KADOKAWA Technology Review
×
気候テック15:電池の革新でEV世界トップ級に躍り出たBYD
BYD
気候変動/エネルギー Insider Online限定
2023 Climate Tech Companies to Watch: BYD and its affordable EVs

気候テック15:電池の革新でEV世界トップ級に躍り出たBYD

MITテクノロジーレビューが選ぶ「気候テック企業15」の1社であるBYD(比亜迪)は、低価格で安全なリン酸鉄リチウム電池技術で優位性を発揮。手頃な価格で多様な電気自動車を市場に提供している。 by Zeyi Yang2023.10.19

BYDは、携帯電話の電池や低価格のガソリン車を製造していた時代から大きな進展を遂げた。今や、世界トップの電気自動車(EV)メーカーとして、手頃な価格の電気自動車を生産し、中国の車購入者の巨大かつ多様な市場に実用的な選択肢を提供している。電気バスの製造も手掛け、車両は70以上の国で採用されている。世界のプラグイン・ハイブリッド市場でも他社を圧倒している。

BYDの成功の要因は、リン酸鉄リチウム(LFP)電池技術での優位性にある。従来、LFP電池はニッケル・マンガン・コバルト(NMC)電池よりも蓄電できる量が少なかった。NMC電池は、数年前に生産されたEVの95%に使用されている。BYDのLFP電池、特にオリジナル製品の「ブレードバッテリー(刀片電池)」は、部品数を減らしながらも同一空間のセル数を増やした新たな構造で蓄電量が少ないという問題を解決した。しかも、LFP電池はNMC電池と比べて安全性が高く、価格が安い。

BYDは時間をかけて、EVのサプライチェーンを作り変えた。重要な鉱物の採掘から車に使用する半導体の設計に至るまで、すべてを自社で手掛け、競合社に製品販売もしている。深センに本社を置く同社から、今ではテスラ(Tesla)もバッテリーを購入しているのだ。

基本データ

潜在的なインパクト

世界全体で化石燃料から脱却するに …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A long-abandoned US nuclear technology is making a comeback in China 中国でトリウム原子炉が稼働、見直される過去のアイデア
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
  3. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る