卵のない「卵」からひよこ、
脱絶滅企業の主張は
「明らかな誇張」?
米スタートアップ企業コロッサル・バイオサイエンシズが3Dプリント製の「完全人工卵」を開発したと発表した。「脱絶滅」を掲げる同社は、今回の人工卵技術が絶滅した巨大な鳥、モアの復元にも貢献する可能性があると言うが、明らかな誇張だと指摘する研究者もいる。 by Antonio Regalado2026.05.25
- この記事の3つのポイント
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- コロッサル社が3Dプリント製人工卵殻でニワトリの孵化に成功し、絶滅種復元への応用を発表した
- 同技術は1998年以来の既存手法の改良版に過ぎず、「史上初」との主張は専門家から誇張との批判
- モア復元には人工卵殻以外にも遺伝子編集・種間胚の生存可能性など未解決の技術的障壁が多く残る
ひよこたちはもぞもぞと動き、ピッピングし始めていた——つまり、孵化しようとしていたのだ。しかし、卵からではない。
これらのニワトリは、米テキサス州・ダラスにあるコロッサル・バイオサイエンシズ(Colossal Biosciences)の本社で、透明な3Dプリント製プラスチックカップの中で育っていた。
このバイオテクノロジー企業は先日、ドードーや巨大なモアなど絶滅した鳥類を復活させる取り組みの一環として、「完全人工卵」を開発したと発表した。
ただし、「人工卵殻」という表現の方が、この発明をより正確に表しているだろう。これは楕円形の格子状プリント構造体で、内側に特殊なシリコーン系膜がコーティングされており、本物の卵殻と同様に酸素を透過させる仕組みになっている。
鳥を育てるにあたり、コロッサルは産みたての鶏卵を用意し、その中身を慎重に人工殻に移し替えた。移し替えられた胚はその後も成長を続けた。上部に設けられた窓から、研究者たちは内部を観察できる。
「人工卵の中でひよこたちが動き回っているのを見たときは、本当に衝撃的でした」と、同社の最高生物学責任者(CBO)であるアンドリュー・パスクは言う。「子宮の外で命を育てられると、実感できるんです」。
コロッサルは、遺伝子編集と生殖技術を用いてケナガマンモスをはじめとする絶滅種を復元する計画を掲げて2021年に創業した。その後、同社が現在「スケーラブルかつ制御可能な」動物の創出と呼ぶ取り組みに向けて、8億ドル以上の資金を調達している。
パスクCBOによれば、この人工卵技術は絶滅危惧鳥類の保全にも役立つ可能性があるという。また、絶滅した巨大飛べない鳥・ジャイアントモアの復元プロジェクトにも貢献できるかもしれない。モアはかつてニュージーランドに生息し、体高は約3.6メートル、現生鳥類のどの卵よりも大きい4リットルもの卵を産んでいた。
しかし、コロッサルはそれに見合う大きさの人工卵を作れるかもしれない。同社は、あまりに大きいため、スタッフが「サラダスピナー」と呼び始めたという、試作品の3Dプリント卵の写真を公開した。
モアが絶滅したのは、マオリの祖先を乗せたカヌーがニュージーランドの南島に到達した約750年前のことだ。遺跡からはモアの骨 …
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