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バイドゥは人工知能をどうビジネスに生かそうとしているのか?

中国最大のインターネット企業バイドゥは、自車製品に人工知能を追加しようと躍起になっている。 by Will Knight2016.03.29

2015年11月、北京にあるバイドゥ本社の入り口をくぐるとすぐに、私の顔は元気のよさそうな子犬の顔に変わった。バイドゥの人工知能研究者とチャットをしていると、その研究者のスマホに写るも私の顔には、現実感のある濡れた鼻、フワフワの耳、そして大きなピンクの舌が現れ、驚いた。

このトリックは、バイドゥが2015年のハロウィーンに発表したアプリ「フェイス・ユー」で、デジタル画像の顔にさまざまな不気味な効果や動物の特徴を追加する機能として実現した。フェイス・ユーでは、自動的に人の顔の部位を見極める人工知能の手法「深層学習」を利用しており、ソフトウェアは、驚くほど正確に、仮想マスクを顔面の正しい位置に貼り付け、引き伸ばせる。

しかし、深層学習は、バイドゥで単なる面白アプリの実現手段ではなく、多くの原動力になっている。深層学習は既存の製品をさらに賢くし、バイドゥのエンジニアたちが多くの全く新しいアイデアを練る助けにもなっている。

バイドゥは、「古いアプリケーションを『従来型の』機械学習から深層学習へ移行」する一方で、会話をするようにコンピューターを訓練するなどの新しいアプリケーションに深層学習を利用している、いくつかある企業(フェイスブックや、グーグル、マイクロソフト、IBM等)のうちの1社です、とニューヨーク大学のヤン・ルカン教授はいう。ルカン教授は、深層学習の歴史における権威の1人で、フェイスブックの人工知能研究所の所長でもある。パターンを認識することやデータから予測することに非常に効果があると証明されたため、深層学習アプリは目覚しい勢いで盛り上がっている。

Baidu headquarters, Beijing.
北京のバイドゥ本社

深層学習は、基本的に機械学習の中の特に効率的な手法だ。つまり膨大な量のデータを吸収した後に自らコンピューター・プログラムを作り上げる。深層学習では、データを模擬ニューロンの大規模なネットワークへ入力すると、模擬ニューロンは、徐々に入力されたデータの中に抽象的なパターンを認識できるようになる。たとえば、訓練されたネットワークはその後、画像の中の物体を見分けたり、あるいは新しいeメールは本物かスパムか見極められる。

その手法は確かに、バイドゥが中国で最も革新的な地元企業の1社としての高い評判を維持する助けとなっている。ほとんど何で判断しても、バイドゥは、中国で最も成功したインターネット・ビジネスだ。中国にいる5億3600万人以上のインターネット検索ユーザーのうち92%以上が、バイドゥのポータル・サービスとモバイル・アプリを使っている。バイドゥはこの1年の間に、音楽ストリーミングから保険、銀行業務まで、新しい分野へ進出し、成長を続けている。

バイドゥは、動的で競争の激しい技術系の状況の中に素早く進出するために人工知能を利用している、と機械学習の著名な専門家であるバイドゥのアンドリュー・エン主任研究員はいう。2年前にバイドゥは、会社全体に機械学習を適用する方法を研究するために、「深層学習研究所」と呼ばれる内部グループを作った。以来、エン主任研究員によると、深層学習は、同社の広告システムを変えて、大幅に収益を向上させる助けとなり、また12月にバイドゥが実演した自律運転システムのような全く新しい取り組みの原動力となったという。

「深層学習のアプリケーションの数は日ごとに増えています」

バイドゥの深層学習研究所は、シリコンバレーAIラボと呼ばれる、アメリカに拠点を置くバイドゥ・グループと共同で人工知能プロジェクトに取り組むことが多い。アメリカのラボは、その分野ですでに働いている、あるいは研究している人工知能に関して優れた才能を持つ人たちを引きつけるために、2013年にオープンした。

研究所を立ち上げた後にバイドゥが最初にした中の1つに、他の事業部のエンジニアたちが使えるパドルと呼ばれる深層学習のプラットフォームの構築があったと、エン主任研究員はいう。そして研究所の研究員はその他の事業部内に配属されることがままある。結果として、深層学習は、とりわけ、バイドゥのアンチウイルス・フィルターの向上に使われ、また同社の巨大なサーバー・ファームのひとつにあるハード・ドライブの故障を予測するために使われている。

92%
バイドゥ・サービスを利用する中国人の検索ユーザーの割合

バイドゥ本社の研究所のオフィスの中を歩くと、必死に行動し実験している様子があちこちに見えた。研究所は最近、さらに大人数のチームを収容するためにバイドゥのキャンパスにある他の建物に引っ越し、急いで並べられた多数の机には、未だに開けられていない箱が片付けられずにあった。ある本棚の上に置いてあるドローンは、研究員が3Dモデルのストリート・ビューを構築するために使っている。

若手のひとり、ジーウェイ・グウ研究員は、顔のモーフィング・アプリを実演し、そのアプリを作るのに使われた技法によって、バイドゥは仮想現実に乗り出せるかもしれないと述べた。たとえば、実世界の物体を仮想環境の中に持ち込む方法を提供できるかもしれない。

深層学習は、とりわけ、バイドゥのアンチウイルス・フィルターの向上に使われ、また同社の巨大なサーバー・ファームの1つにあるハード・ドライブの故障を予測するために使われている。

ジーウェイ研究員はそれから、全盲の人や弱視の人が世界を動き回る助けとなるためにバイドゥが作り出したウェアラブル機器を見せてくれた。デューライトと呼ばれる、その機器は、Bluetoothのヘッドセットのように耳にかけられ、真正面にあるものは何であれキャプチャーし、それが何であるのか特定するためにデータを深層学習ベースの画像認識システムへ送り込む。

ジーウェイ研究員が、デューライトを椅子と鉢植えに向けた、するとその機器は「認識中…軽いプラスチック製の椅子です…認識中…豊かな緑色の鉢植えです。」としゃべった。 ジーウェイ研究員が私にその機器を向けると「男性が微笑んでいます、37歳くらいです」(惜しい)といった。ジーウェイさんによると、その機器に人の名前を覚えさせ、後にその人を認識するように設定できるという。

深層学習の形をとる人工知能はすでに、画像検索を一層正確にして、コア検索アルゴリズムを含む、バイドゥの主要製品の改良の助けとなっている。 また人工知能によって、バイドゥの音声認識エンジンはその正確さを増している。その音声認識エンジンは、音声検索を可能にし、またデュアー(DuEr)と呼ばれる比較的新しい音声制御のパーソナル・アシスタントを可能にする。音声技術は、中国におけるバイドゥの将来にとってとりわけ重要になり得る。それはバイドゥが、小さな画面に中国文字を入力するというよりむしろ、モバイル機器のさらに優雅な使い方を提供するからだ。

「膨大なデータを持つ企業は真剣に深層学習を検討すべきです。深層学習は、膨大な量のデータを膨大な量の価値あるもに変える巨大な力です」(エン主任研究員)

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ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
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