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「私たち、3Dプリンターで結婚式しました」MITTR編集者からの報告
Mark Pariani
I 3D-printed every bit of my wedding—including my bouquet

「私たち、3Dプリンターで結婚式しました」MITTR編集者からの報告

「3Dプリント好き」を自認するMITテクノロジーレビューの女性編集者が、自分の結婚式で必要なブーケやケーキのトッピングなどの小物のほとんどすべてを3Dプリンターで自作した。これはその編集者による奮闘の記録である。 by Erin Winick2018.12.27

MITテクノロジーレビュー編集部で私は、3Dプリントとサイエンス・ファッション好き、それにオタクっぽいという評判で知られている(3つ目は、オタクの評価が高いMITではなかなかの主張だ)。

なので、結婚式の計画を立てるにあたり、伝統的な方法は私には絶対に向いていなかった。私は機械工学の基礎知識があり、3年前からデスクトップ式の3D プリンターを所有している。そのため、モノづくりへの情熱と人生の大きな節目を結びつけるという魅力的なチャンスを見逃すことはできなかった。つまり、3Dプリントを、結婚式にできる限り融合させようとしたのだ。

デスクトップ式3Dプリンターに馴染みのない方に説明すると、この機械は何巻きものプラスチック・フィラメントを高温で溶かして造形する仕組みとなっている。コンピューター上で設計したモデルに従って展開されるパターンに沿って機械が動き回り、グルーガン(糊の銃)と同じ要領でプラスチックを押し出して成型する。薄い層が1枚ずつ敷かれて、それが何枚も積み重なって形を造っていく。デスクトップ式3Dプリンターがあれば、製造業企業であれ、ホーム・メイカーであれ、複雑な創造物を作ることができるのだ。

結婚式のための何かを、作るか、買うかという選択をするとき、私は常に3Dプリントを選んだ。ヘアバンド、花嫁とブライドメイドたちのためのブーケ、すべてのテーブル番号札、ケーキのトッピングや花飾り、フラワーガールの首飾りなどを3Dプリントした。これらをすべてを、愛用の2台のデスクトップ式3Dプリンター「ミニ」と「フラッシュ」でやり遂げた(そう、私は自分のプリンターたちに名前を付けているのだ)。

他の多くの日曜大工や趣味人のプロジェクトのように、自分が作り出したものに対して強い愛着がわいた。3Dプリントしたアイテムには、店で買った物では得られない、個性的な手触りがあるのだ。

3Dプリンターは、5年か10年前に大々的に宣伝されたほどにはまだ普及しておらず、すべての家庭にあるわけではない。しかし、製造業会社やメイカー・コミュニティは成長を支援し続けている。『ウォーラーズ・レポート(Wohlers Report)2018』によると、産業向け付加製造業界は、2017年に21%成長したという。

成長過程にあるメイカー・コミュニティは、助言や最終的な製品、特に3Dモデルの共有を熱心に推し進めている。グラブキャド(GrabCAD)、シンギバース(Thingiverse)、マイミニファクトリー(MyMiniFactory)、ピンシェイプ(Pinshape)など多くのWebサイトでメイカーたちが創作したモデルが公開されており、誰もがダウンロードして編集、プリントできるようになっている。

私はシンギバースから、ブーケやケーキの飾り用のチューリップのモデル、ケーキのトッピング用のレゴのミニフィギュアを取得した。ヘアバンドには、3Dプリンター会社のメイカーボット(Makerbot)が公開している葉のモデルを使った。最後に、フラワーガールの首飾りと、すべてのテーブル番号札は、工学用モデリング・ソフトウェア「ソリッドワークス(SolidWorks)」を使って、私がゼロからデザインした。

本当にあらゆるものを3Dプリントで作るためには、あちこちのメイカーの方々から支援をいただいた。せめてものお返しに、私が作成したテーブル番号札や編集した葉のモデルをシンギバースにアップロードしている。結婚式を間近に控えている方はぜひお使いいただければ光栄だ(こちらでダウンロード可能)。

一番時間がかかったのは、ブーケの作成だった(大きなとげの付いたブラスチックボールで友人をノックアウトしたくなかったので、ブーケは投げていない。ご安心を)。約200個の花を1つずつ、自分のプリンターで、暗闇で光る青いプラスチック・フィラメントを使ってプリントした。何カ月もの間、合計100時間以上を費やして、仕事の後や週末に、作れる限りの花を3Dプリントした。その後、通常のフラワーアレンジメント用のピンや糊で、それらの花を発泡スチロールのボールに配置した。

もっと新型の、高価な3Dプリンターならすべてのプロジェクトをもっと早く完遂できたかもしれない。私は2、3年前に購入した900〜1300ドルぐらいの機械で作業していた。だが、何かを作るのはスピードと能率がすべてではない、とメイカーのみんなと話したことを私は信じている。自分自身の道具や能力を使ってやり遂げることが大切なのだ。

最終的に出来上がったものは、すべての努力に報いて余りあるものだった。家族のみんなが夜通しほめてくれたし、インスタグラムでは私のブーケが出来上がっていくのを多くのフォロワーが見守ってくれた。婚約中の友人たちは、自分の結婚式でいくつかアイデアを拝借するかもしれないと言っていたぐらいだ。他の招待客たちは、私のヘアバンドが3D印刷されたものだと知って驚き、買ったものだと思ったと言っていた。

結婚式を手作りで賄うもう1つの動機も無視できない。それはお金の節約だ。私たちのような若いカップルにとって、費用をできるだけ低く抑えるのはもっとも優先すべき事項なのだ。私はすでに2台の3Dプリンターを持っていたので、これらのモノを作るための投資はごくわずかだった。すべてのブーケを作るのにかかった費用は合計で約75ドル。平均的には花嫁のブーケだけで約150ドル、追加のブライドメイドのアレンジを1つ追加するたびに75ドルだと考えれば、お得だ。従来の大量生産と張り合うほど3Dプリントはまだ安価ではないかもしれないが、結婚式の費用なら実際にお得だと思えるようになりつつあるのだ。

さらに私と婚約者にとっては、3Dプリントのおかげで、お祝いの席を自分たちの好みに合ったものにすることができた。私たちは2人とも根っからの「メイカー」だ。3Dプリントを取り入れることで、結婚式を好みに合ったデザインにし、ともに人生を切り開くという次の行動を実際に形にできたのだ。

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MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。機械工学のバックグラウンドがあり、宇宙探査を実現するテクノロジー、特に宇宙基盤の製造技術に関心があります。宇宙への新しい入り口となる米国版ニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」も発行しています。以前はMITテクノロジーレビューで「仕事の未来(The Future of Work)」を担当する准編集者でした。それ以前はフリーランスのサイエンス・ライターとして働き、3Dプリント企業であるSci Chicを起業しました。英エコノミスト誌でのインターン経験もあります。
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