2022年12月、ローレンス・リバモア国立研究所は核融合実験で初めてエネルギー純増を達成した。しかし、同研究所には10年近くの歳月と10億ドルをかけて構築した核融合施設が、一度も稼働させることなくお蔵入りになった歴史がある。
次世代太陽電池の材料として研究されてきたペロブスカイトは、扱いにくさがネックとなっていた。だが、シリコンと組み合わせて発電効率をより高めたタンデム型太陽電池として、年内にも商業化される見込みが出てきた。
洋上風力発電業界が苦境に立たされている。コストの高騰やサプライチェーンの混乱拡大に伴い、プロジェクトの中止や延期が相次いでいるのだ。だが一方では、新たな取り組みや技術開発も続いており、明るい兆しもある。
キャンパス全体の排出量削減を目指すカリフォルニア大学は、カーボン・オフセットの使用を大幅に減らし、排出量を直接削減する計画に切り替えた。その理由は、オフセットの信頼性の低さだという。
鋼鉄、コンクリートといった日常生活ではありふれた材料は、実は温室効果ガスの大きな発生源となっている。そのクリーン化の方法を考えてみよう。
サンゴ礁は生態系として、2035年までには機能的に絶滅すると予想されている。サンゴの精子、幼生、成体の凍結保存の取り組みは、急速に消滅しているサンゴ礁を救うための頼みの綱である。
2023年は気候問題にとって記録破りの年であった。3つの重要データから気候変動に関する動きを振り返ってみよう。
住宅の気密性と断熱性を追求することでエネルギー使用量を大幅に削減する「パッシブハウス」が注目されている。
観測史上もっとも暑い1年となった2023年は、気候変動に関する悪いニュースが目立つ一方で、将来に向けた良い取り組みの話題もあった。本誌の気候変動担当記者が振り返る。
大気中から二酸化炭素を直接吸収する技術は、気候変動対策の1つとして大きな期待を集めており、すでに商業プラントを運用している企業もある。だが、現時点でこの技術を使って大気から取り除ける二酸化炭素の量はほんのわずかだ。
カリフォルニア工科大学で3Dプリンティング技術を応用してリチウムイオン電池用炭素電極のミクロ構造化を研究した成田 海は、自ら起こしたスタートアップ「3Dアーキテック( 3D Architech )」を通じて技術を電池以外の領域に広げ、モノづくりを変えようとしている。
今年の気候変動に関する国際会議「COP28」は、化石燃料の計画をめぐる争いで会期が1日延長され、12月13日に閉幕した。今回の会議で得られた重要な合意について説明しよう。
気候変動対策の1つとして、大気から二酸化炭素を直接回収する技術を利用し、排出権を売買する二酸化炭素除去産業に資金が集まりつつある。だが、米エネルギー省の元幹部は、企業の手間や費用を省く目的で利用されようとしていると警鐘を鳴らす。
新たな報告書によると、気候変動の原因となる二酸化炭素の排出量は今年、過去最高を記録する勢いだ。一方で、大気中から二酸化炭素を除去する取り組みはまだ微々たるもので、まず排出量の大幅な削減が不可避だ。
11月30日から12月12日までドバイで国連の気候変動サミット「COP28」が開催中だ。議長国となるアラブ首長国連邦は、温室効果ガスの排出源である化石燃料の取引会場としてCOP28を利用しようとしている形跡が見える。
「EVはガソリン車より環境に悪いのでは?」「再エネの大量のゴミはどうする?」など、ちょっと厄介な質問に答える方法をご紹介しよう。
再生可能エネルギーによる電力や電気自動車の普及により、送電網はますます複雑化している。こうした送電網を効率よく管理し、停電を未然に防止したり、停電から迅速に復旧するために、AIはもはや欠かせない。
ローレンス・リバモア国立研究所は昨年12月、核融合研究のマイルストーンであるエネルギー純増の達成を発表した。同研究所所長に核融合研究の現状、研究所の位置づけ、今後の見通しについて聞いた。
ジョージタウン大学のモニカ・サンダース非常勤教授率いるアンディバイド・プロジェクトは、マイノリティや低所得者層が住むコミュニティがさらされている「連鎖的リスク」を理解するための調査に取り組んでいる。その1つが、インターネット回線速度と災害リスクとの関連を調べることだ。
米国では今年、2社のスタートアップが規制当局から培養肉販売の許可を得た。記者はそのうち1社が培養肉を提供しているレストランに予約を入れて、その肉で作られた料理を食べに行ってみた。
「グリーンウォッシュ」への懸念が高まる中、自社が排出した二酸化炭素をクレジット購入で相殺できるとする炭素市場に対する需要が急速に低下している。
創業から10年余りでインド最大級の再生可能エネルギー企業の1社となったリニューは、最近ではエネルギー貯蔵やグリーン水素などの事業にも進出。インドが脱炭素化目標の達成に近づくのに貢献している。
MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」の1社であるトウェルブは、排出される二酸化炭素と水を分解し、持続可能なジェット燃料である「Eジェット」などを生産する企業だ。最近、商業規模生産施設の建設を始めた。
再生可能エネルギーによる電力を熱に変換して蓄積する熱電池は、重工業などの大規模工場の脱炭素化を進め、地球温暖化の解決につながる可能性がある。
安定して電力を供給できる地熱発電は、変動が大きい太陽光発電や風力発電のギャップを埋める重要なクリーンエネルギー源となる。MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」の1社であるファーボは、地熱発電に利用できる地域を従来より大幅に拡大できるという。