ブロードコムによるクアルコム買収を阻止した「CFIUS」とは何か?
米トランプ大統領は半導体大手クアルコムに対する買収を中止するようブロードコムに命じた。大統領に中止を勧告した対米外国投資委員会(CFIUS)とはどのような組織なのか、解説する。 by Martin Giles2018.03.13
CFIUSを「究極の規制バズーカ砲」とある金融アナリストは呼んだ。そして現在、米国テック業界史上最大の買収提案がその標的となっている。
対米外国投資委員会、すなわちCFIUS(SIF-ee-usと発音)は、シンガポールのブロードコムによる米国のチップ製造会社クアルコムへの1170億ドルの入札を調査している。吸収合併の結果が望ましくないと思われる場合は、取引はおそらく阻止されることになる(日本版注:3月12日、米トランプ大統領はCFIUSの勧告に基づき、ブロードコムに対して買収中止を命じた)。
CFIUSは、海外企業による米国企業の買収が、国家安全保障上の脅威となるかどうかを判断する組織で、業界に関わらず取引を徹底的に調査できる。だがここ数年はテック企業の取引が増大しており、とりわけ中国関係が目立っている。
CFIUSがどのように機能し、ブロードコムがなぜ取引の承認を得るのに困難をきたしているのかを探ってみた。
委員会の顔ぶれ
ワシントンDCの大物が大勢揃っている。CFIUSの委員長は米財務長官が務め、委員会には数々の政府機関のトップが含まれる。たとえば国防省、国土安全保障省、商務省、エネルギー省、さらに米国通商代表部、ホワイトハウスの科学技術政策室などだ。さらに委員会は情報機関や他の団体からの情報も受け取る。
CFIUSはどのくらい多忙なのか?
最近の話なら、それはもう非常に忙しい。CFIUSは2016年に172件を調査したが、これは201 …
- 人気の記事ランキング
-
- AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
- Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
- A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
- How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
- The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?