5万基の鏡で日照を延ばす、
新興企業の野心的な計画に
天文学者たちが反発
米新興企業リフレクト・オービタルは、軌道上に最大5万基の鏡を並べ、必要なときに地球へ太陽光を反射する計画を進めている。太陽光パネルの充電や災害対応に役立つという。だが新たな研究によれば、その光は狙った地域をはるかに超えて夜空を明るくすることが分かり、天文学者は強く反発している。 by Jonathan O'Callaghan2026.08.26
- この記事の3つのポイント
-
- リフレクト・オービタルは400基の衛星で太陽光発電延長等を目指すが、天文学者や環境団体は深刻な光害を警告
- 新研究により、宇宙鏡衛星のビームが意図照射域を大幅に超え、80km圏外でも夜空を変化させると判明
- 規制当局の権限が無線周波数に限定され、複数管轄にまたがる光の散乱を制御する法的枠組みが存在しない
宇宙から地球にオンデマンドで太陽光を照射することを計画している企業が、意図した範囲をはるかに超える多くの人々に対して夜空を意図せず明るくしてしまう可能性があると、新たな研究が示している。
2026年後半、米国の企業リフレクト・オービタル(Reflect Orbital)は、軌道上で18×18メートルの鏡を展開する「Eärendil-1(エアレンディル1)」と呼ばれる試験衛星を打ち上げる計画だ。その目的は、54×54メートルの大型衛星を最大5万基打ち上げ、必要な時に地球に向けて太陽光を反射するという同社の計画の実現可能性を検証することにある。
この取り組みの意義はいまだ不明確な部分もある。だが、リフレクト・オービタルは、太陽光が利用できる時間を延長し、太陽光パネルの充電、緊急対応、軍事活動などさまざまな用途に活用することを目標としていると述べている。
この打ち上げは7月に連邦通信委員会(FCC)によって承認されたが、天文学者や環境団体からは懐疑的な声が上がっている。「これは天文学と相容れません」と、カナダのレジャイナ大学の天文学者サマンサ・ローラー准教授は言う。「これを実施しながら暗い夜空を守る方法など、あるはずがありません」。
スロバキア科学アカデミーの天文学者であるミロスラフ・コチファイ博士らの研究チームは、夜空への広範な影響を計算した。宇宙専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)』への掲載が受理され、オンラインで公開された新たな論文の中で、コチファイ博士らは衛星が地上に向けて照射した光がどの程度散乱するかを研究した。
その結果、直径5キロメートルの円形を想定したビームの照射エリア内では、リフレクト・オービタルの衛星1基が夜空で満月の約40倍の明るさで見えることがわかった。ビームの中心から14キロメートル離れた地点でも、その衛星は満月と同程度の明るさを保つという。
リフレクト・オービタルが最終的に計画している400基の衛星のビームを合わせると、5キロメートルのエリア内では満月1万個分、つまり太陽の2.4%に相当する明るさの光が生じる。コチファイ博士らの計算によれば、80キロメートル離れた地点でも、この合成ビームは「地平線上の光の輝き」として視認できるという。つま …
- 人気の記事ランキング
-
- Data from drones in Ukraine is fueling a new Wild West marketplace 戦場映像がAI訓練に、ウクライナ戦争が生んだ「新たな金脈」
- Promotion AI White Paper 2026 松尾・岩澤研協力『AI白書2026』発売、サブスク版も開始
- Agriculture relies on fossil fuels. It’s costing us. なぜ肥料が高いのか? 食料価格が化石燃料と結びつく理由
- Batteries just broke another record in the US 米国のバッテリー導入が過去最高、データセンターも需要けん引
- Bill Gates says we’ve passed AI’s danger thresholds. Now what? 「人類はもう境界線越えた」 ビル・ゲイツがいま AIに警鐘を鳴らす理由
