KADOKAWA Technology Review
×
来れ、若きイノベーター! Innovators Under 35 Japan 2022 応募受付開始。
プーチン大統領、「娘も接種済み」新型コロナワクチンを初認可
Wikimedia commons
Russian says it has a pandemic vaccine and it’s called “Sputnik-V”

プーチン大統領、「娘も接種済み」新型コロナワクチンを初認可

ロシア政府は、新型コロナウイルス感染症のワクチンを認可したことを明らかにした。十分な供給量が整った時点で、医師、看護師、教師に接種する予定だ。 by Antonio Regalado2020.08.12

ロシア政府は、今秋の医療従事者に対する緊急接種を目的に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを認可した。

ロシアのプーチン大統領は8月11日に開催された会議で、新たに登録されたワクチンは「必要なすべての検査に合格」し、自分の娘の1人が接種を受けたことを明らかにした。

プーチン大統領は「娘が臨床試験に参加した」と語ったとAP通信は伝えている。

認可されたワクチンは、モスクワの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所で開発された。少数の被験者を対象とした臨床試験は実施されたが、ワクチンの安全性と新型コロナウイルスの感染を予防する有効性を証明するために必要となる大人数の被験者を対象とした治験はまだ完了していない。

複数の報道によると、10月にワクチンの十分な供給量が整った時点で、最初に、医師、看護師、教師にワクチンが投与される。2021年1月には一般市民への接種が可能になるかもしれない。

ロシアが開発したワクチンは、アデノウイルスを使って体内に新型コロナウイルスの構成要素を送り込む。ニューヨーク・タイムズ紙によると、オックスフォード大学とアストラゼネカが共同開発を進めているワクチンと同様のアプローチだ。

各国が友好国や同盟国に物資を提供することを考えると、新型コロナウイルスのワクチンは地政学的な権力の道具として使われる可能性がある。CNNの報道によると、ロシアのワクチンは「スプートニクV(Sputnik-V)」と名付けられており、ソビエトが1957年に打ち上げて世界を驚愕させた世界初の人工衛星を想起させる。

「スプートニクが発信する信号を観測して米国人は驚愕しました。このワクチンも同じです。ロシアが一番乗りするでしょう」。ロシア直接投資基金(RDIF:Russian Direct Investment Fund)のキリル・ドミトリエフ総裁は6月に述べた

ロシアで報告されている新型コロナウイルスの感染者は約90万人で、世界で4番目に多い。

米国連邦政府の新型コロナワクチン開発プログラム「ワープ・スピード作戦」では複数のワクチンの臨床試験が進められているが、今回のロシアのワクチン認可で、開発中のワクチンの1つに対してトランプ政権が緊急承認に動く可能性がある。一部の科学者は、ワクチンが米国大統領選挙へ向けた政治運動の手駒として使われる可能性を懸念しており、未試験のワクチンを配布しないよう警告している。

中国も6月に、カンシノ・バイオロジクス(CanSino Biologics、康希諾生物)が開発したワクチンを軍用に認可した。中国は国営企業の職員に実験的なワクチンを提供している。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. How China’s biggest online influencers fell from their thrones 桁外れの中国トップ・インフルエンサー、一夜にして転落
  2. How censoring China’s open-source coders might backfire 中国版ギットハブ、コードを検閲・遮断か? OSS開発者に衝撃
  3. Scientists hacked a locust’s brain to sniff out human cancer バッタの脳を改造、人間のがんの「嗅ぎ分け」に成功
  4. What impact will DeepMind’s scientific AI have on our society? アルファフォールド2が社会に与える「アルファ碁」以上のインパクト
  5. These materials were meant to revolutionize the solar industry. Why hasn’t it happened? 参入相次ぐ「ペロブスカイト太陽光電池」、実用化はいつ?
アントニオ・レガラード [Antonio Regalado]米国版 生物医学担当上級編集者
MITテクノロジーレビューの生物医学担当上級編集者。テクノロジーが医学と生物学の研究をどう変化させるのか、追いかけている。2011年7月にMIT テクノロジーレビューに参画する以前は、ブラジル・サンパウロを拠点に、科学やテクノロジー、ラテンアメリカ政治について、サイエンス(Science)誌などで執筆。2000年から2009年にかけては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で科学記者を務め、後半は海外特派員を務めた。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. How China’s biggest online influencers fell from their thrones 桁外れの中国トップ・インフルエンサー、一夜にして転落
  2. How censoring China’s open-source coders might backfire 中国版ギットハブ、コードを検閲・遮断か? OSS開発者に衝撃
  3. Scientists hacked a locust’s brain to sniff out human cancer バッタの脳を改造、人間のがんの「嗅ぎ分け」に成功
  4. What impact will DeepMind’s scientific AI have on our society? アルファフォールド2が社会に与える「アルファ碁」以上のインパクト
  5. These materials were meant to revolutionize the solar industry. Why hasn’t it happened? 参入相次ぐ「ペロブスカイト太陽光電池」、実用化はいつ?
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.7
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.7世界を変える10大技術 2022年版

パンデミック収束の切り札として期待される「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)飲み薬」、アルファ碁の開発企業が作った「タンパク質構造予測AI」、究極のエネルギー技術として期待が高まる「実用的な核融合炉」など、2022年に最も注目すべきテクノロジー・トレンドを一挙解説。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る