KADOKAWA Technology Review
×
【10月31日まで】日本初開催 「Innovators Under 35」候補者募集中
経済再開に1日2000万件の検査体制が必要、ハーバード大が提言
AP
The US will need to do 20 million tests a day to reopen safely

経済再開に1日2000万件の検査体制が必要、ハーバード大が提言

専門家グループが、この夏、米国経済を安全に再開するための計画を作成した。だが、毎日2000万件の検査を実施し、接触者の追跡調査を拡大し、隔離が必要な人々への適切な支援が少なくとも必要だとしている。 by Charlotte Jee2020.04.24

専門家グループが、この夏、米国経済を安全に再開するための計画を作成した。だが、毎日2000万件の検査を実施し、接触者の追跡調査を拡大し、隔離が必要な人々への適切な支援が少なくとも必要だとしている。

ハーバード大学エドモンド・J・サフラ倫理センター(Harvard University’s Edmond J. Safra Center for Ethics)が学際的な専門家45人を集めて作成した報告書によると、米国経済を再開するには、6月上旬までに1日あたり500万人の検査体制を構築する必要があるという。また、経済活動の停止を完全に解除するには、真夏までに1日あたり2000万件に増やす必要があるとしている。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が始まった当初から世界保健機関(WHO)は、ウイルスに打ち勝つ唯一の方法は「検査、検査、検査」だと主張している。そのメッセージが、ようやく受け止められつつあるようだ。

経済再開に必要な検査の基準は、新型コロナウイルスに感染した人に接触した人々をどこまで効果的に追跡できるかによる。報告書によると、新型コロナウイルスに曝露した人々に警告し、検査を受けさせ、陽性者を全員隔離することだという。その際、隔離された人の雇用を確保し、食事を届けたり生活に配慮するなどの支援をする。少なくともあと10万人を雇用して、接触者の追跡をしなければならないとしている。

また、検査を大幅に拡大するための新しい解決策の早急な作成を、民間部門に奨励する必要があるという。連邦政府によるパンデミック検査委員会(Pandemic Testing Board)がこの責務を担い、十分な検査キットの確保と、全米へ配布するためのインフラ整備を指揮する。プログラムには2年間で500億~3000億ドルもの巨額の費用が見込まれるが、報告書の著者らは自宅待機を続けることで毎月発生する1000億~3500億ドルの経済損失に比べれば小さいと指摘している。

ロックダウン(都市封鎖)ではウイルスを「撃退」することはできない。ロックダウンの実際の効果は、治療法が見つかるまで感染を一時的に抑えるだけか、あるいは接触者の追跡が可能になるまで発症数を減少させるかだ。この計画は後者の「接触者の追跡」を実現するもので、ワクチンができるまで何度も経済活動を再開したり、停止したりする事態を回避できる。

計画にどれだけの価値があっても、経済界と政界からの支持がなければ成功しない。実現には有力な政治家や大企業(巨大テック企業や大手小売業など)が後押しが必要だ。そして何よりも、十分な資金が早急に確保できなければ実現しない。恐ろしい数の犠牲者が出ている現状が計画への関心を集めそうだ。4月20日朝の時点で、米国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者は75万9786人、死者数は4万683人だ。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. There might be even more underground reservoirs of liquid water on Mars 火星の南極に新たな地下湖、生命体が見つかる可能性も
  2. The deadline for IU35 Japan entries is approaching Innovators Under 35 Japan、候補者の応募・推薦締切迫る
  3. Satellite mega-constellations risk ruining astronomy forever 増え続ける人工衛星群で天体観測が台無し、解決策はあるか?
  4. Room-temperature superconductivity has been achieved for the first time 世界初、15°C「室温超伝導」達成 夢の新技術へ突破口
  5. OSIRIS-REx collected too much asteroid material and now some is floating away NASA探査機、小惑星のサンプル採取に成功も多過ぎて蓋が閉まらず
シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. There might be even more underground reservoirs of liquid water on Mars 火星の南極に新たな地下湖、生命体が見つかる可能性も
  2. The deadline for IU35 Japan entries is approaching Innovators Under 35 Japan、候補者の応募・推薦締切迫る
  3. Satellite mega-constellations risk ruining astronomy forever 増え続ける人工衛星群で天体観測が台無し、解決策はあるか?
  4. Room-temperature superconductivity has been achieved for the first time 世界初、15°C「室温超伝導」達成 夢の新技術へ突破口
  5. OSIRIS-REx collected too much asteroid material and now some is floating away NASA探査機、小惑星のサンプル採取に成功も多過ぎて蓋が閉まらず
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.1/Autumn 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.1/Autumn 2020AI Issue

技術動向から社会実装の先進事例、倫理・ガバナンスまで、
AI戦略の2020年代のあたらしい指針。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る