KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
Apple Wants to Use Drones to Give Its Maps App a Lift

人気が低いアップルの地図アプリは、ドローンで改善できるか?

アップルは自社の地図アプリを改善し、自律自動車用の詳細な環境情報の作成のために、ドローンが活用できると考えている。 by Jamie Condliffe2016.12.02

アップルは地図作成にドローンを活用しているそうだ。

ブルームバーグによると、アップルは2015年ころ、米国連邦航空局(FAA) からドローンの特別な飛行許可を得たという。情報筋はブルームバーグに対して、アップルがドローンを活用して「道路標識を分析し、道路の変化を記録し、地区が工事中かどうかを監視する」計画を立てていると話した。この情報筋の考えでは、ドローンが集めたデータはアップルの地図アプリの記録を更新するのに使われるという。

2012年に公開されたアップルの「マップ」アプリは各方面から馬鹿にされた。このアプリには事実と異なる情報や、画像の誤りが多くあり、信頼できない以上に危険でもあった。アップルは数年間マップアプリを改善し続けているが、グーグル・マップのユーザーを取り込める段階には達していない。

Apple will use standard consumer drones like the Aibot X6 drone, pictured here, to do its mapping.
アップルは「Aibot X6ドローン」(写真中の赤い物体) など、標準的な消費者向けドローンを利用して地図を作成しようとしている

ドローンから提供される、生々しいデータは地図を改善できるはずだ。ブルームバーグの別の情報筋が示すように、アップルが建物内部の地図を充実させたり、自社の経路誘導(turn-by-turn navigation)機能を改善させたりするかもしれない。

理論上、ドローンを使えば飛行エリア周辺の建物の高解像度3Dスキャンも作成できる。3Dスキャンは自律型移動手段を開発しているエンジニアには魅力的だ。自動運転車や開発が進む自律型ドローンは、あらかじめ用意された地図を頼りに自機の位置を判断する。アップルが自律自動車の開発に関心を示していることは公知の事実で、最新の取材によれば、アップルは特にソフトウェア開発に興味があるという。ソフトウェア開発には、このマップ機能も含まれるだろう。

しかし、アップルが本当にマップの改善や自律自動車用データの取得用にドローンを活用するなら、計画の進捗は期待できない。ブルームバーグも伝えているように、アップルは現在、FAAが8月に明らかにした新しい商用ドローンの規則に従っている。この規則では、ドローンは操縦者の視界内でしか飛ばせないので、データ収集に時間がかかり、3D地図の製作は長期間の取り組みになるだろう。都市全体を細部まで網羅するには何年もかかるはずだ。

(関連記事:Bloomberg, “Apple’s Car Plans Are on the Ropes,” “High-Resolution 3-D Scans Built from Drone Photos,” “Now You Can Finally Use Your Drone to Make Money”)

人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
タグ
クレジット Image courtesy of Aibotix GmbH
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る