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クリーン・エネ転換で採掘負荷は大幅減、石炭の20分の1
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クリーン・エネ転換で採掘負荷は大幅減、石炭の20分の1

低排出エネルギーへの移行は化石燃料に比べ鉱物採掘を大幅に削減できることが分かった。ただし、採掘の環境・社会への影響を最小化することが不可欠だ。 by Casey Crownhart2024.05.07

採掘や鉱物をめぐる政治的な争いが過熱している。世界は今、新たなエネルギー・テクノロジーを構築するための材料を必要としており、その調達方法に関連して環境的・社会学的な懸念も高まっている。

だが、環境研究機関「ブレークスルー研究所(Breakthrough Institute)」が4月25日に公表した新たな報告書によると、風力、太陽光、原子力などの低排出エネルギー源は、石炭や天然ガスよりも採掘フットプリントが小さいことが分かった。

気候変動に対処するためのテクノロジーがもたらす未来は、化石燃料を動力源とする世界よりも採掘が少なくなる可能性が高いことを示すエビデンスが増えており、この新たな報告書で示された研究結果もその1つとなる。しかし、専門家たちは低排出エネルギー源への移行に必要な採掘がもたらす害を、最小限に抑えるために監視が必要になると指摘する。

「いろいろな意味で、私たちはクリーン・エネルギー・テクノロジーの採掘に関する話ばかりしており、現在のシステムによる汚染については忘れてしまっています」。この報告書を執筆したブレークスルー研究所の気候・エネルギー部門共同部長、シーバー・ワンは言う。

ワン部長らの研究チームは今回の新たな分析において、クリーン・エネルギー源に必要な材料の量や、その材料を採取するために移動させる必要がある岩石の総量など、さまざまなエネルギー・テクノロジーの採掘フットプリントの総量を検討した。

多くの鉱物は、原料となる鉱石の中にわずかな割合しか存在しないため、それらの鉱物を抽出するプロセスのフットプリントは、最終製品の量と比べて大きくなる。例えば、採掘オペレーションにおいてアルミニウム1キログラムを得るためには、約7キログラムの岩石を移動させる必要がある。銅の場合、その比率はもっと高く、1対500以上だ。それらの比率を考慮することで、さまざまなエネルギー源に必要な採掘の総量をより直接的に比較することが可能になる。

このような調整をした結果、採掘による負担が最も大きいエネルギー源は石炭であることが明らかになった。石炭で1ギガワット時の電力を生成するには、風力や太陽光などの低炭素エネルギー源で同じ電力を生成するのと比べ、20倍の採掘フットプリントが必要になる。天然ガスで同じ電力を生み出すには、約2倍の岩石の移動が必要だ。

移動させる岩石の量を集計することで、不完全ながら、さまざまなテクノロジーに関連する採掘が潜在的に持つ環境的・社会的影響の近似値が求められるとワン部長は話す。そして、この報告書の結果から、研究者たちはいくつかの大まかな結論を導き出すことができる。その1つが、採掘量は将来的に減少する方向に向かっているということだ。

これまで他の研究者たちも、低排出エネルギー源への移行に伴い、採掘が減少すると予測してきた。「私たちは現在、非常に多くの化石燃料を採掘しているため、クリーン・エネルギー・テクノロジーが信じられないほど急速に拡大すると仮定した場合でも、採掘活動の総量は減少します」。最近採掘需要に関する別の研究報告書を執筆したコンサルティング企業モニター・デロイト(Monitor Deloitte)のコンサルタント、ジョーイ・ナイネンスはメールでこう述べた。

とはいえ、将来的に移動させる岩石の量が減る可能性があるからといって、「エネルギー転換全体を通じて採掘の影響を減らすためのさらなる機会を、社会が探さなくてもよいということにはなりません」とワン部長は言う。

風力発電や太陽光発電などのテクノロジーに必要な材料の削減は、すでに進んでいる。太陽光モジュールは発電効率が向上しているため、同じ量の材料でより多くの発電量を得ることができる。リサイクルは、将来の材料需要をさらに削減するための一助となり得る。特に、バッテリー製造に必要な採掘を削減するのに、(リサイクルは)極めて重要な役割を果たすだろう。

資源の採取は全体的には減少するかもしれないが、場所によっては、需要の変化に伴って増加する可能性も高いと、2021年のある研究で研究者たちが指摘している。将来増加する採掘の32~40%は、資源ガバナンスが劣る、または貧弱、あるいは機能していない国々で実施される可能性がある。そのような国では、採掘が環境に害を与える可能性がより高く、採掘プロジェクトの近隣住民にとって利益にならないかもしれない。

「エネルギー転換に伴う採掘は、必ず、現地のコミュニティに利益をもたらす、責任あるものにする必要があります」。2021年の研究論文の執筆者である日本の国立環境研究所の渡 卓磨研究員はメールでこうコメントした。そうでなければ、低排出エネルギー源へのシフトは、「グローバル・サウスに多い採掘地域の社会環境リスク増大を代償とした」グローバル・ノースの二酸化炭素排出量削減につながる可能性がある。

私たちが確実に責任ある方法で鉱物を調達できるようにするためには、強力な監督と責任が不可欠であるとワン部長は話す。「私たちは急速なエネルギー転換を望んでいますが、それが衡平なものであることも望んでいます」。

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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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