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太陽嵐の発生を予測するAIモデル、NASAとIBMが共同開発
NASA/GSFC/SDO
NASA’s new AI model can predict when a solar storm may strike

太陽嵐の発生を予測するAIモデル、NASAとIBMが共同開発

NASAとIBMは、機械学習によって太陽データの隠れたパターンを発見し、太陽嵐の発生を予測するAIモデルを開発した。大規模な太陽嵐は私たちの生活に大きな影響を及ぼす可能性があるため、発生の時期や規模を正確に予測することは極めて重要だ。 by Peter Hall2025.08.27

この記事の3つのポイント
  1. NASAとIBMが太陽フレア予測AIモデル「Surya(スーリャ)」を開発
  2. 10年分の太陽観測データで訓練し2時間前の予測を実現した
  3. 太陽物理学の理解向上と宇宙天気災害対策に貢献する
summarized by Claude 3

米航空宇宙局(NASA)とIBMは、科学者が太陽の物理現象と気象パターンをより良く理解し予測するのに役立つ新しいオープンソース機械学習モデルを発表した。10年以上にわたるNASAの太陽観測データで訓練された「Surya(スーリャ)」は、危険な太陽フレアが地球に到達する可能性が高い時に科学者に早期警告を提供するのに役立つはずだ。

太陽嵐は、太陽がエネルギーと粒子を宇宙空間に放出する際に発生する。太陽フレアや、より速度の遅いコロナ質量放出を引き起こすことで、無線信号を妨害し、人工衛星搭載のコンピューターのビットを反転させ、放射線の急激な増加によって宇宙飛行士を危険にさらす可能性がある。

このような影響を防ぐ方法はないが、大規模な太陽フレアがいつ発生するかを予測できれば、それに対処することはできるだろう。しかし、チューリッヒ工科大学の天体物理学者であるルイーズ・ハラ教授は、「いつ噴出するかが常に問題の核心です」と述べる。

科学者は太陽の画像から近い将来に太陽フレアが発生するかどうかを容易に判断できると、ハラ教授は述べる(同教授はSuryaの研究には携わっていない)。しかし、フレアの正確なタイミングと強度を知ることは、はるかに困難であると同教授は言う。これは問題である。なぜなら、フレアの規模によって、数週間ごとに発生する小規模な地域的電波障害(それでも破壊的である可能性がある)になるか、衛星を軌道から落下させ送電網を機能停止させ得る壊滅的な太陽スーパーストームになるかといった違いがあるからだ。一部の太陽科学者は、この規模の太陽スーパーストームがそろそろ発生する頃だと考えている

機械学習は以前から太陽気象現象の研究に使用されてきた。Suryaを開発した研究チームは、膨大な規模の良質なデータにより、より幅広い範囲の現象をより正確に予測できるようになると期待している。

このモデルの訓練データには、米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(Solar Dynamics Observatory)」から得られたものを使っている。同衛星は太陽の画像を多数の異なる光の波長で同時に収集しており、これにより総計250テラバイトを超えるデータセットが作成された。

Suryaの初期テストでは、太陽フレアの発生を2時間前に予測できることが示された。「太陽フレアの形状、太陽における位置、強度を予測できます」と、今回のプロジェクトを率いたIBMの人工知能(AI)研究者であるフアン・ベルナベ・モレノ博士は述べている。2時間では強力なフレアが及ぼし得るすべての影響から保護するには十分ではないかもしれないが、一刻一刻が重要である。IBMはブログ投稿で、Suryaにより最先端手法で現在可能な警告時間を最大2倍にできると主張しているが、正確に報告されたリードタイムはさまざまである。この予測能力は、例えばファインチューニングや他のデータの追加によっても改善される可能性がある。

ハラ教授によると、太陽フレアのような現象の根底にある隠れたパターンは、地球からでは理解するのが困難である。天体物理学者たちはこれらの現象を引き起こす条件は知っているが、それらがその時に発生する理由はまだ分かっていないという。「私たちは微細な不安定性が起こることを知っているだけで、いつ起こるかは分かりません」。Suryaにより、既存のどの手法よりも速くそれらの不安定性の根底にあるパターンを見つけられ、それによって私たちに時間の余裕ができることが期待される。

IBMのベルナベ・モレノ博士は太陽フレアの予測を超えた可能性に興奮している。太陽嵐と地球の天候がどのように関連しているかをより良く理解するために、IBMとNASAが地球上の天候を予測するために取り組んだ以前のモデルとSuryaを併用することを望んでいる。「例えば、太陽の天候が雷に影響を与えることについていくつかの証拠があります。相互作用とは何か、そして1つの天候タイプから他への影響をどこで、どのように対応付けるのでしょうか?」

Suryaは、特定分野における専門知識を用いずに訓練された基盤モデルである。そのため、NASAとIBMは、ChatGPT(チャットGPT)のような汎用大規模言語モデルが多くの異なるタスクに対処できるのと同様に、Suryaが太陽物理学における多くのパターンを発見できると期待している。Suryaにより、他の天体の仕組みについて新たな理解が得られる可能性さえあると考えている。

「太陽を理解することは、他の多くの恒星を理解するための代替手段になります」とベルナベ・モレノ博士は述べる。「私たちにとって太陽は実験室なのです」。

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MITテクノロジーレビューの編集フェロー。ニューヨーク大学の博士課程で理論暗号を研究している。
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