KADOKAWA Technology Review
×
無料の会員登録で、記事閲覧数が増えます
持続可能エネルギー Ford’s New Hybrid Cop Car Cuts Emissions While Chasing Criminals

フォード、パトカー用途のハイブリッド車を発表

ガソリン車から電気自動車への移行が進んでいる。しかし、最後までガソリン車が残りそうなのがパトカーだ。バッテリー切れの心配がなく、加速性能が高いことから、フォードがパトカー用途ハイブリッド車を発表した。 by Jamie Condliffe2017.04.11

カーチェイスの様子がちょっと変わるかもしれない。

ニューヨーク市やサンフランシスコの通りでは、ハリウッド特有のカーチェイス場面が数多く撮影される。不恰好なパトカーがまだら模様の日差しを浴びながら年季の入った年代物のスポーツカーを追いかける。サスペンションが動き、タイヤがキキーッと音を立てる。V8エンジンの低い唸り声も場面を盛り上げるのに重要だ。だが近いうちに、悪党が警察から逃れようとする場面の音は大きく変わる可能性がある。

フォード製最新型パトカーは無敵といっていい。新型車両は追跡用で、犯人を追跡し続けるのに絶対に欠かせないさまざまな厳しい性能要件を満たしている。時速約50kmで線路を横切り、高さ約20cmの縁石に乗り上げ、水深約25cmを時速約60kmで駆け抜け、Jターンしてもピッタリと止まる。こういった性能の秘密は、ボンネットの下にある。パトカー用の新型車両はハイブリッド車なのだ。

実際、フォードのポリス・レスポンダー・ハイブリッド・セダンは、追跡用パトカーの試験にすべて合格した史上初のハイブリッド車だ。つまり、レスポンダーがトヨタのプリウスを追いかけるような、ハイブリッド車対ハイブリッド車のカーチェイスが、今後本当に起こるのだ。

ポリス・レスポンダーは走行中でも静かなのが特徴だ。電気モードでは一定時間、最高時速約100kmで走行できるので、エンジン音を発せずにパトロールできる。スポーツカーまでは追跡できないが、半電動システムで電気モーターとエンジンを同時使用すれば瞬時に加速できるため、短距離であれば非ハイブリッド車の追跡で相当有利になる。ポリス・レスポンダーには、防弾式ドア、防刃式背もたれ、汚れにくい後部座席など、現在のパトカーによくある便利な機能も数多く搭載されている。

フォードのフュージョンを基に開発されたポリス・レスポンダーには、環境問題の専門家も満足するハイブリッド品質がある。AP通信が取りあげたとおり、アメリカで最も人気があるパトカー「トーラス・ポリス・インターセプター」には、3.7LのV6エンジンが搭載されており、約3.8Lのガソリンで約30kmしか走行できない。一方、ポリス・レスポンダーは1.4kWのリチウムイオン電池と2Lの4気筒エンジンが搭載されており、約3.8Lのガソリンで約60km走れる。フォードによると、警察がレスポンダーを導入すれば1台につき毎年3877ドルのコストを削減できる可能性があるという。

電気自動車を採用すれば、性能が大きく改善され、コストも削減されるとはいえ、警察がガソリン車を廃止するまでには一般消費者以上に時間がかかるだろう。走行中にバッテリーが切れたり、再充電に時間がかかったりしても、一般ドライバーには単にイライラの原因なだけだが、法執行を任務とする警察には死活問題だ。ハイブリッド車を導入すれば、将来的にはカーチェイス場面からスリルがなくなるかもしれない。だが警察がハイブリッド車を導入するのは非常に合理的といえるだろう。

(関連記事: Associated Press, “米国人はデカい車が大好きで オバマ政権の政策が台無し,” “Here’s Why You Might Be an Electric Car Owner a Decade from Now”)

人気の記事ランキング
  1. First Evidence That Night Owls Have Bigger Social Networks than Early Risers 社交的な夜型、孤独な朝型——行動パターンに明らかな違い
  2. Google Reveals Blueprint for Quantum Supremacy グーグルが量子超越性の実現にめど、数カ月内に実証も
  3. The Truth about China’s Cash-for-Publication Policy ネイチャー掲載で年収20倍、中国の報奨金制度の実態が判明
  4. Forget Killer Robots—Bias Is the Real AI Danger グーグルが指摘する、イーロン・マスクが語らないAIの本当の脅威
  5. Put Humans at the Center of AI グーグルへ転じた スタンフォード研究者が語る 次世代AIに必要なこと
タグ
クレジット Image courtesy of Ford
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
「持続可能エネルギー」の記事
人気の記事ランキング
  1. First Evidence That Night Owls Have Bigger Social Networks than Early Risers 社交的な夜型、孤独な朝型——行動パターンに明らかな違い
  2. Google Reveals Blueprint for Quantum Supremacy グーグルが量子超越性の実現にめど、数カ月内に実証も
  3. The Truth about China’s Cash-for-Publication Policy ネイチャー掲載で年収20倍、中国の報奨金制度の実態が判明
  4. Forget Killer Robots—Bias Is the Real AI Danger グーグルが指摘する、イーロン・マスクが語らないAIの本当の脅威
  5. Put Humans at the Center of AI グーグルへ転じた スタンフォード研究者が語る 次世代AIに必要なこと
ザ・デイリー重要なテクノロジーとイノベーションのニュースを平日毎日お届けします。
公式アカウント