KADOKAWA Technology Review
×
カリフォルニア州で過去最悪の山火事、気候変動も影響か
Justin Sullivan | Getty
Did Climate Change Fuel California’s Devastating Fires? Probably.

カリフォルニア州で過去最悪の山火事、気候変動も影響か

米カリフォルニア州で発生した大規模な山火事は甚大な被害をもたらした。原因はまだ特定されていないが、長引く干ばつと記録的な猛暑の影響を指摘する声がある。 by James Temple2017.10.16

10月第2週、カリフォルニア州の約24カ所で山火事が発生し、およそ690平方キロメートルが焼失した。現在までに数千の建物が破壊され、23人が死亡している。カリフォルニア州の歴史において最悪の規模の山火事となった。

山火事はカリフォルニア州北部のワイン生産地に集中している。10月8日の遅くに乾燥した秋の強風が同地域に吹き荒れると、12カ所以上で炎が上がった。数千人の住民が避難を余儀なくされ、数百人が行方不明となっている(「自律型消火・救助飛行編隊は、自律自動車より早く実用化されそうだ」を参照)。

火事の原因は現在調査中だが、地元メディアの報道では、落下した送電線から出火した可能性が高いという。出火の原因がどうであれ、人間の活動に伴う気候変動が、いとも簡単に火災が広まった要因になっている可能性は大きい。

地球温暖化が山火事のリスクを高める明らかな要因として、気温の上昇が挙げられる。このことを裏付ける査読付き論文はたくさんにある。暖かい空気が植物や樹木、地面から湿気を奪い、いつでも発火可能な乾燥した状態を作り出す。山火事を悪化させる乾いた燃料と条件を提供しているのだ。影響を与える他の気候的な要因として、熱帯雨林の減少、山岳地の雪塊の減少または早い時期の雪解けなども挙げられる。

人的要因もまた、危険性を高めている。山地と隣接する開発の増加や消防活動などで燃料が増加し、発火すると致命的な火事となる。

スタンフォード大学の地球システム科学のノア・ディフェンボウ教授は単一の極端な現象と気候変動との関連性を研究している。特に、以前に発表したいくつか論文では共著者と共に、人間の活動に伴う地球温暖化がカリフォルニア州の直近5年間の干ばつを招いた「可能性が非常に高い」と結論付けている。

カリフォルニア州北部の山火事は続いており、分析をまだしていないので確固とした結論は引き出せていないと強調したうえで、ディフェンボウ教授は、干ばつによって「数百万本の木」(実際、 1億本以上) が枯れ、大量の燃料が蓄積されたと述べている。これとは別に、2016年から2017年にかけての冬は極端に湿った季節だった。2017年の夏は、乾燥した灼熱の日々が続き、カリフォルニア州周辺で過去最高の気温を記録した。

ディフェンボウ教授は「今回の現象を詳しく分析するまでもなく、気温が山火事のリスクを高めるのは歴史的に明らかで、山火事を悪化させる絶好の条件を作っています」と言う。

「ディアブロ(悪魔)の風」と呼ばれるこの地方特有の風が、カリフォルニア州北部の火事を煽った。内陸部から沿岸にかけて吹く風で、高地から吹き降ろすと、気温が上がり、スピードが増し、乾燥を呼び込む。同様な風が1991年に発生したオークランドヒルズの壊滅的な火事の要因となっている。この火事では、25人が死亡し、約3500の家屋が焼失した。

大気圏の気候状態が変わることで、風のパターンに影響が出るのは確かだが、気候変動がこの種の自然風の現象に大きく影響するかどうかに関してはデータが混在している

もっとも、気候変動がカリフォルニア州で今回発生した火事の要因になっているかどうかという議論はあまり意味がない。今となっては、気候変動が火事に影響するのは誰もが知っていることだ。他にも、気候科学者たちが長期に渡って予測してきたように、多くの極端な現象を作り出している。その結果、コストはどんどん増大し、被害を出し、犠牲者も出している。

実際、人間が引き起こす気候変動により、米国西部では過去30年間で森林火災による焼失面積が倍増している。米国科学アカデミー紀要に掲載された研究によると、4万1000平方キロメートルも増えているという。

今後も気温が上昇し続ける限り、事態は悪化するだけだ。

「どう頑張っても、火事は拡大し続けるでしょう。理由は本当に明らかです」とコロンビア大学の生物気候学者のパーク・ウィリアムズ博士は述べる。「以前の世代に起きた火事よりも、これからの時代はさらに大きな火事を覚悟しないといけないでしょう」。

人気の記事ランキング
  1. Half the Milky Way’s sun-like stars could be home to Earth-like planets 「地球2.0」候補、天の川銀河に3億個以上存在か? 最新研究
  2. We just found a source for one of the most mysterious phenomena in astronomy 謎の天文現象「高速電波バースト」の発生源、最新研究で明らかに
  3. The second-largest radio telescope in the world is shutting down 世界で2番目に大きい電波望遠鏡、修復不能で57年の歴史に幕
  4. One in five covid-19 patients are diagnosed with a mental illness within 90 days 新型コロナ患者の5人に1人、回復後に精神疾患と診断
ジェームス・テンプル [James Temple]米国版 エネルギー担当上級編集者
MITテクノロジーレビュー[米国版]のエネルギー担当上級編集者です。特に再生可能エネルギーと気候変動に対処するテクノロジーの取材に取り組んでいます。前職ではバージ(The Verge)の上級ディレクターを務めており、それ以前はリコード(Recode)の編集長代理、サンフランシスコ・クロニクル紙のコラムニストでした。エネルギーや気候変動の記事を書いていないときは、よく犬の散歩かカリフォルニアの景色をビデオ撮影しています。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Half the Milky Way’s sun-like stars could be home to Earth-like planets 「地球2.0」候補、天の川銀河に3億個以上存在か? 最新研究
  2. We just found a source for one of the most mysterious phenomena in astronomy 謎の天文現象「高速電波バースト」の発生源、最新研究で明らかに
  3. The second-largest radio telescope in the world is shutting down 世界で2番目に大きい電波望遠鏡、修復不能で57年の歴史に幕
  4. One in five covid-19 patients are diagnosed with a mental illness within 90 days 新型コロナ患者の5人に1人、回復後に精神疾患と診断
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.1/Autumn 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.1/Autumn 2020AI Issue

技術動向から社会実装の先進事例、倫理・ガバナンスまで、
AI戦略の2020年代のあたらしい指針。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る