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 気候テック企業の「重要鉱物」ピボット、生き残りか使命放棄か
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Climate tech companies are pivoting to critical minerals

気候テック企業の「重要鉱物」ピボット、生き残りか使命放棄か

生き残りを模索する気候テック企業は今、「重要鉱物」という言葉に活路を見いだそうとしている。これは事業を継続するための現実的な適応なのか、それとも脱炭素という目的からの静かな撤退なのか。 by Casey Crownhart2026.05.26

この記事の3つのポイント
  1. トランプ政権下で気候テック企業が重要鉱物事業へ軸足を移し、生存戦略を模索している
  2. ボストン・メタルやブリムストーンは脱炭素技術を持ちながら重要金属・鉱物事業で資金を確保しようとしている
  3. 気候変動の語られない風潮が本来の脱炭素目的の形骸化を招くリスクを筆者は懸念している
summarized by Claude 3

米国では第2次トランプ政権が発足して1年以上が経過し、気候変動対策への支持は低調だ。しかし、気候テック企業は脱炭素化以外の潜在的なメリットに注目するなど、この新たな環境下でも生き残り、さらには成長する方法を模索している。

今や気候テック企業のほぼすべてが、政治的に注目を浴びているテーマ、具体的にはデータセンター、エネルギーの豊富な供給、重要鉱物について語るようになった感がある。私の最新記事では、ボストン・メタル(Boston Metal)の最新の資金調達ラウンドを取り上げた。同社は主に温室効果ガス排出量を削減した鉄鋼製造への取り組みで知られているが、新規・既存の投資家から7500万ドルを調達し、重要金属事業の強化に充てる方針だ。

ニオブやタンタルといった金属に注力しても、クリーンな鉄鋼製造がもたらすような大きな気候変動対策上の恩恵は期待できない。しかし、事業継続に必要な資金を生み出す可能性はある。米国での連邦政府支援が限られる中、鉄鋼のような難しい産業での成功がますます困難になるにつれ、こうした戦略を取る企業が増えているようだ。

ボストン・メタルの溶融酸化物電解(MOE:Molten Oxide Electrolysis)技術は、電力を使って金属を製造する。

昨年もこのスタートアップを取り上げた。当時、同社は鉄鋼事業における重要なマイルストーンを発表し、米マサチューセッツ州のパイロット炉を稼働させて文字通り1トンの素材を製造していた。

現在、同社の焦点は移行しており、ニオブやタンタル(航空機エンジンや高級鉄鋼合金に使用)からクロム、バナジウムに至るまで、他の金属の製造に全力を注いでいる。

鉄鋼業界は難しい産業だ。膨大な規模で操業しており、製品の価格もそれほど高くない。他の金属、特に米国政府が重要と位置づける金属に注力することは、事業を存続させる手段となり得る。うまくいけば、鉄鋼業界の排出量を大幅に削減できるほど長く生き残れるかもしれない。

「重要金属業界に展開することで迅速に事業を進め、鉄鋼の開発を継続するためのリソースを生み出せます」と語るのは、ボストン・メタルのタデウ・カルネイロCEOだ。

重要材料がビジネスモデルの助けになると期待している企業はほかにもある。

カリフォルニア州に拠点を置くブリムストーン(Brimstone)は、セメントを製造する新たなプロセスを開発している。セメントもまた、脱炭素化が難しいことが証明されている重度汚染産業の一つだ。同社は新たな原料を使用することで二酸化炭素排出量の削減を図っている。セメントに加え、コンクリートに混合できる補助的なセメント系材料や製錬グレードのアルミナも製造している。

昨年、米国エネルギー省はセメント関連プロジェクト向けに確保されていた13億ドルの資金を取り消した。ブリムストーンは受け取っていた助成金の一つを取り消され、本誌で長年取り上げてきた別のセメントスタートアップ、サブライム・システムズ(Sublime Systems)も同様の措置を受けた。

当時、ブリムストーンの広報担当者は取材に対し、同社はこの取り消しを「誤解」と捉えており、資金が充てられる予定だった施設ではセメントだけでなく、米国のアルミニウム生産を支えるアルミナも製造すると説明した。

現在、同社のWebサイトでは、セメントに加えて重要鉱物も製造していることが目立つ形で強調されている。

一部の二酸化炭素除去企業も重要鉱物の波に乗ろうとしており、鉱業との連携を目指している。また、採掘作業の効率化支援や、稼働中・廃棄された鉱山跡地の環境修復を売り込む企業もある。

こうした動きはすべて、より大きなメッセージの転換の一部だ。政治家からエネルギー企業のトップに至るまで、気候変動について語る機会が減っている

その衝動は理解できるとしても、こうした傾向には不安が残る。気候変動について沈黙し続ければ、企業が本来の目的を見失い、排出量削減につながらない選択をしてしまうのではないかと懸念している。しかし、異なる優先事項に軸足を移したり、別のメッセージを打ち出したりすることで、変化をもたらすのに十分なほど長く事業を継続できる企業もあるだろう。最終的にどうなるかは、今後を見守るしかない。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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