KADOKAWA Technology Review
×
見た目はキモいが手先は器用な触手型ロボット
This Robotic Tentacle Can Easily Grasp Smooth Objects

見た目はキモいが手先は器用な触手型ロボット

家庭でも企業でも、ロボットの普及には「上手にモノをつかむ」機能の実現が欠かせない。ドイツのロボット企業フェストは、柔らかいモノを優しく、重いモノはしっかり、持つと形が変わるモノは丁寧に扱えるタコ足アームを開発した。 by Jamie Condliffe2017.03.31

不気味な映像を見せてしまって申し訳ない。滑らかなモノを優しくつかんだり、つかんだモノを人間に手渡したりできるロボット触手だ。

「オクトパス・グリッパー(タコ状のつかみ具)」を開発したのはドイツのロボット企業フェスト(Festo)で、自然をモデルにした自律機械の製造を得意とする企業だ。柔らかな触手は、おおまかにいえば、ふたつの要素がある。まず、触手はシリコン製で、空気圧で駆動する。空気が注入されると内側に曲がり、モノに巻き付く。触手には2列の吸盤がついている。風変りな形状だが、モノの形に応じて変形し、バキューム効果でモノに吸い付き、モノを確実につかむ。

映像のように、設計通りに動作しており、ボールや金属製の円筒、びん、丸めた雑誌まで、滑らかで曲がったモノをつかめるのが特徴だ。形状が定まらず、滑りやすいモノをつかむのは、大半のロボットにとって信じられないほど難しいタスクであり、触手ロボットの実現は注目に値する。ロボットの「モノをつかむ」機能が進歩すれば、ロボットは工場や家庭でもっと活躍できるだろう。

ただし、体をくねらせるロボットは、すでにロボット業界にズルズルと入り込んでいる。英国のOCロボティクスは、廃炉中原発の機材裁断用にレーザー装備のヘビ型ロボット・アームを開発した。大手石油企業スタトイルは、海底探査用のヘビ型ロボットを開発した。東京工業大学の研究者が開発した全長20mの膨張型アームはヘリウム風船製で、見た目は怖くない。

オクトパス・グリッパーは、こうしたロボットの中でも、器用な部類だろう。モノのつかみ方こそ気味が悪いが、機械の性能は申し分ない。フエストによれば「ロボット・アームは弾性があり、変形するため、ユーザーがグリッパーに直接触れても全く危険はありません」というから安心。人間の仕事までつかみ取る可能性もあるだろうが、それはまた別の問題だ。

(関連記事:Festo, “見た目が危険すぎる!レーザー切断機付きロボットスネーク,” “「モノを持ち上げられるロボット」の実現はなぜ大騒ぎになるのか?,” “Chasing Nature”)

人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
タグ
クレジット Images courtesy of Festo
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る