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大型か小型か、原子力の2つの戦略——中国が示す「大きいほど優位」
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Why China is betting on big nuclear reactors

大型か小型か、原子力の2つの戦略——中国が示す「大きいほど優位」

原子力産業において米国と中国は対照的なアプローチをとっており、米国の企業が小型化を追求する一方、中国では多くの新型大型原子炉の建設が進んでいる。コスト面では大型炉が有利だが、小型炉が欧米の原子力発電所の建設継続を後押しする可能性もある。 by Casey Crownhart2026.06.15

この記事の3つのポイント
  1. 米国は小型炉の革新に賭け、中国は大型炉の量産で設備容量を10年で倍増させるという対照的な戦略が鮮明だ
  2. 中国の建設速度の源泉は設計の標準化と政府主導の一括発注であり、大型炉でも規模の経済を実現している
  3. 小型炉はコスト低減の期待を担うが、発電量あたりコストは割高で、実用化への道筋はいまだ不透明だ
summarized by Claude 3

これは2つの原子力産業の物語だ。

中国では、大型原子炉が驚異的なペースで建設されている。同国は2016年以降、原子力発電の総設備容量をほぼ倍増させ、約60ギガワットに達した。新設施設のほぼすべてがギガワット規模の加圧水型原子炉だ。

一方、米国がその間に建設した原子炉はわずか2基、ジョージア州のヴォグトル発電所(Plant Vogtle)の3号機と4号機だけだ。ただし、小型炉は大きな注目と投資を集めている。マイクロ原子炉の開発企業が、米国エネルギー省の新たなパイロットプログラムにおいて、自社炉の臨界達成を実現したばかりだ。

世界は増大する電力需要への対応を急いでおり、多くの国が温室効果ガスを排出しない原子力などのエネルギー源に関心を寄せている。核心的な問いはこうだ。電力を迅速に送電網に供給するという観点から、どちらの戦略が本当に実を結ぶのか。

現在、米国とフランスは原子力産業のリーダーとして知られている。米国は世界最大の原子炉群を保有し、フランスがそれに次ぐ。フランスは送電網を原子力に大きく依存しており、同国の電力の約3分の2が原子炉から供給されている。

しかし、両国はここ数年、新たな原子炉をほとんど追加できていない。米国が示せるのはヴォグトルのみであり、フランスは2024年12月に最新の原子炉を送電網に接続したが、それは20年以上ぶりのことだった。

今日の原子力産業を支配する大規模プロジェクトを建設することは、極めて困難だ。初期投資は軽く数十億ドルに達することもあり、投資家は損益分岐点に達するまで数十年待たなければならない。設計は複雑で、規制プロセスの中で変更が生じることも多く、コストと時間がかさむ。

こうした国々で状況を好転させる鍵は、小型炉にあるかもしれないと期待する声は多い。

その考え方はこうだ。原子炉の規模を縮小することで、新技術の実証に必要な初期投資を削減できる。さらに、原子炉を現地で建設するのではなく工場で組み立てることも可能になり、長期的なコスト低減につながる。

こうした小型炉は、エネルギー省の新たなパイロットプログラムを含め、米国で多大な関心と投資を集めている。エネルギー省は2025年に、建国250周年にあたる2026年7月4日までに3基の試験炉を臨界に到達させるという目標を設定した(臨界とは、原子炉がエネルギーを放出できる自己持続型の連鎖反応を達成した時点を指す)。

先日、カリフォルニア州を拠点とするアンタレス(Antares)が「Mark-0(マークゼロ)」原子炉でこのマイルストーンを達成した。

同社は最終的に、100キロワットから1メガワットの電力を生産するよう設計されたマイクロ原子炉の建設を計画している(現在送電網に接続されている大型炉はその少なくとも1000倍の規模だ)。炉心設計はナトリウム冷却型で、現在ほとんどの原子炉が使用するものより濃縮度の高い燃料を黒鉛でコーティングした自己完結型の球体である「TRISO燃料」を使用する。

しかし、実際に電力を生産できるようになるまでにはまだ長い道のりがある。Mark-0には電力変換システムも除熱システムも備わっていない。CEO(最高経営責任者)のジョーダン・ブランブルは、2027年末に発電を開始し、2028年までに現場への展開を目指すとAP通信に語った

民間部門も関心を持ち、投資している。大手テクノロジー企業各社は、データセンターへの電力供給に役立てたいと期待する新型原子炉に資金を投じている

しかし地球の反対側に目を向けると、確立された設計図を堅持している国がある。中国は大型原子炉を猛烈な勢いで量産している。2025年には6基の新型炉の建設が始まり、さらに2基が2026年の最初の5カ月間に着工した。同国は2030年までに設置済み原子力発電容量で米国と欧州連合(EU)の両方を追い抜く軌道に乗っている。

そのスピードは驚異的だ。2024年時点で、中国における新型炉の平均建設期間は5年から7年だ。世界平均は約9年であり、米国の直近2基は約15年を要した。

このスピードの鍵の1つは標準化だ。中国は新型炉の設計、許認可、建設をするための統一されたプロジェクト管理システムを構築している。規模の経済を活かすため、6基以上をまとめて建設している。

こうしたことは小型炉に優位性をもたらすとされるアイデアの1つだが、中国は同じ恩恵を大型プロジェクトでも実現しようとしている。莫大な政府投資が確実に後押しとなっている。

大型炉は一般に、より低いコストでより多くの電力を送電網に供給できる。これは中国の急増する電力需要を考えると重要な点だ。小型炉はその規模ゆえに大型炉より初期投資は少なくて済むが、発電量あたりのコストは実際には割高になる。

だからといって、中国が大型炉だけに注力しているわけではない。同国では2026年に、初の実用小型モジュール炉である「玲龍(リンロン)1号」が送電網への電力供給を開始する見込みだ。

しかし今後を見据えると、小型炉が西側諸国における新たな原子力発電所の建設継続を後押しできるかどうかは興味深い問いだ。現時点では、中国の急速な進展を見る限り、大きいほうが優れているように見える。

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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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