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法規制が後手に回る5つの最新バイオテクノロジー
生命の再定義 5 Biotech Products U.S. Regulators Aren’t Ready For

法規制が後手に回る5つの最新バイオテクノロジー

米国科学アカデミーが、実用化直前だが、規制当局が決まっていない5つの最新バイオテクノロジーを発表した。実用化に大きなメリットがあるテクノロジーがある一方で、取り返しのつかない悪影響をもたらしかねないテクノロジーもある。 by Emily Mullin2017.03.20

培養肉、角なし牛、デザイナー・バクテリア。クリスパー(CRISPR)や合成生物学といった新ツールにより、未来を感じさせる製品が何十も開発中だ。企業はこうした製品をどんどん商品化しようとしているが、未解決の大問題がある。誰が規制するのだろうか?

米国科学アカデミーが発表した新しい報告書によると、米国の規制当局は、今後5年から10年で市販される新しい植物や動物、微生物への対応を迫られている。押し寄せる新製品に、米国農務省や米国食品医薬局(FDA)といった規制当局が圧倒されてしまうかもしれない、としている。

ノースカロライナ州立大学のジェニファー・クズマ教授(遺伝子工学社会センターの副所長、米国科学アカデミー委員)は「これらの製品すべては何らかのメリットがある可能性がありますが、私にとって問題なのは、代替手段と比較してどうなのかです」という。

科学的に研究が進んでいるが、米国の規制当局が対応できていない製品は以下の通りだ。

医薬品として機能する生きたバクテリア:人体内外で活動する膨大な微生物の生態系に変化が起きると病気の原因になり得るが、科学者は複雑な関係の全貌をまだ理解していない。それでも、がんから代謝障害まで、あらゆる種類の疾患を治療する遺伝子組み換えバクテリアを開発しようとする企業の研究にブレーキが掛かることはない。錠剤にして飲み込むと、生きた微生物は最終的には廃水に流れ込み、飲料水に混入する可能性がある。米国環境保護庁(EPA)が関与する必要があるかもしれない。

遺伝子編集動物/作物:今年初め、FDAは新規制を提案し、ウシ、ブタ、イヌなどの動物で遺伝子を編集する前に、認可を受けることを研究者に求めた。すでにFDAは、異なる生物種のDNAを加えた遺伝子組み換えサケのような遺伝子組み換え動物を規制している。今回提案された指針では、動物自身のゲノムを改変するたびに毎回審査対象になる。

一方、従来の遺伝子組み換え作物(GMO)は米国農務省がすでに監督している。GMOを作るには、一般的に、他の生物種由来の遺伝子の挿入が必要だ。だが今のところは異種のDNAを含まないため、遺伝子編集した食品は規制対象になっていない。たとえば、免疫療法を開発するセレクティスは、遺伝子編集食品で作った初のディナーを開催したが、同社は植物の栄養価を高め、鮮度を長期間にわたり保持し、耐病性を持つように既存の遺伝子を操作している。一方、デュポン・パイオニアはクリスパー(CRISPR)でトウモロコシの耐乾燥性を高めようとしている。

培養肉:先週、スタートアップ企業のメンフィス・ミーツは、動物細胞を培養して成長させた鶏肉の2021年に販売開始する計画を発表した。メンフィス・ミーツほか数社のスタートアップ企業は、従来型の牧畜業が不要になる動物風味のタンパク質を開発しようとしている。培養肉は環境的にも倫理的にも、優れた食品生産の方法といえる一方、製品をどう規制するかは未定だ。米国農務省は本物の肉、乳製品、卵を監督する一方、FDAはヒト細胞から作った食品添加物や製品を監督している。培養肉は規制のグレーゾーンにあり、この種の製品を承認した前例はない。

香りのよいコケ:米国科学アカデミーの報告書によれば、高い栄養価や環境に優しい製品以外にも、おそらく美しさや目新しさで消費者を引きつける植物も一般化しそうだ。たとえば香りのよいコケ、いつまでも咲いている花、光る植物などだ。こうした遺伝子組み換え植物には病原性リスクがなく、現在米国では規制当局の承認は必要ない。だがこれらの植物が人家の外に出た場合、野生生物に有害な影響を与える可能性がある。

遺伝子ドライブ:島に侵入したネズミを根絶しマラリアを媒介する蚊を一掃するために、操作した遺伝子を生物集団全体に拡散させる強力な手法が検討されている。生物が自らを絶滅へと追いやる自滅遺伝子を受け継ぐアイデアがもとになっている。危機に瀕した野生動物を救ったり、病気を防いだりするための強力なツールになる可能性がある。だが遺伝子ドライブが野生の自然界で試されたことはまだ一度もない。地域生態系に予期せぬ結果を与える可能性があるので、米国科学アカデミーの報告書は、専門家と社会全体の代表者で構成される外部評価委員会が、遺伝子ドライブの使用前に承認することを提案している。他にワクチンや効果的な治療法のような選択肢がない状況では、このテクノロジーにゴーサインが出るかもしれないと、クズマ教授はいう。

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エミリー マリン [Emily Mullin]米国版
MIT Technology Reviewの医学生物学副担当編集者(ワシントンD.C.駐在)です。取材したいのは、医学生物学と医療分野のイノベーションが、私たちの健康や日常生活をどう変化させるかです(いくらかかるのかも)。他に興味があるのは、こうした進歩のうち、世界の健康面の平等にどれがどのくらい影響を与えるかです。以前はフォーブス誌で契約ライターをしていた他、FierceBiotechで編集者のアシスタントをしていました。何かあればメールで連絡してください。
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