中年女性の不調はすべてホルモンのせい? 閉経周辺期の科学
中年期以降に起こる女性の体調不良は閉経周辺期のせいであり、ホルモン治療を受けるべきであるとする説がネット上で広まっている。だが、「不快なことをすべて閉経周辺期のせいにするのは、いかなる科学的根拠にも基づいていません」と専門家は言う。 by Jessica Hamzelou2026.07.21
- この記事の3つのポイント
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- 閉経周辺期への注目が高まる一方、SNSを中心に誤情報が急速に拡散している
- HRTはホルモン変動が激しい閉経周辺期には効果が限定的で、サプリの科学的根拠も乏しい
- 中年女性の不調を一律にホルモンのせいとする風潮には科学的根拠がなく、個別診察が不可欠
閉経周辺期(ペリメノポーズ)が話題に上るようになった。閉経周辺期や、より広く知られている閉経(メノポーズ)は、かつてタブー視されていた。しかし今はそうではない。テレビに出演する医師やソーシャルメディアのインフルエンサーのおかげで、少なくとも状況は変わりつつある。私の年齢のせいかもしれないが、最近はアルゴリズムが表示するコンテンツも友人との会話も、閉経周辺期の話題に傾くことが増えている。
閉経とは、最後の月経から1年間、月経がなかった状態を指す。閉経周辺期は、その時点に至るまでの数年間に及ぶこともある期間であり、閉経に一般的に関連するとされる症状のすべてが現れることもある。
今日、閉経周辺期に関する情報はかつてないほど普及し、入手しやすくなっている。40代の女性が体調を崩していると、ネット上では閉経周辺期だと告げる人が必ず現れる。そして、血液検査やアプリ、サプリメントにお金をかけるべきだとか、ホルモン補充療法を求めるべきだとか言われる。しかし、本誌の読者ならこの時点で察しがつくかもしれないが、話はそれほど単純ではない。
閉経周辺期は46歳から47歳ごろ始まることが多い。この時期に、ほてり、不規則または異常に多い月経、不安感といった症状を経験し始める女性が多い。そして、それは非常につらいものになりうる。「症状は閉経周辺期の時期に最も悪化することが多いです」と、国際閉経学会の元会長であるメアリー・アン・ラムズデンは言う。
その理由は、ホルモンが激しく変動するからだ。エストロゲン、プロゲステロン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンの値は、閉経後に安定するまでジェットコースターのように上下する。だからこそ、一部のマーケターが主張するにもかかわらず、閉経周辺期を診断する検査は存在しない。
「ホルモン値は変動が激しすぎて解釈できません」とラムズデンは言う。「それはごく正常なことです」。
だからといって、女性が症状を我慢しなければならないというわけではない。しかし、その症状をどのように治療するかという問題もまた、誤った情報によって混乱させられているテーマだ。
先週、私は友人に異常にひどい骨盤痛を経験したことを話した。友人がすぐに勧めたのは、閉経周辺期かどうかを調べ、もしそうであればできるだけ早くホルモン補充療法(HRT)を求めることだった。もし主治医が処方してくれないなら、処方してくれる別の医師を探せばいいと彼女は続けた。
こうした考え方はソーシャルメディア上で盛んに広められていると、英国閉経学会の元会長で現在リバプール女性病院の閉経外来を率いるポーラ・ブリッグスは言う。しかし、それは適切ではない。
HRTは本質的に、閉経前後に自然に減少するエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンを補充または代替するために設計されている。さまざまな薬剤があり、さまざまな投与方法や用量で使用できる。
HRTにはいくつかのリスクがあり、すべての人に適しているわけではないが、多くの閉経後の女性にとって非常に有益だ。閉経の一般的な症状の多くを緩和するだけでなく、骨粗しょう症の予防や筋力の維持にも役立つ。
しかし、これらの薬剤は閉経後の女性を対象に試験が実施され、承認されたものだとラムズデンは言う。閉経周辺期の女性には同じ効果は得られない。「標準的なHRTを投与しても、その女性自身のホルモン産生に飲み込まれてしまう可能性が高いです」と彼女は言う。
HRTは閉経周辺期の女性に異常出血を引き起こすこともあるとブリッグスは言う。
ブリッグスは、ソーシャルメディアで広められている閉経周辺期に関するメッセージを懸念している。特に問題だと彼女が指摘するのは、若い女性たちが自分は閉経周辺期だと思い込み、HRT治療を求めるよう促されている点だ。
「全員がHRTを受けなければならないという考えは、ほとんどカルト的です」とブリッグスは言う。
さらにサプリメントの問題もある。中年女性や閉経後の女性を特定のターゲットとしたビタミン剤やサプリメントのマーケティングが急増している。しかし、これらの根拠もまた、限定的であるか、まったく存在しない。「多くのものについて、作用機序が見当たりません」とラムズデンは言う。
これらのサプリメントを摂取している女性は、自分が何を摂取しているのかを必ずしも把握していない。ラムズデンの患者の中には、症状を管理するためにテストステロンのサプリメントを摂取していると話す人もいた。しかし血液検査では、テストステロン値の上昇は確認されなかった。「彼女たちが摂取しているものが何であれ、テストステロンではありません」とラムズデンは言う。
いずれにせよ、中年期に女性が経験するすべての症状をホルモンのせいにすることはできない。ソーシャルメディアで共有されている閉経周辺期の症状の長いリストには、疲労、ブレインフォグ(思考の霧)、体の痛み、消化器系の問題などが含まれている。「これらは、閉経を通じた明らかな月経周期の変化やホルモンの変化と密接には結びついていません」と、閉経を研究するコロラド大学アンシュッツ校の産婦人科学教授ナネット・サントロは言う。
何らかの症状がある場合は、別の原因によるものでないかを確認するために、必ず診察を受ける価値がある。私自身の骨盤痛も、例えば子宮内膜症によるものである可能性がほぼ確実であり、HRTによって症状が悪化しうる疾患だとラムズデンは教えてくれた。
いずれにせよ、40代になるころには、多くの女性がすでに子育てと親の介護を両立させながら、仕事をこなしている(そして、年配の女性を評価しないように見える社会からのプレッシャーにも対処している)。非常に消耗する時期であり、その疲弊のすべてをホルモンのせいにすることはできない。
サントロの言葉を借りれば、「35歳以上の女性に起こる不快なことをすべて閉経周辺期のせいにするのは、いかなる科学的根拠にも基づいていません」。
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- ジェシカ・ヘンゼロー [Jessica Hamzelou]米国版 生物医学担当上級記者
- 生物医学と生物工学を担当する上級記者。MITテクノロジーレビュー入社以前は、ニューサイエンティスト(New Scientist)誌で健康・医療科学担当記者を務めた。
