理由

巨大なデータセンターが、各地で激しい反発を招いている。電力や水の問題だけではない。この構図は、かつてサンフランシスコで起きた「テックバス」抗議運動と驚くほど似ている。止められないAIへの、代理戦争なのかもしれない。 by Mat Honan2026.01.15

この記事の3つのポイント
  1. 世界各地でハイパースケール・データセンターの建設ラッシュが進み、米国では5000億ドル規模の民間投資が発表された
  2. 電力需要急増による料金値上げや環境負荷、騒音問題により各州で住民の強い反対運動が相次いで発生している
  3. AI技術への不安と変化への抵抗感が背景にあり、データセンター反対は社会変革への象徴的な抗議となっているようだ
summarized by Claude 3

見よ、ハイパースケール・データセンターの威容を!

この巨大構造物には、最先端AIモデルに必要な膨大な計算処理を支えるため、数千個の特殊なコンピューター・チップが並列で稼働している。施設ひとつで数百万平方フィートに及ぶ面積を誇り、建設には数百万ポンドの鉄鋼、アルミ、コンクリートが使われる。数百マイルにわたる配線が、数十万個のハイエンドGPUチップをつなぎ、何百メガワット時という電力を消費する。これらの施設は莫大な計算により常に高温となるため、冷却システムだけでも工学的な傑作といえる。そして主役はもちろん、高性能プロセッサーを搭載したチップ群だ。この大規模な配列の中のチップ1個が3万ドル以上することもある。ラックに組み込まれ、連携して稼働しながら、AIモデルを構成する「トークン」を毎秒数十万単位で処理している。いやはや、圧巻である。

世界の巨大企業がデータセンター建設に投じている膨大な資本を考えれば、「米国経済や株式市場は、実質的にこの建設ラッシュに支えられている」とする主張もあながち誇張ではない(実際、多くがそう主張している)。

あまりに重要なインフラとなったため、米国大統領が就任初日、オープンAI(OpenAI)のCEOと肩を並べて、民間による総額5000億ドル規模のデータセンター投資を発表したほどだ。

確かに、ハイパースケール・データセンターは現代技術の粋を集めた驚異の存在である。複数分野の工学が結集した傑作であり、技術革新の象徴だ。

──だが、人々はそれを嫌っている。

バージニア州では、全米でも最も多くのデータセンターが建設されているが、住民たちはそれを嫌っている。ネバダ州では、貴重な水資源を吸い上げるとして非難されている。ミシガン州アリゾナ州、サウスダコタ州でも同様だ。スーフォールズ市では、市の北東部に新たなデータセンター建設を許可したことに市民が激怒し、市議会議員に罵声を浴びせた。世界中のあちこちで反発が起きているが、中でもジョージア州での反発は際立っている。

では、ジョージア州に行ってみよう。「紫色の州」とも称されるように、リベラルな都市とMAGA(Make America Great Again)的な郊外・農村部が混在する、米国でも最も政治的に二極化した州のひとつだ。ステイシー・エイブラムスとニュート・ギングリッチの両者を生んだこの地で、珍しく一致していることが一つあるとすれば、それは「もうデータセンターはたくさんだ」ということだ。

このブームは突然始まったわけではない。かつてジョージア州は、いや、少なくともその政治家たちは、データセンターの誘致を望んでいた。2018年、州議会はデータセンターのコンピューター機器や冷却設備に対する税制優遇措置を可決し、さらに雇用創出や固定資産税にも減税措置を与える法案を成立させた。そして、その結果が――このブームだ。

だが、ことは議員たちが期待したようには進まなかった。

ここでジョージア州ボリングブルックの話をしよう。アトランタからそう遠くないモンロー郡(人口約2万8000人)で、郡の委員会がボリングブルック近郊の900エーカー(3.64平方キロメートル)の土地をデータセンター建設のために用途変更する案を検討していた。州内各地でデータセンターが次々と建設されているが、とりわけアトランタ周辺ではその動きが顕著だ。とはいえ、住民の声が反映されるとは限らない。隣接するトウィッグス郡では、住民の強い反対運動にもかかわらず、当局が300エーカー(1.21平方キロメートル)のデータセンター建設を承認している。だが、ボリングブルックで開かれた公聴会には約900人もの市民が詰めかけ、ほぼ全員が建設に反対の声を上げたと、メイコンのザ・テレグラフ(The Telegraph)紙は報じている。風向きを察したモンロー郡の委員会は、2023年8月にこの計画を否決した。

開発業者は、数百万ドル規模の経済効果を郡にもたらすと約束していた。「目に見えない場所に建設する」「最高水準の環境基準を守る」「雇用と繁栄をもたらす」。そう主張した。だが、それでも人々は怒りを持って立ち上がった。

なぜなのか? データセンターは昔から存在しているのに、なぜ突然ここまで反発が強まったのか?

AIがすべての病気を治し、前代未聞の繁栄をもたらし、果ては死をも克服する──そんな未来を描く声もある(もちろん、それを売っているのはAI開発企業自身だ)。だが、こうした工学の粋を集めた施設が、近隣住民をここまで怒らせるのはなぜなのか?

反発には、いくつか明確な理由がある。まず、急ピッチで進む建設ラッシュが電力網に負担をかけている。誰だって電気料金が上がるのは嫌だ。ジョージア州の電力料金値上げは、まるで月々の請求書が「裏庭にできた目障りな建物は、あなたの電力網とお金を使って、カリフォルニアの億万長者を太らせている」と告げてくるかのようだ。例えばワイオミング州では、メタ(Meta)の建設予定のデータセンターが、州内すべての家庭の合計より多くの電力を必要とするとされている。こうした電力需要に応えるため、電力会社は電力網の容量を増やしているが、その恩恵を受けるのは主にテック企業で、コストのツケは地元住民に回る

環境への懸念もある。電力需要を満たすために、データセンターはしばしば環境負荷の高いエネルギー源に頼る。例えばエックスAI(xAI)は、メンフィスのデータセンターに汚染性の高いメタンガス発電機を大量に設置したことで批判を浴びた。環境に優しい選択肢として原子力がよく挙げられるが、従来型の原発は完成までに10年以上、新型の小型炉でさえ稼働まで数年を要する。また、データセンターは大量の水を使用するが、その使用量は施設ごとに大きく異なり、企業側は情報開示に消極的だ。そのため、多くの州が水使用量の報告義務化を目指している。

環境への影響には、もうひとつ別の側面がある。騒音だ。データセンターは低音の機械音を常に発している。1日中、年中無休で、まるで「止まることのない高速道路」のように。

では、雇用はどうか。残念ながら、それも期待外れだ。建設期間中こそ人手は要るが、完成後の運用には驚くほど少人数しか必要とされない。これほどリソース集約的な施設にしては、あまりに雇用が少ないのだ。

こうした理由だけでも、データセンター反対の論拠としては十分だ。だが私は、それ以上に“感情的な理由”が背景にあるのではと感じている。そしてそれは、かつて聞いたことのある話と重なる。

10年以上前、シリコンバレーの大手テック企業が、自社キャンパスとサンフランシスコなどの都市部を結ぶ通勤バスを運行し始めた。これらのバスは公道という“共有資源”を利用しながら、十分な対価を払っていないという印象を住民に与えた。抗議活動が相次いだ。しかし、その抗議は単に道路使用料の問題だけではなかった。

当時、大小のテック企業がサンフランシスコの都市構造そのものを変えつつあった。2010年代初頭のベイエリアは、急速なジェントリフィケーション(高所得層による地域の再編)が進んでいた。さらに、テック産業は社会の在り方そのものを塗り替えていた。スマートフォンの急速な普及により、世界との接し方が一変したのだ。人々は、その変化に抗う術を持たなかった。グーグルを止めることなどできなかった。

──だが、グーグルのバスは止められた。

道の真ん中に立ちはだかることもできた。乗客に怒声を浴びせることもできた。政治家に声を上げ、「何とかしろ」と訴えることもできた。実際、サンフランシスコでは人々がそうした。そしてその結果、バスの運行は規制されるようになった。

データセンターへの反発も、あの時の空気とどこか似ている。AIが社会を大きく変えつつある──そう私たちは言われている。実際、気がつけばAIはどこにでもある。ChatGPT(チャットGPT)やClaude(クロード)、Gemini(ジェミニ)といった生成AIを自分では使わないという人でも、日常使うアプリやサービスにはどんどんAIが組み込まれている。多くの人は、AIがこの先、仕事を奪うのではないか、あるいは人類にとって危険なのではと不安を抱いている。そして、そもそもそれが何のためなのかが見えづらい。これまでのところ、得られた成果は期待された“夢の未来”には程遠い

グーグルを止めることはできない。でも、もしかしたら──そのデータセンターなら、止められるかもしれない。

……いや、やはり無理かもしれない。サンフランシスコのテックバスは今も走り続けているし、街はさらにジェントリフィケーションが進んだ。そしてジョージア州モンロー郡では、日常が続いている。昨年10月、グーグルは州間高速道路沿いの950エーカー(3.8平方キロメートル)の土地を購入したことを正式に認めた。そこにデータセンターを建設する予定である。

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マット・ホーナン [Mat Honan]米国版 編集長
MITテクノロジーレビューのグローバル編集長。前職のバズフィード・ニュースでは責任編集者を務め、テクノロジー取材班を立ち上げた。同チームはジョージ・ポルク賞、リビングストン賞、ピューリッツァー賞を受賞している。バズフィード以前は、ワイアード誌のコラムニスト/上級ライターとして、20年以上にわたってテック業界を取材してきた。
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