KADOKAWA Technology Review
×
無料の会員登録で、記事閲覧数が増えます
ライブ配信戦争勃発 アマゾンとツイッターはテレビを倒せるか?
ビジネス・インパクト Can Amazon and Twitter Kill Off TV by Streaming Live Events?

ライブ配信戦争勃発 アマゾンとツイッターはテレビを倒せるか?

米国で人気のNFLの試合の配信権をアマゾンが獲得。ツイッターは新しい生放送番組のラインナップを発表した。ネットがテレビと同等の訴求力を持てるか、試金石になる。 by Jamie Condliffe2017.05.16

ツイッターは2016年から、木曜夜のナショナルフットボールリーグ(NFL)の試合のストリーミング配信を始めた。視聴数はツイッターの期待通りにはならず、1試合あたりの平均視聴者数はテレビの1580万人に対し、ツイッターは26万6000人だった。しかし、この大失敗にもかかわらず、大手インターネット企業はなおも、生放送で視聴数を勝ち取れると信じている。

アマゾンも、確実にそう期待している企業の1つだ。NFLは最近の発表で、木曜夜の試合のストリーミング配信をアマゾンが引き継ぐ予定だと発表した(ツイッターの結果には満足しなかったのかもしれない)。アメリカンフットボールの試合をアマゾンプライム・ビデオのサービスの一環として提供するのだ。アマゾンは配信権の獲得過程でフェイスブックとグーグルに打ち勝ったが、10試合を放送する特権を得るのに5000万ドルを支払うことになった。昨年、同じ試合数を配信するためにツイッターが払ったのは1000万ドルだったから、金額は一気に跳ね上がっている。

ツイッターもまた、ライブストリーミングの戦いをあきらめていない。5月1日のツイッターの発表では、ブルームバーグのニュースを毎日24時間配信する番組や、女子プロバスケットボールリーグのWNBA、バズフィードが配信している事件や出来事の最新情報、ヴァージ(テクノロジー・カルチャーメディア)のガジェット紹介番組など、さまざまな生放送番組を放映する契約を始めたと発表した。視聴者はオンラインで生放送を見たがっていると、ツイッターが信じていることは明らかだ。

フェイスブックが映像に力を入れていることも忘れてはいけない。フェイスブックは、ソーシャルネットワーク最大手の立場を最大限に活かして、テレビに取って代わるメディアになりたいとの意向を公にしており、ライブストリーミングはその主要な位置を占めることになりそうだ。

しかし、こうしたサービスがいずれも乗り越えなければならない、ある小さな問題がある。ツイッターによるNFLの配信実験からすでにわかっているように、テレビの生放送に親しんでいる人々の大部分は、やはり……まあ、テレビに向かうのだ。

こうした状況の中で、NFLのような組織の先行きはどうなるのだろうか?NFLはテレビ視聴率を長年にわたって独占してきたが、今では視聴者数が減りつつある。しかも、ストリーミング配信の視聴者数は期待通りにはなっていない。

「リコード」が発表した記事は、NFLがこの困難に必至に取り組もうとしている様子を紹介している。記事ではとりわけ、NFLがフットボールの試合をあまりに多く人々に見せすぎていて、かえって不利になっているとの可能性を指摘している。また、アマゾンとの提携はNFLにとってはうまくいくかもしれない一方で、もっぱら昔ながらの視聴者に頼るテレビ局などの団体や企業にとっては、不幸の前兆となるとも指摘している。記事では、匿名の「テレビ局上層幹部」が、アマゾンの生放送への来襲に対して示した、次のような意見が引用されている。

「アマゾンは放送業界に、信じられないほど潤沢な資金と、マージンから得られる利益が極端に低くても、また、利益がまったくなくても事業を進めようという、明確な意欲を携えてやってきます。それにより、アマゾンはまぎれもなく、他社をおびやかす存在になります。緊張感が高まる可能性は確実にあります」。

テレビ局幹部の立場から見ると、ツイッターによるNFLの配信実験は、ぱっとしなかった視聴者数を考えれば、無視することもできる。だが、メディアに対して圧倒的な力を持つアマゾンの場合には、視聴者の目をテレビから引き離して、アマゾンのアプリに向けさせるだけのことができるのかもしれない。テレビ関係者は、不安を抱えている。

(関連記事:BBC, Recode, “Facebook Wants to Take Over TV”)

人気の記事ランキング
  1. The Seven Deadly Sins of AI Predictions シンギュラリティは来ない —AIの未来予想でよくある 7つの勘違い
  2. MIT Technology Review Academic Conference Event Report 日本の学生は世界でどう戦うか? 先端テック企業トップがエール
  3. This Is the Reason Ethereum Exists なぜイーサリアムは ビットコイン以上に 世界を熱狂させるのか?
  4. India Warily Eyes AI 自動化で沈みゆくインド、 IT業界が斜陽産業になる日
  5. Quantum Computers Pose Imminent Threat to Bitcoin Security ビットコインは量子コンピュータによる攻撃に耐えられるのか?
タグ
クレジット Photograph by Sandra Vos | Flickr
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
「ビジネス・インパクト」の記事
人気の記事ランキング
  1. The Seven Deadly Sins of AI Predictions シンギュラリティは来ない —AIの未来予想でよくある 7つの勘違い
  2. MIT Technology Review Academic Conference Event Report 日本の学生は世界でどう戦うか? 先端テック企業トップがエール
  3. This Is the Reason Ethereum Exists なぜイーサリアムは ビットコイン以上に 世界を熱狂させるのか?
  4. India Warily Eyes AI 自動化で沈みゆくインド、 IT業界が斜陽産業になる日
  5. Quantum Computers Pose Imminent Threat to Bitcoin Security ビットコインは量子コンピュータによる攻撃に耐えられるのか?
ザ・デイリー重要なテクノロジーとイノベーションのニュースを平日毎日お届けします。
公式アカウント